以前、下の子が外出先で突然「うんち!」と言い出し、慌ててトイレを探してやっとたどり着いたところにあったトイレが、和式の便器になっていて、息子が「できない」と言い出しました。
それもその筈で、家のトイレは洋式で、便器に腰かけてするのが当たり前だった息子にとっては、地面に座り込んですることは経験したことがなく、とてもハードルの高いものだったのです。
その時は私が抱きかかえてどうにか用を足すことができたのですが、そんなことがあった私は、
「そもそも和式、洋式ってどういう違いがあって、どのように使い分けているのか、どのように設置分けされているのか」
とふと思い、考えてみることにしました。
基本的な違い
和式トイレと洋式トイレとでは構造が異なり、和式トイレは地べたにそのまま座り込んで用を足すのに対して、和式トイレの場合は便器が椅子の構造になっていて、そこに腰かけて用を足します。
単純にいえば、しゃがんだ姿勢で用を足すのか、腰かけて用をたすのかの違いで、便器の構造も和式では便を受け止めるだけの形状で、洋式では便を受け止める周りが便座といわれる椅子の形状になっています。
長所と短所は?
では、それぞれのメリットとデメリットをあげてみます。
和式トイレについて長短をあげると、
- しゃがむので姿勢が苦しい
- 身体が直接便器に接しないので衛星的
- 導入コストが若干安い
- 外国人や乳幼児の場合、使えない使いにくい
- 掃除がしやすい
洋式トイレについては、
- 座れるので姿勢がらく
- 身体が便座に直接接するので衛星面で心配
- 外国人や乳幼児が馴染んで使える
- 導入コストが若干高い
- 掃除がしにくい
このように、両者の長短所をあげて比較してみると、それぞれ和式の長所は洋式の短所、和式の短所は洋式の長所になっています。ちょっとまとめてみると
姿 勢 :和式(△)⇔洋式(〇)
衛星面 :和式(〇)⇔洋式(△)
コスト :和式(〇)⇔洋式(△)
清 掃 :和式(〇)⇔洋式(△)
万人向け:和式(△)⇔洋式(〇)
のような感じです。(○:よい、△:まあまあ)
ちなみに耐久性やメンテナンス性などは、便器だけの単純な構造で比較した場合は、あまり変わらない感じがします。
衛星面を考えた場合、家庭用であればあまり気になりませんし、公衆トイレでも便座殺菌用の薬剤が設置されている場合もありますから、大差がない場合もあります。
コスト面も便座だけみればそれほど差はないでしょうし、清掃も、比較した場合の話なので、実際はそれほど手間の差はないでしょう。
和式と洋式では構造上の違いもある
さて、上記にあげた違いは、どちらかと言えば素人が普通に考えるような差異ですが、専門家から見れば構造上に大きな違いがあるといいます。
端的にその違いを言えば、「排水管の造り」と「床への設置方法」の2点です。
まず、排水管の造りについて言えば、和式トイレは排水管が太くその構造もほぼ真直ぐと単純であるのに対して、洋式トイレは排水管が単に狭いだけではなくその構造は曲がり部分を伴い複雑になっています。
その結果、和式トイレの方が洋式トイレと比べて排水に要する水量が少なくて済むだけではなく、水が詰まりにくいそうです。見た目だけではよく分かりにくい違いですが、こんな点にも違いがあるのですね。
一方、床への設置方法についてですが、和式トイレの場合は便器を床に直接、埋め込んでいるのに対して、洋式トイレの場合は床に取り付けています。
このため、便器を交換する場合などは、和式トイレでは本格的な工事が必要となるのに対し、洋式トイレでは割と簡単な作業で対応が可能となります。素人にとってはあまり関係のない差かも知れませんが、業者などから見ると大きな差のようです。
設置状況の違いは?
というわけで、両者を比較してみましたが、単純な比較だと和式の方が、メリットが高いようにも見えますが、現実的には洋式トイレの方が増加傾向にあるようです。
恐らく、姿勢が楽である事や、万人向けであることの方がはるかに重要視されているからでしょう。私も以前、足を怪我した時に、姿勢が楽な洋式トイレの方が絶対にいいと感じたことがありました。
家庭用の場合、建築年数の古い家ほど和式トイレが多いですが、近年建築された家の場合、戸建てでも集合住宅でも、共に洋式トイレが一般的になっています。実際、リフォームに合わせて、和式トイレを洋式トイレに変更する家屋も多いそうです。
また、便座メーカなどの展示会場などを見ても、圧倒的に洋式トイレが多く、和式トイレはほとんど目にすることはありません。便座メーカの公式サイトなどを見ても、洋式トイレばかりが目につき、和式トイレは見つけるのが難しいくらいです。
今後、家庭用のトイレについては洋式がほとんどを占めて行くのではないでしょうか。現在では、住まいの造りは和洋折衷化が進んでいますから、住宅の造りに関わらず、洋式トイレが増えていくことに間違いはないでしょう。
さて一方、業務用や公共施設、商用施設など非家庭用の場合では、以前に比べて数は減っているようですが、しばしば和式トイレを見かけることがあります。
特に、従来からある公共施設や学校などでは比較的多く、中でもトイレ内に専用のサンダルがあって、床ごと水で洗い流せるタイプのトイレに多く見られます。
この理由は、清掃などの管理面を楽にするために、丸ごと洗い流しやすい構造にしているためのようです。
また、年配者の中には和式トイレのほうが馴染みやすいという方がいるようで、実際に公衆トイレなどでは、わざわざ和式と洋式が併設されて選べるようになっている施設なども見られます。
そうした年配者への配慮があるからこそ、洋式トイレには淘汰されないでいるようですが、今後グローバル化がますます進むに従って、今よりも、もっともっと和式トイレの数は減って行くのではないでしょうか。