降雪時に自動車のワイパーを立てているでしょうか。
中には、何でワイパーを立てるのか、その意味を知らない人もいるでしょう。
また、単に、降雪対策の1つとして、一般に言われているから立てているだけで、理由なんか知らない、という人もいることでしょう。
いずれにしろ、その意味・理由を実感を持って理解している人は少ないのではないでしょうか。
ここでは、ワイパーを立てておかなかったことで、実際に味わった私の苦い経験を、リアルな体験に基づいて書きたいと思います。
目次
何のために立てるかを知らなかった
その体験をしたのは、私がまだ東京に住んでいた学生の頃のことで、アルバイトで稼いだお金を貯めて、やっとのことで初めて買った自動車についてです。
当時はまだ自動車に関する知識も乏しく、雪が降ることもあまりない東京に住んでいたこともあって、降雪時にワイパーを上げるなんてことは、全く知識もありませんでした。
当然、何のためにワイパーを立てるのかその理由も知らず、従って実際にやることもなかったのです。
すごい力が加わる
そんなある日、東京では珍しく雪が降り積もった時がありました。
私の記憶では7~8センチくらいの積雪だったと思いますが、車に乗ろうと駐車場へ行って、初めてワイパーが折れていることに気付いたのでした。
状態としては、フロントガラス用の2本のワイパーのうち、1本が付け根付近から折れていて、そのフレームは既に完全に外れている状態でした。
それは、あたかも大きな力でもぎ取られたかのような感じで、その力がいかに凄いかを物語っていました。
フロントガラスには雪は残っておらず、積もっていた雪が傾斜したフロントガラス上を、雪崩のように滑り落ちていった痕跡が残っていました。
要するに、フロントガラスに積もった雪は相応の重さがある上、それがある瞬間に一気に滑り落ちることで、ワイパーのような金属フレームですらも、折ってしまう力が生じるというわけです。
折れてからでは遅い
ここまで読んで頂ければ、雪の重みと滑り落ちる力が、ワイパーをもへし折ってしまうことを、より実感を持って理解して頂けるのではないでしょうか。
この時のワイパーの破損で、ワイパーをフレーム本体ごとまるまる一本交換する形となり、部品代と工賃をあわせて、修理費が一万円を超えたと記憶しています。
当時、まだ学生だった私にとっては、非常に痛~い、痛~い出費でしたので、その後は、少しの雪であったとしても、必ずワイパーを立てるようにしています。
降雪によるワイパーの破損は、たとえ雪国でなくても、また、大雪でなくても起こり得ることです。
ひとたび破損してしまえば、余計な修理代が掛かってしまいます。
なので、「これくらい大丈夫」というような楽観視はせず、少しでも積もるようであれば、必ずワイパーを立てておくようにしたいものです。
普通の乗用車の場合なら、ワイパーの立て方はとても簡単です。
ワイパーのフレームを手でつかみ、フロントガラスに対して垂直方向に持ち上げるだけです。
ワイパーは一旦折れてしまうと、降雪時や降雨時にしばらく運転できなくなることすらあります。
ワイパーを立てるのは非常に簡単なことですから、降雪時の対策の1つとして、駐車する時には必ずフレームをあげる習慣を付けましょう。
ワイパーを立てる理由を詳細解説
以上のように、ワイパーを立てる理由は、ワイパーフレームが折れるのを防止するためです。
これこそ、ワイパーを立てる最大の理由です。
実感持てない人もいるでしょうし、ちょっとした雪なら大丈夫だと安易に考える人もいると思いますので補足しておきましょう。
まず、雪の重みはとても大きいことがフレームが折れる大きな要因となります。
雪国では、屋根に積もった雪下ろしを必要な作業として行いますが、これは家が圧し潰されないようにするためです。
堅牢と思える建築物でさえ、雪が積もればその重量に耐えられなくなるのです。しかも見た目より重たいのが雪です。
これと同じで、フロントガラスに積もる雪は、人間が想像するより重量があるものです。
そして、その雪が傾斜したフロントガラスを滑ると、重量に応じた力が加わるのです。
しかも、ワイパーは支点が固定されているため、フレーム部に力が加わることでテコの原理が働き、金属フレームすらを折る力となるのです。(フレームを立てることで、テコの原理によって生じる力を弱めることができる)
仮に、フレームがへし折られることが無くても、曲がってしまったり、変形してしまったりすれば、思わぬ修理費を強いられます。
たとえ、修理を免れても力が加わることでワイパーフレームが劣化することが有るかも知れません。
ワイパーを立てる理由は他にもある
さて、ワイパーフレームが折れるのを防止するのがワイパーを立てる第一の理由ですが、実は他にも理由があります。
それは、ワイパーがフロントガラスにへばりついて動かなくなるのを防止するためです。
自動車を駐車する場合、それまで走行していたことからワイパー付近は凍結しない温度になっています。
もし、雨や雪が降っていた場合、ワイパーは濡れた状態となります。
また、冬場は気温が低いため、ワイパー周辺も結露しやすくなります。
その結果、ワイパーに残っていた水分と、フロントガラスに積もった雪とが合わさって、ガチガチの状態に凍結してしまうことがあります。
このような状態になるとワイパーは動かなくなりますが、ワイパーについた氷を取り除くのは容易ではありません。なかなか取れないんですね。
もし、ワイパーのゴムに氷がへばりつくと、除去するのに大変な手間が掛かる上、ゴムを痛めてしまう可能性も出てきます。
ワイパーの氷を中途半端に除去しただけでは、氷でワイパーが浮いてしまい、ワイパーの本来の機能が全く働かないこともあります。
凍結した氷をきちんと取り除くためには、思いのほか時間が掛かります。
通勤で自動車を利用しているような場合、朝の忙しい時に余計な手間が掛かるのは、とても煩わしいことです。
こんなことも頭に入れておきたい
以上、私の苦い苦い経験から、少しの降雪でもワイパーを立てるべき旨の話をしてきました。
実体験をもとにしているため、実感を持ってい頂けたかと思いますが、更に、関連していくつか覚えた置きたいことがあります。
ここでは、下記の5点について触れておきます。
(1)雪を除去する時も基本はワイパーを立てたまま
(2)車両の屋根に積もった雪にも注意
(3)リアワイパーは構造で判断
(4)ワイパーを立てるとよくない場合
(5)停車時間が短くても慎重に判断
(1)雪を除去する時も基本はワイパーを立てたまま
立てていたワイパーを元に戻す場合は、先にフロントガラス上の雪を下ろしてからにしましょう。
積もった雪は基本的にワイパーを立てたままで行うのです。
その理由は、雪を取り除く最中に雪の塊がガラス面を滑り落ちると、その際ワイパーを折ってしまう可能性が残るからです。
また、雪を取り除く時は、まずフロントガラス上の最も上方の雪を横に流すように取り除き、徐々に下方に向けて処理して行きます。
もし、下方にある雪を先に除去してしまうと、次の瞬間、ガラス面にたまった雪がいっきに滑り出して、ワイパーを傷つけるかも知れないからです。
ワイパーを立てたままの除雪は作業しにくいのですが、基本的には雪を除去した後にワイパーをもとに戻すようにしましょう。
少なくとも雪の大部分を除去した後にワイパーを戻しましょう。
(2)車両の屋根に積もった雪にも注意
ワイパーの破損防止のためには、車両の屋根に積もった雪にも注意が必要です。
たまに、屋根の上に積もった雪を残したままで走行している車両を見かけることがあります。
しかし、急ブレーキを掛けると、屋根に積もった雪の塊がいっきにフロントガラスを滑り落ちて、ワイパーをへし折ってしまう可能性があります。
これは、駐車中にも同様のことが言え、例えば車種の構造上、屋根に僅かな傾斜がある場合、雪が溶けて、いっきにフロントガラス上を流れ落ちることもあります。
仮に、屋根にそのような傾斜がない車種でも、傾斜のある場所に駐車する場合には注意が必要です。
特段の理由がない限り、車両の屋根に積もった雪もきちんと除去するようにしましょう。
(3)リアワイパーは構造で判断
さて、リアワイパーに対してはどうすればいいのかが気になるところです。
結論から言えば、リアワイパーの構造によります。
ワイパーの支点が車両の上部にある場合、ワイパーより上部に積もる雪は僅かになりますので、ワイパーに及ぼす影響は小さくなります。
また、後部のガラスは雪が積もりにくい傾斜のきつい構造の車種も多いため、フロントガラスほど大きな問題は起きにくいと言えます。
更に、ワンボックス車などの場合、構造上ワイパーを立てるると車体の後部に突起するような状態になります。
以上のことから、リアワイパーを立てる必要があるかどうかは、車の構造、駐車する場所、降雪量などを総合的に考慮して判断することが大切と言えます。
(4)ワイパーを立てるとよくない場合
ワイパーを立てるのは良くないのでは?そういう考えもあるかと思います。
確かにワイパーを立てると、ガラス面に接触しない分だけ、ワイパーは安定感の無い状態になります。
だから、「強風によって曲がったり、折れたりしないか」などが心配になるところでしょう。
「何らかの落下物でもあれば、ワイパーが痛む」などと考える人もいるでしょう。
また、「ワイパーを立てているとイタズラされやすくなるのでは」と、気にする人もいるかも知れません。
しかし、ワイパーを立てないことで生じるメリットも、ワイパーを立てることで生じるメリットもトレードオフの関係で、”両立できない”と考えるべきです。
換言すれば、どちらを優先するべきかを判断する必要があります。
しかし、私の経験から言えば、特殊な事情が無い限り、降雪時にはワイパーは立てるべきです。
実際、発生確率的にも立てるメリットの方が大きいと考えています。
例えば、ワイパーに損傷が及ぶほどの暴風が発生することは稀です。
また、家屋の脇であるとか、木の横であるなど、駐車した上部からの落下物が予想される場所は限定されます。
更に、降雪時にはワイパーを立てる車両は周りにも多く存在するため、自分の車だけがイタズラの標的にされる確率は低いと言えます。
予想される風速や駐車位置への落下物の有無、駐車場周辺の状況などを確認して総合的に判断しましょう。
(5)停車時間が短くても慎重に判断
最後に、車両を停車する時間が割と短い場合でも、慎重に判断しましょう。
特に、降雪地域に慣れていない人が降雪地域を訪れる場合、「短い時間の停車だから大丈夫」などと安易に考えがちです。
降雪地域の場合、短時間で集中して雪が降る場合もあり、気づいたらたくさん積もっていたなんてこともあります。
また、冬場は昼間でも気温が氷点下であることも珍しくありませんので、ちょっと停めたつもりでもワイパーがフロントガラスに凍り付くなんてこともあります。
たとえ駐車時間が長くない場合でも、状況をよく考えて慎重に判断しましょう。
ちなみに、車用品ではフロントガラスの氷を溶かしてくれる専用の氷解スプレーなどがあります。
降雪に限らず、凍結しやすい冬場には力強い味方になってくれますので、常備しておくのも良いでしょう。
以上、私の苦い経験をもとに、降雪時にはワイパーをたてるべきことを記事にしました。
ワイパーにまつわるトラブルを起こさぬよう、大いに参考にして欲しいと思います。