子育てにおいて、子供に教えること、学ばせること、経験させること、理解させること、習得させることなどなど、成長に必要なことは無数あります。
従って、育てる親の方が、育てられる子供の方よりも、知識、学力、経験、知恵、技量など、あらゆる面で優れているものです。
しかし、これとは反対に、大人の方が絶対に子供にはかなわない、勝てないこともあります。
絶対に勝てない点
では、「大人が絶対に子供に勝てないこと」には何があるでしょうか。
私が強く感じるのは下記の3点です。
(1)素直さ
(2)吸収力
(3)柔軟性
ここで、素直さとは、その言葉の通り素直なこと、吸収力とは、物事を吸収する力が長けていて成長が著しいこと、柔軟性とは、頭が柔らかく且つ順応性が高いこと、をそれぞれ意味します。
それでは、大人が絶対に子供に勝てない、これら3点について、ひとつずつ、大人と子供の違いを見て行きましょう。
素直さ
まず、「素直さ」ですが、大人と子供を比較した場合、子供の方が圧倒的に素直と言えます。
大人の場合、自我が確立していて、人ごとに様々な人格が形成されている訳ですが、その結果として、誰しもどこかに癖やこだわりを持つ傾向にあります。
それはある種の、性格とも言えるものですが、時として偏屈になったり、感情が先行してしまったり、しがらみが影響したり、様々な要因から、素直になれない、真っ直ぐになれない要素になります。
こうした要素によって、
「頭では分かるけど理屈ではない」
とか、
「私にもプライドがある」
とか、
「これだけは譲れない」
或いは、
「立場上これは受け入れられない」
などといった、素直になれない一面が表に出てきます。
その点、子供の場合は、素直さを邪魔するような、こだわり、しがらみ、余計なプライドなどは、殆どありませんから、色々なことを素直に受け入れやすくなります。
また、子供の運動会を見て感じた「素直が一番伸びる」ということという記事にも書きましたが、素直だからこそ成長できると言う見方もできます。
吸収力
次に、「吸収力」ですが、子供の吸収力には驚かされるばかりで、大人は全く足元にも及ばない感じがします。
子供の吸収力を、例えて言うならば、スポンジが多くの水をそのまま吸収できるような姿に似ています。
それとは反対に、大人の場合、
「何で吸収できないものか」
と思うくらい、スポンジとは程遠い、むしろ水をはじくような素材にも似ているくらいです。
子供の勉強を見ていても、
「いつのまに覚えたのだろう」
「どうして知っているのだろう」
「どこで習ったのだろう」
と、短期間のうちに非常に多くのことを身に付けていて、その吸収力の凄さ、成長の早さには本当に驚かされるばかりです。
大人の場合、
「なかなか覚えられないなぁ」
と感じることもしばしばあります。
時には、
「もっと若いうちに学んでおけば良かった」
と感じることもあるくらい、吸収力が落ちていることを感じます。
ところで先日のことですが、長男が家でピアノの練習をしているところに居合わせ、練習している曲の楽譜を見た私は、
「これなら私でも簡単に弾ける」
と思って、試しに弾いてみました。
しかし、いざ弾いてみると意外と難しく、うまく弾けないどころか、つかえてばかりで、見た目よりも難しいものだと感じたのです。
しかし、その節をいとも簡単に弾く長男の姿を見た時、
「いつのまに、こんなことができるようになったのか」
と驚かされました。
更に、楽譜にない節を奏でていたので、
「今の、何の曲?」
と尋ねたところ、
「どんな曲だか名前は知らない。ネット上でよく耳にする曲なので、自然と覚えた」
と答え、
「楽譜を見ずに音だけを聞いて弾けるようになったのだ」
と、再び驚かされたのでした。
また、せっかく長野に住んでいるのだからということで、スケート靴を思い切って長男に買い与えたのが一年半くらい前のことでしたが、今ではとても速く滑れるようになって、私でも追いつくことができないくらいになり、その上達のスピードには驚愕しました。
小学校の音楽会に参加して、子供たちが著しく成長する姿に感動という記事にも書きましたが、子供の吸収力は凄まじいものがあり、大人ではとうてい敵わないと脱帽する思いです。
柔軟性
さて、3つめの「柔軟性」ですが、子供の頭の柔らかさと順応性の高さには、大人からはとても目を見張るものがあります。
大人の場合、自分自身でも知らないうちに、どこかで固定観念みたいなものを身に付けてしまっていることもあります。
また、どこか「常識」というような、何か枠にはまった捉え方をするようになってしまっています。
大人は頭が固くなってしまっていることから、柔軟な発想ができなくなってしまうこともありますし、物事を深く考えないで安易な判断をするようなことも生じます。
その点、子供の場合は、固定観念や常識などを持っていない分だけ頭が柔らかく、何ごとに対してもとらわれた見方をすることなく、自由な発想や行動が採りやすくなります。
例えば、私が子供に対して、自身の経験から即断して
「それはダメ!」
などと言った時に、子供が
「どうしてダメなの?」
と聞き返して来ることがよくあります。
しかし、そのようなケースの中には、自身で
「ダメ!」
と言っておきながら
「どうしてダメなのか?」
とハッとして、自問自答するようなことがあります。
そんな時には、自身の頭の固さと同時に、子供の柔軟性を実感させられます。
また、「柔軟性」には順応性の意味もありますが、子供の順応する能力は大人と比べて、ずば抜けていると感じます。
特に、環境が変わる場合などには、顕著にその違いが表れます。
例えば、大人は就職や転職などで環境が変わった場合、最初はなかなか馴染めずに新しい環境に順応するのに時間を要するものです。
しかし、子供の場合、入園や就学、クラス替えなどの環境の変化があっても、順応性が高いため、たとえ最初は尻込みすることがあったとしても、いつのまにか、とてもよく馴染んでしまいます。
それこそ、その姿は、環境変化など、何ごとも無かったかのような感じにすらなります。
人間は年をとればとるほど環境の変化について行けなくなると言いますが、そういう意味でも、子供こそが大きな環境変化に最もついて行ける年代と言えるでしょう。
子育ての上で
さて、以上のように、大人が絶対に子供に勝てないことを3点ほど見て来ましたが、改めて子供の凄さに気付かされた人もいることと思います。
我々大人をはるかに凌ぐような、大人が足元にも及ばないような凄いものを持っているのが子供だと改めて思い知らされた人もいるかも知れません。
大人よりもこんなに優れた点を持つ子供ですから、これら優れた点を念頭に子育て、教育をすることが大事と言えるでしょう。
子供は素直ですから、曲がったことを教えれば曲がった子供になってしまいます。
逆に、基本をきちんと教えれば、忠実にその基本を習得することでしょう。
また、素直だからこそ伸びる、成長するとも言えますから、道徳やモラルなど教えるべき重要なことは、この時期にきちんと身に付けさせることが大切だと言えます。
また、吸収力が大きいからこそ、何をやらせるにしても絶好の機会ととらえるべきでしょう。
何かをやらせれば、やらせた分だけ確実に吸収してくれます。
凄い吸収力を持つ時期だからこそ、親がたとえできないと思うことでも、子供に何を一番吸収して欲しいかを考えて、挑戦させてあげることが大切です。
更に、柔軟性があるからこそ、親がやたらと「型にはめたり」、「押さえつけたり」せずに、のびのびと子供自身にやらせてあげることが大切です。
子供の「素直さ」「吸収力」「柔軟性」は、大人が計り知れないほどの大きな可能性を秘めています。
それら子供だからこそ持つ利点を、大人である親こそがしっかりと弁えて、育児に励むことが大事です。