先日、子供が通うスイミングスクールのコーチと、ゆっくり話をする機会がありました。
そこで、水泳の上達する子供と、そうでもない子供とでは、根本的に何が違うのかという話を聞くことができました。
上達する子は自覚や意識が全く違う
そのコーチはスイミングスクールの最上位のクラスを担当している方で、学童を対象とした水泳のコーチを何年も積み重ねて来ています。
全国入賞となった選手を育てたこともあり、水泳指導においては経験も豊富で、指導者としてかなりの力量を兼ね備えています。
そんなコーチとちょっとしたキッカケで20分ほど話す機会がありましたが、話題の中心は泳力が伸びる子供と、そうでもない子供の違いについてでした。
コーチから真っ先に出てきた言葉は、「伸びる子供は意識が全く違う」とのひと言で、そのひと言に違いの全てが要約されていると感じました。
次いで出てきた言葉は、
「伸びる子供は、漠然と練習しているのではなく、目的意識をしっかりと持ち、どこを目指すべきかを理解している」
とのことでした。
更に、
「伸びる子は、自分がどうすべきかを自覚していて、そのためにどうすれば良いのかをキチンと考えている」
「目指すべきタイムはどれくらいで、いつまでにそのタイムをクリアしようと具体的な目標を持っている」
「練習をやる時も、具体的な目的を持って取り組んでいる」
などと言った話をしてくれました。
学年・勉学・練習量とは無関係
そして私が驚いたことは、その後に話してくれた内容でした。
「意識をしっかり持って取り組めるかどうかは、学校の勉強・学力とは全く無関係である」
「また、学年も関係ない。中学生や高校生でもしっかりとした意識を持てずに練習をする子供もいるし、例え小学一年生でもしっかり意識を持って取り組める子供もいる」
「しっかりした意識を持って取り組まない子供は、練習量が多くても、練習の内容がしっかりしていても、或いは本人が努力していても、上達には限界がある。一方、しっかりした意識を持っている子供は、練習量や内容、努力が大切であることはもちろんであるが、必ず確実に伸びる」
聞いていて、思わず頷いてしまう内容ばかりでした。
要は、年齢や学業、練習よりも、本人のしっかりした意識こそが何より大切だということですね。
以前の私は、練習の内容や泳ぐテクニックの向上にばかり目を奪われていましたが、それらは二の次だと実感しました。
伸びる子は自発的でビジョンも明確
そして、更にコーチが言うには、
「どんな子供でもタイムが速くならず、伸び悩むという壁にぶつかる。しかし、しっかりした意識を持つ子供は、壁を破り確実に成長して行く」
「伸びる子とそうでない子の違いを端的に言えば、やらされてやっているのか、自発的にやっているのかの違いだ」
とのことでした。
子供は、身体の成長が著しいので、練習を継続していれば自然と泳ぎは速くなるそうです。
だからこそ却って、タイムが伸びなくなった時の壁は大きく、意識や自発性が重要になるのですね。
そして、
「意識をしっかり持った子供は、本人にビジョンを聞くと、きちんと説明できる。漠然と練習している子供は、ビジョンを問われても答えられない」
「中学・高校生でも、ビジョンを問われて黙ってしまう人もいるが、意識の高い子供ならたとえ小学1年生でも、自分のビジョンを説明できる。話し方の上手い下手ではなく、しっかりとした意識があるからこそ構想・展望をきちんと説明できる」
とも話していました。
親が子供にするべきことは
これらの話を耳にして、なるほどなぁと思いました。
さすがに何人もの子供を指導してきた経験から出てくる言葉は重いものだと実感しました。
コーチの目から見れば、水泳のセンスや素質を感じる子供はそれなりにいるそうですが、それが開花するかどうかは結局のところ蓋を開けて見ないと分からないようです。
但し、その子がしっかりと自覚や意識を持って取り組まない限りは、開花するものもしないとのことです。
親として、子供の泳力向上を願うなら、練習内容や技術的なことに触れるよりも、子供に
「目的意識を持たせること」
「自発的になれるように励ますこと」
に徹するべきだと感じます。
親の立場からすれば、上達して欲しいから、ついついテクニックにまで言及することもあるかもしれません。
でも、泳ぐテクニックの指導は本来コーチ(指導者)から受けるもの。
また、テクニックを吸収するのは子供自身。
だからこそ親は、安心して水泳の練習に励める状態を作ると同時に、泳力向上につながる環境を整え、あとはただ子供の心の支えになるように徹することが何より肝心と言えるでしょう。