日本語の「聞」は、中国語(簡体字)では「闻」と書き、「聞く」と言う意味を持っています。
しかし、実際に聞くなどの意味で使う場合は、通常は听(ティン)を使い、「闻」は使いません。

中国語で「聞」は聞くと言う意味では使わない
「闻」は別な意味で使う場合が多く、「听」は特殊な使い方があるので注意が必要です。
聞の簡体字は闻
近代の中国では、旧来からの漢字が簡素化された簡体字が使われています。
日本で使う「聞」と言う漢字の場合、簡体字は「闻」になります。
漢字が同じだから、同じような使い方をするのかと言えばちょっと違います。
「闻」には確かに聞くと言う意味がありますが、語素(ごそ)として用いるため、複合語などで使うのが一般的です。(語素とは、意味を持つ語の最小単位)
従って、新闻(新聞では無く、ニュースの意味)とか、百闻不如一见(諺:百聞は一見にしかず)など、単語として使います。
聞く意味で使う字は「听」
では、日本語の「聞く」という意味の動詞として使用する中国の漢字は何かと言えば、「听」(ティン)です。
「听」は聞くという意味を持つ動詞で、通常はみなこの漢字を使い、「闻」は使はないのです。
この听という漢字は、実は日本の漢字にも存在している字のひとつで、聴の異体字でもあります。
聴の旧字は「聽」という漢字ですが、この「聽」が簡略化されて簡体字になった漢字が「听」なのです。
従って、听を聴に置き換えると理解しやすいと思います。
実用的な例文
「听」は聞くと言う意味がありますから、聞くと言う意味を持つ様々な表現で使います。
例えば、音楽を聴く(聞く)なら、
听音乐
となります。
そして、
我听不清楚
と言えば、
「(私は)はっきりと聞こえません」
と言う表現になります。
このように、听は日本語で一般に「聞く」と言う意味を表現する場合に用いる漢字なのです。
また、听を使った定型的なフレーズに、听说という言い方があります。
これは「聞いた話によれば…」という意味の、とても頻繁につかう言い方のひとつです。
更に、
(你)听谁说的
と言えば、「誰から聞いたの?」と言う意味で、これも日常でとてもよく使う言い回しです。
そして听には、「言うことを聞く」という意味がありますので、例えば
听妈妈话
と言えば、母親が子供に向かって、
「お母さんの言うことを聞くのよ!」
と言った感じになります。
もう1つ、よく使うフレーズとして、
(我)听你的
と言う言い方がありますが、これは「あなたの言う通りにします」のような意味になります。
覚えておきたい意味・用法
ここでぜひ覚えておきたい意味・用法を2つ紹介しておきます。
ひとつは、闻には嗅ぐと言う意味があること、もうひとつは、听听には停まると言う意味から派生した待つという意味があることです。
まず、闻には嗅ぐと言う意味があることについてですが、漢字の中に「耳」という部分が含まれますから、「何で嗅ぐなの?」と不思議に思いますが、実際に日常で頻繁に使われます。
一例をあげれば「你闻闻」とか、「你闻一下」と言えば、「(匂いを)嗅いでごらん」と言う表現になります。
中国語の漢字でも「嗅」はあるにはありますが、どちらかと言えば、熟語として使うのが一般的で、嗅ぐことを動詞として使うのは「闻」になります。
さて、もう1つの听听(ティンティン)ですが、これは听听儿或いは、停停、停停儿などとも書いて、「しばらく経つ」、「しばらく待つ」などの意味として使う定型的な表現です。
等一会儿と意味としては似ていて、「ちょっと待って」という感じです。
漢字からは連想しにくい意味ですが、とてもよく使う言い方なのでぜひ覚えておきたいですね。