中国語で老婆は老いた女性ではなく妻の意味。妻の実践的な別な表現も解説。

中国語で「老婆」と書かれた文字を見て、「年老いた女性」の意味と勘違いしてしまったことがある人も多いのではないでしょうか。中国語の「老婆」には、そのような「年老いた女性」の意味はなく、「老婆」は「妻」を意味する言葉として広く使われているのです。

老婆(ラォポ) とは?

以前、私の知り合いが中国人と筆談をしたことがあり、私に対して「『老婆』って書いていたんだけど何の意味?さっぱり意味が分からなかった!」と聞いてきたことがありました。

日本人が「老婆」という文字を見れば、「年老いた女性」の意味と解釈するでしょうから、相手の言おうとする「妻」の意味が分からず、チンプンカンプンだったのも無理もないことです。

老婆」という言葉はラォポと発音する妻を意味する言葉で、通常、話し言葉で使われる俗語のひとつですが、実際にはほとんどの中国人が広く日常で使っています。

この言葉は、香港で使われ始めたと言われていて、80年代~90年代にかけて、香港ドラマなどが大陸で多く視られていたことが背景となって、広く大陸でも普及して行ったそうです。

従って、数十年前までは使われることは全くありませんでしたので、使われ始めた当初は、年配者などの間ではあまり使われなかった時期もありました。しかし、今となってはあらゆる世代で誰もが使うようになり、日常、妻を意味する言葉として、最も使われる言い方のひとつになりました。

ちなみに、年老いた女性、すなわち「老婦人」、「おばあさん」「高齢の女性」の類は中国語で何と言うのかが気になりますが、通常は「老婦(ラオアオ)」とか「老太婆(ラオタイポ)」といいます。

老婆を使う場面

さて、老婆という言葉は、広く使われていることもあり、色々な場面で用いられます。例えば、夫が妻に対して呼びかける時に「老婆」と言います。

また、夫の妻に対する呼びかけ以外にも、夫が第三者に「私の妻は 」というような話をする時などに、我(的)老婆(ウォ(ダ)ラォポ) という言い方をします。(ちなみに「」は「 の」の意味を表しますが、「」を省略して我老婆(ウォラオポ) という方が一般的です。以下に出てくる「」も同様です。)

更に、話し相手の妻に対する場合にも使い、「あなたの奥さんは…」という話をする場合に、你(的)老婆(ニィ(ダ)ラォポ)という表現をしますし、第三者の奥さんのことを話す「彼の奥さんは…」と言ういい方には、他(的)老婆(タ(ダ)ラォポ)といいます。

ただし、俗語ではありますので、上記のいずれの表現においても、かしこまったフォーマルな場所で使うのには適切ではありません

ところで、老婆という妻を意味する言葉がありますから「それに対応する夫に相当する言葉もあるのでは?」と考えると思います。

これには、老公(ラォコン)という、対になる夫を表す言葉がきちんとあります。夫が妻に対して呼びかける時に「老婆」というように、妻が夫に対して呼びかける時に「老公」といいます。

老公は老婆と同様に、一人称として我(的)老公(ウォ(ダ)ラォコソ) という言い方もしますし、二人称として你(的)老公(ニィ (ダ)ラォコン) という表現もしますし、三人称として她(的)老公(タ(ダ)ラォコン)などと言った使い方もします。

このように、老婆老公はそれぞれ妻と夫の意味で、夫婦がお互いを呼び合う時に頻繁に使われる言葉ですが、夫婦以外にも、深い関係にある愛人(あいじん)同士がお互いを呼び合う時にも使われています。

妻を意味する別な表現

では、妻を意味する「老婆」以外の表現にはどのようなものがあるでしょうか。日本語で考えた場合、自分の妻、相手の妻、第三者の妻などや、状況によって様々な言い方や表現の仕方があります

例えば、自分の妻を指す言い方としては「妻」の他にも「家内」「女房」「かみさん」という表現もありますし、「かかあ」「連れ合い」、更に「うちの」と言った表現もあれば、結婚当初なら「花嫁」などとも言います。

また、相手の妻や第三者の妻を指していう言い方としては、「奥さん」「奥様」などもありますし、状況次第では、「新妻」「新婦」「配偶者」「パートナー」なども使われ、「妻」を意味する言葉として、非常に多くの表現方法、言葉があることが分かります。

このような傾向は中国語でも同じで、「妻」を意味する表現は非常に多くあります。しかし、ニュアンスが微妙に異なったり、広く使われていなかったり、特定の状況でしか使われなかったりする言葉も多いですから、中国語を母国語としない日本人が使う場合は、広く一般的に使われる表現を用いるのが無難です。

以下、「妻」を意味する別な表現のうち、日本人が使うのに無難な言い方を解説します。

妻子(チーズ)

この妻子は最も一般的な言い方のひとつです。日本語で妻子と言えば、妻の意味の他に妻と子供の意味もあります。中国語の妻子の場合も、妻の意味の妻子と、妻と子供の意味の妻子とがありますが、両者は発音(イントネーション)が異なり、使い分けられています。

妻子(チーズ)は、一人称、二人称、三人称のいずれでも使われ、我(的)妻子(ウォ(ダ)チーズ)と言えば自分の妻のことを指しますし、你(的)妻子(ニィ (ダ)チーズ)と言えば相手の妻のことを指しますし、他(的)妻子(タ(ダ)チーズ) と言えば「彼の妻」という第三者のことを指します。

また、話し言葉でも使われますし、書き言葉としても使われますし、広く使われている上、俗語でもありませんから、日本人が色々なシチュエーションを気にせず、最も無難に使える表現のひとつと考えてよいでしょう。

愛人(アイレン)

この愛人は日本語の愛人(あいじん)とは全く違います。愛人と書いてアイレンと読み、文字通り、「愛する人」の意味から来ているパートナー(配偶者)の意味を表す言葉です。従って、妻の意味も持ちますが、同時に夫の意味もあります。

また、話し手や書き手によって、妻の意味になることもありますし、夫の意味になることもあります。この言葉の本来の意味は文字通り「愛する人」なので、愛人には配偶者の意味の他に「恋人」という意味もあります。

この言葉も、一人称、二人称、三人称のいずれでも使われ、我(的)愛人(ウォ(ダ)アイレン)と言えば自分の妻(我が男性の場合)、或いは自分の夫(我が女性の場合)のことを指しますし、你(的)愛人(ニィ(ダ)アイレン) と言えば相手の妻、或いは夫のことを指しますし、他(的)愛人(タ(ダ)アイレン)と言えば「彼の妻」、她(的)愛人(タ(ダ)アイレン) と言えば「彼女の夫」という第三者のことを指します。

妻子と同様、話し言葉でも使われますし、書き言葉としても使われ、一般的に使われる表現ではありますが、大陸(中華人民共和国)では広く使われるようになってはいるものの、台湾や香港ではあまり使われません。

従って、大陸ではあまりシチュエーションを気にせず使えますが、台湾や香港などでは、「太太」(反対に、大陸ではあまり使われない)を使った方が無難でしょう。使い方が気になる場合は、妻子(上述)を使った方がより無難でしょう。

内人(ネイレン)

この内人(ネイレン)は自分の妻のことを指す表現です。日本語の場合、この表現に相当する一番ぴったりくる言い方は家内(かない)です。語源的にも同じ「内」を使うところが似ています。内人は少し古い言い方ではありますが、まだ広く使われる表現のひとつです。

この表現は一人称として使うもので、日本語でも「あなたの家内」とか「彼の家内」という表現を用いないのと同様に、中国語でも二人称や三人称としては用いません。

従って、通常、我(的)内人(ウォ(ダ)ネイレン) という表現、つまり「私の家内」と言うような言い方をします。

自分の妻を指す話し言葉、書き言葉として用いることだけ注意すれば、普通に用いても問題ない表現です。

夫人(フーレン)

この夫人(フーレン)は妻の意味として普通に用いる表現です。日本語でも「〇〇夫人」のように、相手の姓(苗字)と共に用いて、妻・奥さんのことを表現することがありますが、少しそれに近い言い方です。実際に、夫人の前に姓(苗字)を付けて、〇〇夫人という言い方をします。

この言葉は、一人称、二人称、三人称のいずれでも使われ、我(的)夫人(ウォ(ダ)フーレソ)と言えば自分の妻のことを指しますし、你(的)夫人(ニィ (ダ)フーレン) と言えば相手の妻のことを指しますし、他(的)夫人(タ(ダ)フーレン)と言えば「彼の妻」という第三者のことを指します。

しかし、一人称である我(的)夫人という言い方に対しては、違和感を持つ人もいるので注意が必要です。

夫人は、妻子や愛人よりも使い方が難しい面がありますので、慣れない人はあまり使わない方がいいかもしれません。

太太(タイタイ)

この太太は妻を意味する一般的な表現ですが、比較的、台湾や香港で使われる表現です。大陸では、以前に比べれば使われるようにはなりましたが、まだまだ使われない面がありますので、妻子(チーズ)愛人(アイレン)を使う方が無難でしょう。

この言葉も、一人称、二人称、三人称のいずれでも使われ、我(的)太太(ウォ(ダ)タイタイ) と言えば自分の妻のことを指しますし、你(的)太太(ニィ (ダ)タイタイ)と言えば相手の妻のことを指しますし、他(的)太太(タ(ダ)タイタイ) と言えば「彼の妻」という第三者のことを指します。

話し言葉でも書き言葉でも使われる表現ですが、台湾や香港以外では、広く使われている言葉ではありませんから、少し注意が必要です。

妻を意味する注意すべき表現

さて、言葉というのは、地域や年代、世代によって頻繁に話される表現が異なります。特に、中国は国土が広く、地域によって生じる差は日本よりもはるかに大きいのです。

また、シチュエーションによってもふさわしい表現は微妙に違ってきますし、特定の言い回しでしか用いない表現もあります。また、話し手や書き手の出身や身分などが影響する場合もあります。

そのような理由から、中国語を母国語としない日本人が用いる場合は、上記で紹介したような、一般に広く使われる表現を使うべきです。

ここでは参考のために、中国語の学習教材などで紹介されている表現のうちで、理由がない限り使用を控えた方が良いものを以下、簡単に紹介します。

妻(チー)

これは、正式な妻の意味ですが、話し言葉としては用いません。書き言葉としてしか使わない表現ですから、妻子を用いる方が無難でしょう。

家里的(ジャーリーダ)・屋里的(ウーリーダ)

家里的も屋里的も、共に自分の妻を指して言う表現ですが、俗語でもあり、また農村部などの限られた地域で用いられる言葉ですので、使わない方がよい表現です。

媳妇儿(シーフーァ)

妻を表す話し言葉で、使う人はいますが、一種の方言ですので、日本人が使うのには適していません。

房下(ファンシャー)

自分の妻のことを指して言う表現ですが、一般的な表現ではありませんから使用は避けた方がいいです。

女人(ニューレン)

女房を意味する話し言葉ですが、俗語なので安易に使うべきではありません。女人には女性、女の人の意味を表す言葉もありますが、厳密にはイントネーションが異なり、女房の意味の女人とは別な言葉になります。

配偶(ペイオウ)

日本語の配偶と同じように、連れあい、配偶者の意味ですので、妻の意味も夫の意味もありますが、本来は法律用語ですので、やたらと使うべきではありません。

孩子他妈(ハイズタマ)

ちょっと変わった言い方ですが、子供のいる人に対しては結構用いる表現で、一人称、二人称、三人称いずれでも使います。

你家孩子他妈(ニジィアハイズタマ) などと言った表現をしますが、この場合、話し相手の奥さんの意味でありながら、言葉としては「子供のお母さん」なので、少し独特な言い方になります。日本人にとっては、あまり慣れない使い方になるので、用いない方がいいでしょう。

これに似た表現に孩子妈妈(ハイズママ) と言う表現もあるようですが、方言ですからやたらと使うべきではありません。

妻はごくごく基本的な名詞ですから、この他にもまだまだ色々な表現があります。しかし、いずれも一般的な表現ではありませんので、日本人がやたらと使うべきではないでしょう。

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