中国語の左右って方向じゃないの?中国語の東西って方位じゃないの?

一般に左右と言えば、右と左のことを意味しますから、方向やそこから派生した表現に使います。

一方、東西(中国語では东西)と言えば、西と東のことを意味しますから、方位や方角、或いはそこから派生した表現に用います。

本来は、左右は右と左、東西は東と西の意味だが…

これらは、日本語でも中国語でも同じですが、中国語の場合、これらの意味よりもむしろ他の意味として用いる機会が多くあります。

左右の意味

日本語では

日本語で左右というと、文字通り左と右を意味し、「横断歩道で左右をよく確認する」のような使い方をします。

また、左と右の意味から派生して、周辺、かたわらと言った意味としても使いますし、そこからまた意味が転じて、側近を表すこともあります。

更に、左と右の意味から生じて、「言を左右にする」という曖昧さを表す慣用句として用いたり、「温度に左右される」といった影響を与える意味で使ったりすることもあります。

中国語では

では、中国語の左右(zuǒyòu・「ズォヨウ」と発音)の場合はどうでしょうか。

中国語の場合、同じ漢字ですから、その多くは日本語と同じような意味を持ちます。

最も一般的な意味としは、やはり「左と右」の意味で、左右の両側を表す表現でよく使います。

また、日本語と同様に「そば」「かたわら」の意味や、そこから派生した「側近」の意味もあります。

更に、日本語と同じ影響を与える意味、つまり「左右する」という意味で使うこともあります。

しかし、日本ではほとんど使わず、中国で頻繁に使われる意味に、「…くらい」「…程度」「約…」と言った、数量がおおよそであることがあります。

例えば、

三十岁左右(sānshísuìzuǒyòu・30歳くらい)
四点左右(sìdiǎnzuǒyòu・だいたい四時)
一公里左右(yìgōnglízuǒyòu・約1キロ)

のようにおおよその数量や度合を表す表現などです。

こうした使い方は、日本語の30歳前後という表現と同様と考えれば分かりやすく、「左右」を「前後」に置き換えると理解しやすくなります。

試しに上記の3つの表現を、それぞれ三十歳前後、四時前後、一公里(1km)前後のように置き換えれば、よく分かると思います。

使い方には注意を

およその意味で使う用法としては、量詞のあとに左右を付け、その数量や値がおおよそであることを示します。

つまり、概数を表現することになります。

実際、前述の例文でも全て量詞(年齢を表す「」、時刻を表す「」、距離を表す「公里」)の後ろにつけていることが分かると思います。

左右と似たような類語に、上下(shàngxià)という言葉があり、左右と同様に量詞の後に付けて使います。

例えば、三十岁上下(sānshísuìshàngxià)のように表現しますが、上下の場合は左右と違って時間や距離などには用いません。

従って、上記の例文「四点左右」の代わりに、四点上下(sìdiǎnshàngxià)という表現はできませんので注意が必要です。

但し、時間に関しては前后(qiánhòu・日本語の前後に相当)を使うことができ、四点前后(sìdiǎnqiánhòu・4時前後)のような表現が可能です。

左右(zuǒyòu)は、時間や距離を含んだあらゆる量詞に対応可能な言葉なので、とても便利な表現と言えます。

ちなみに、「おおよそ」を表す言葉には他にも、大体(dàtǐ)、大概(dàgài)、大致(dàzhì)、大约(dàyuē)、约莫(yuēmò)などがありますが、これらは量詞と共に用いるとは限りません。

もし、量詞と共に用いることがあれば、例えば大约三个月以前(dàyuēsāngeyuèqián・おおよそ3か月前)のように、数字(量詞)よりも前につきますので、左右との違いとして覚えておきましょう。

以上説明してきたように、左右を使った、数量がおおよそである表現は、中国語でとても頻繁に使いますので、ぜひ覚えておきたい言葉です。

ちなみに左右は、実は日本語でも中国語と同じくおよその意味があります。国語辞典などにも掲載されていますが、日本語ではあまり使われず、馴染みが薄いだけなのです。

東西(东西)の意味

日本語では

次は東西についてです。

日本語で東西と言えば、これも文字通り東と西を意味します。

東や西には方向・方位の意味がありますから、東西にも方向・方位の意味があり、「東西に走る国道」と言った表現をします。

また、西側と東側を対比する意味で使われ、関東・関西、東洋・西洋などと表現することもあります。

更に意味が転じて、「あちこち」や、「方々」、「世間」と言った意味で使われることもあります。

中国語では

では、中国語の場合はどうでしょうか。

中国の東西は东西(「ドンシ」と発音)と書きます(簡体字)が、実はこれには同じ漢字で異なる2つの熟語が存在します。

1つは东西ともに第一声の発音(dōngxī)をする場合(以下、前者)と、もう1つは东西は第一声、西は軽声の発音(dōngxi)をする場合(以下、後者)です。

前者では、日本語と同じで、東と西の意味を持ちます。

この場合、東西の方向の意味の他、「あちこち」「方々」と言った意味もありますので、ほぼ日本語と同じような意味・用法になります。

一方、後者には、日本語には無い「物」「物事」「品物」「物品」「商品」のような意味があります。

この場合、物事に対する全般的な意味がありますので、色々な場面でこの言葉を用います。

例えば、

这是什么东西?(zhèshìshénmedōngxi)

と言えば、「これはどんな物ですか?」の意味になります。

また、

去涩谷买东西(qùsègǔmǎidōngxi)

と言えば、「渋谷へ買い物に行く」と言う意味になります。

この东西は、有形の物事だけではなく、知識や芸術、事柄など無形の物事に対しても用います。

基本的な使い方ですが、普通名詞として主語や目的語などとして使用するのが一般的です。

そして、後者の东西は、日常的に使うと言う意味では、前者(東と西の意味)よりも用いる機会がとても多いのです。

本来は、方位を意味する东西(東西)という漢字が、なぜ物事の意味を表す単語になったのか理由はよく分かりませんが、とにかく広く使われます。

物事の意味としての东西。日本人にはピンときませんが、ぜひ覚えておきたい意味ですね。

ちなみに、東西と言えば東西南北を思い浮かべますが、中国語としても东西南北(dōngxīnánběi・「ドンシナンベイ」と発音)と言う言葉があります。

日本では、麻雀で「トンナンシャーペイ」(東南西北)などと言いますが、これとは語順も違い、正式な読み方は「ドンシナンベイ」です。

但し、4つの方角を意味する言葉としては、四方(sìfāng)や四面八方(sìmiànbāfāng)を使う方が一般的です。

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