中国語の「差不多」は、日本語で使う漢字と同じなので、表現としてはとても分かりやすいです。

差不多はとてもよく使う表現
しかし、語源から来る本来の意味とは別な意味もあり、とても頻繁に使う言い回しでもあるので、ぜひ覚えておきたいフレーズです。
本来の意味は
差不多を単純に日本語で読めば「差が多くない」となります。
但し、日本語で「多くない」と言った場合、「多くは無い」の意味もありますので、それなりの分量がある場合にも同じ表現をします。
しかし、中国語の場合、「多い」の否定形は、あくまで「少ない」になりますので、差不多の正確な意味は、「差が少ない」すなわち差が殆どないことを意味します。
つまり、ほとんど同じである「同じくらい」を意味する表現のひとつとして使うのです。
こんな表現がされる
では、実際にどんな使い方をするかですが、同じくらいという意味を表す場合によく使います。
大差がない、ほぼ同じ、ほとんど同じ、ほとんど違わない、などの言いまわしは日常会話でとても頻繁に出てきますが、差不多は、このような表現をする場合に使います。
例を上げてみましょう。
・我工资跟他差不多:私の給料は彼とほとんど同じだ。
・他们三个都差不多高:彼らは三人とも同じ背丈だ。
本来の意味以外として
さて、差不多は慣用句にもなっていて、本来の意味とは少し異なる意味が2つあります。
具体的には下記の2つの意味です。
(1)たいていの、ほとんどの、だいたい
(2)ほぼ良い、まずまずである
語源としての意味は「差が少ない」ですから、上記の2種の意味はちょっとピンと来ないかもしれません。
しかし、これにはきちんと理由があります。
(1)の意味の場合、実は「全体」という基準が差不多の背後にあるのです。
つまり、
「全体に対して差が少ない」→「たいていの」「ほとんどの」
という流れがあるため、「ほぼ全体」というような意味になるのです。
全体という基準は差不多という文字に含まれていないから分かりにくいのですが、文字の裏にそのような基準が隠れていることを認識すれば理解しやすいでしょう。
(2)の場合、意味としては「まあまあ」ですから、これも語源から考えるとピンとくる人は少ないと思います。
しかし、これにもきちんとした理由があり、これは、(1)の理由と少し似ています。
実は、(1)の場合に「全体」が基準となっていたのに対して、(2)の場合は「良しとされる一定の基準」が背後にあり、その基準に対して「差が少ない」という意味になります。
つまり、
「良しとされる一定の基準と差が少ない」→「ほぼ良い」「まずまずである」
のような流れがあるのです。
このように本来の意味は差が少ないという差不多ですが、背景に暗黙の基準があることで違った意味を持つのです。
そして差不多は、これら(1)(2)の意味として、とても頻繁に使われます。
こんな使われかたをする
では、実際にどんな表現などで使われるでしょうか。
具体的な例文を見てみましょう。
まず(1)の、たいていの等の意味です。
・差不多有三百个:だいたい300個あります。
・差不多的大学生都会说英语:ほとんどの大学生は英語を話せます。
一般に、差不多の後に的を付けて、名詞を修飾して使うことが多いですね。
次に(2)の、まずまずである等の意味です。
・我觉得差不多了:私はまずまずだと思う。
・玩儿得差不多了、回家吧:十分遊んだから家に帰ろう。
2つ目の例文は意味が違うのではと感じる人もいると思います。
しかしこれは、「充分遊ぶ」という一定の基準に対して差がないという意味で、自然な表現なのです。
以上、差不多の意味・について説明してきました。
日常でとてもよく使う言い回しですから、ぜひ覚えておきたいですね。