私が中学時代に励んでいたバスケットの部活において、当時、コーチ兼顧問を務めていた教師の「激励のひと言」が、今でも脳裏に焼き付いて離れません。
既に三十年以上も経過した今日においても、時々思い出しては、胸を熱くすると同時に、激励のひと言の大きさを強く感じるものです。
そんな忘れることのできない激励のひと言について書き留めたいと思います。
新チームスタート
私が通っていた中学校では、いち教師がバスケット部の顧問を務めていましたが、その教師は、バスケットの経験を持っていたことから、コーチとしての役割も果たし、自ら一緒にプレーするなど、クラブ活動にもけっこう熱心な方でした。
その激励の一言があったのは、私のひとつ上の学年である3年生が、最後の大会を終えて引退し、いよいよ私たち新2年生が主役となる、初夏の練習後のミーティングにおいてでした。
新しい代としてスタートしたばかりの頃で、チームとしてもまだまだ、まとまりが無かった時期でもあり、そんなチーム員の士気をあげて、チームとして一丸となって前進できるように、との意図で発せられた一言だったのだと思います。
激励の一言
そのひと言は、ある放課後の練習を終えた直後である18時頃、いつものように体育館の片隅において、コーチを取り囲むように指導を頂く時に聞いたものです。そのひと言とは、
「お前たちが、俺にしっかりついて来て、練習にきちんと励んで行くのなら、新人戦には絶対に優勝させてやる」
というものでした。
このひと言を耳にした瞬間、全身に鳥肌が立つくらいの感動を覚え、心中「頑張って行こう」と決意したことは、決して忘れるものではありません。
そして、この後、更衣室で着替える最中、部員達の間では「さっきのコーチのひと言、感動したよな!」「本当に感動だよなぁ」との言葉が飛び交っていて、「みんなも感動していたんだ」と気付きました。
結果に出る
そのひと言が、当時のバスケ部員・チーム員にとって、実際にどれくらい励みになったかは、正直、分かりません。ただ言えることは、あのひと言があったから「頑張って行こう」との気持ちを強く持てたことには、間違いがありません。
そしてその年の秋、いよいよ新人戦が開始されたのですが、地元のライバル校を破り、更に、平均身長が5cmも上回る強豪を破り、優勝候補と言われた相手を破り、見事、三十数校ある中学校の頂点に立ち、優勝を決めることができたのでした。
その時、あるチーム員は「コーチの言った通り、本当に優勝できたな!」と語っており、あの時のひと言が、胸の奥に強く刻まれていたのだと、実感したものでした。
これは、私にとって、ひとつのドラマを生んだ、若き日のいちペイジともいうべき話ですが、ある意味、貴重な経験でもあり財産でもあります。
このひと言を思い返すとき、励ますこと、激励のひと言って本当に大事なことだとつくづく思うもので、今は、この経験を、職場の後輩や、若い世代の人々を励まし、勇気づける力に変えて行きたいと考えています。