“太”という漢字を見ると、真っ先に思い浮かぶのが「太い」という意味だと思います。
また、太いという意味から大きいことなどを意味することもあります。
しかし、中国語の場合は「太」の意味や用法で、日本語と異なる点があり、これを知らないと文意が全く分からなくなることもあります。
日本語の「太」
日本語の「太」は、太い、太るといった使いかたをして、幅や径が大きい・広いといった意味を持ちます。
また、その意味から派生して、肉や脂肪がついている意味にも使います。
更に、意味としてたっぷりであるとか豊かである、ゆったり落ち着いた様の意味をもつことから、太い声とか図太い神経のような言い方もします。
これらはいずれも反対語として、「細い」という言葉が存在します。
そして、熟語としては太鼓、太陽などがありますが、太鼓は太い鼓(つづみ)であることから生まれた表現ですし、太陽は陽が豊かであることによります。
また、太には「ゆったり落ち着いた様」の意味がありますが、これは「泰平」と「太平」を同じ意味として使うところに表れています。
太平洋は、穏やかな海を表す「Pasific」を和訳したものですが、太平洋(=泰平洋)と考えると分かりやすいですね。
ちなみに太は、ひらがなの「た」のもとになった漢字です。
中国語の「太」
では、中国語における「太」(tài)の意味はどうでしょう。
実は、中国語の「太」は、太いのような意味としては通常使いません。太いを表す言葉としては、中国語では通常「粗」(cū)を使います。(詳細は後述)
中国語の「太」は、大きいとか高い、或いは最高の、最大の、最もなど、程度の大きさを表す表現でつかいます。
太空(tàikōng)と言えば、大気圏外・宇宙のことですし、太古(tàigǔ)といえば太古のことを意味しますが、いずれも上記の意味から生まれています。
しかし、「太」を最も多く使う用法は、極めて、甚だしく、すごく、ひどく、たいへん、とても、などの意味の、形容詞や動詞を修飾する副詞としての使い方です。
例えば、
今天太热(jīntiāntàirè)
といえば「今日はとても暑い」という意味になります。
ここで注意すべきことは、「太」には「~すぎる」と言った、程度を超えているという意味が含まれていることです。
従って、「太○○」と言えば、通常は悪い意味、つまり望ましくない状態を表現する時に用います。
【あわせて読みたい】中国語の会話力やリスニング力を付ける勉強なら、この方法が一番
覚えておこう!こんな用法
さて、「太」を使う用法でぜひ覚えておきたいのが「太~了」という定型的な表現です。
これは、意味としては「非常に~だ」と言う強調する表現で、「太」を単体で用いる場合と意味としては近いです。
しかし、「太」を単体として使う場合とは異なり、良い意味や望ましい状態を表現する場合にも使えます。
例えば
太漂亮了(tàipiàoliangle)
といえば「とてもキレイだ」という意味になります。
また、
太好了(tàihǎole)
といえば、「素晴らしい!(とても良い)」という意味で、この種の表現は、日常でとても頻繁に使われます。
他にも、
太贵了(tàiguìle)
とえば「値段が高すぎる」ことを意味し、買い物で値切る時によく使われます。
このように「太~了」という定型的な表現は、「とても~だ」という意味で頻繁に使われます。
ぜひ覚えておきたい用法です。
せっかくですので、比較的よく使われる、ぜひ覚えておきたい表現をいくつか列挙しておきます。
太窝心了(tàiwōxīnle):ひどく悔しい
太臭了(tàichòule):とても臭い
太丑了(tàichǒule):醜すぎる
太开心了(tàikāixīnle):とても楽しい
太麻烦了(tàifáfánle):とても煩わしい
太棒了(tàibàngle):とても立派だ
太好吃了(tàihǎochīle):すごく美味しい
【あわせて読みたい】私が中国語を学ぶキッカケになった中国語学習の意義の大きさ
否定形には注意
そして、更に覚えておきたいのが、否定文についてです。
分かりやすいように「好」(良いという意味)という表現を例にして説明します。
好は良いという意味ですから、これに否定の「不」を付けて「不好」と言えば、良くないという意味になります。
また、強調の意味を持つ「太」を「好」に付けて「太好」と言えば、とても良いと言う意味になります。
一方、強調の意味を持つ「太」を「不好」に付けて、「太不好」と言えば、とても良くないという意味になります。
逆に、強調された「太好」を否定文にする場合には「不」を付けて、「不太好」となりますが、この場合の意味はあまり良くないになります。
つまり、
「太好」(とても良い)を否定→「不太好」(とても良い訳ではない→あまり良くない)
「不好」(良くない)を強調→「太不好」(良くない程度が大きい→とても良くない)
となります。
同じ否定文でも意味が異なって来ますので、こんな使い方の違いも覚えておきたいですね。
太いの意味を持つ表現
さて、中国語では「太」は太いと言う意味では使わず、代わりに粗(cū)を使うことは前述しましたが、実際にどのように使うのかを説明します。
粗は、対象となる名詞の前につけて「太い○○」と言う表現をします。
例えば、粗木板(cūmùbǎn)と言えば太い木の板の意味です。
また、粗绳子(cūshéngzi)と言えば太いロープの意味です。
太い意味を表す一般的な言葉ですから、とても広い範囲で使われ、腕が太い場合や声が太い場合にも使われます。
粗(cū)は太いと言う意味ですから、反対語は細い意味を持つ细(xì)になります。
粗には太い意味の他にも、大きいと言う意味や粗(あら)いという意味もありますので注意が必要です。
ちなみに、身体が太っている場合には、胖(pàng)を用い、我又胖了(wǒyòupàngle)と言えば、「私は、また太った」と言う意味になります。
但し、身体の一部の太さを表現する場合は、粗腿(cūtuǐ・太い足)のように粗(cū)を用います。
【あわせて読みたい】中国語辞書なら圧倒的に電子辞書が便利!特にCASIOの中国語モデルは絶対おすすめ