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日本語の「的」にはない中国語の「的」の意味~的を省略する場合を詳細解説

中国語は漢字で書かれているため、日本人が文章を見た場合、大まかな内容は見当がつきます。

しかし、使われている漢字に、日本語には無い意味や用法がある場合には、見当がつかず大意がよく分からないこともあります。

中国語のには、日本語の的には無い意味がある

漢字の「」もそのような漢字のひとつで、日本語には無い意味があります。

日本語の「的」の意味

日本語で「的」を使う場合、○○的(てき)といった表現をして、「そのような」、「それらしい」というような意味を持ちます。

抽象的、積極的、自発的、発展的、社交的など、色々な言い方をして、形容詞のような使い方をします。

また、「的」を「まと」と読めば、何かの目標や、目指す対象、めあてなどの意味を持ちます。

この意味から、弓矢やライフルなどの競技における目標物を指して「的」と呼ぶようになりました。目的、標的という使い方もこの類です。

更に、物事の核心という意味もあり、例えば「的をえた質問」などのようにも使われます。

そして、「的」という漢字そのものには、あきらかの意もあります。

中国語の「」の意味

では、中国語で「」を使う場合はどうなるでしょう。これには、大別して、ディ(di)と読む場合とダ(de)と読む場合の2通りがあります。

を「ディ」と読む場合は、日本語と同じような、的(まと)のことを指したり、目的という述語として使ったり、明らかである意味として用いたりします。

また、日本語と同じように的確などという使い方をして、確かである意味で使うこともあります。

一方、を「ダ」と読む場合は、日本語では使われない「~の」を意味する用途に使われます。

最も一般的な使い方は、所有を表す「の」で、例えば、我的笔(wǒdebǐ)といえば私のペンという意味になります。

所有の「の」を使った中国語の面白い例に、你的我的我的我的(nǐdewǒdewǒdewǒde)という表現がありますが、これは日本語でも昔よく流行ったフレーズ「あなたの物は私の物、私の物は私の物」を意味し、よく使われています。

また、日本語で一般に「の」と表現されるさまざまな言い方にも使われ、例えば、一天的晚上(yītiāndewǎnshàng)といえばある日の晩、日本的人口(rìběnderénkǒu)といえば日本の人口と言う意味になります。

「~の~」の表現は、基本的に前の言葉が後の言葉を修飾する働きを持ちます。

上記で最初の例として挙げた所有の意味の他にも、所属、所在、属性、場所、数量、比喩、分野、内容など、とても広い範囲で使われます。

参考のため、的を使った表現をいくつも挙げておきましょう。

姐姐的本书(jiějiedeběnshū)…・・・姉の本
理科的大学毕业生(lǐkēdedàxuébìyèshēng)…理科系の大卒生
车站前的图书馆(chēzhànqiándetúshūguǎn)…駅前の図書館
杯子里的啤酒(bēizilǐdepíjiǔ)…コップの中のビール
失败的原因(shībàideyuányīn)…失敗の原因
上个月的工作时间(shànggeyuèdegōngzuòshíjiān)…先月の勤務時間
一亿日元的存款(yīyìrìyuándecúnkuǎn)…一億円の貯金
长野的冬天(chángyědedōngtiān)…長野の冬
不屈不挠的精神(bùqūbùnáodejīngshén)…不屈の精神

的はとても多用な漢字で、他にも形容詞的な言い回しを表現するなど色々な使い方があり、奥が深いのでここでは説明しきれないほどです。

我々日本人が心得ておく意味としては「〇〇の△△」という「の」の意味で、これだけ頭に入れておけば、形容詞的な使い方をしていても、全体の文章の意味としては把握しやすいでしょう。

例えば、上記に倣って、高大的房子(gāodàdefángzi)を訳そうとすれば、「高く大きいの家」となりますが、意味としては「高くて大きい家」ということが推測して直ぐに分かるでしょう。

また、美丽的景色(měilìdejǐngsè)をそのまま訳せば、「きれいの景色」となりますが、「きれいな景色」という意味であることが理解できます。

なお、私の妻と表現する場合、我的老婆(wǒdelǎopo)となりますが、関係の明らかな人物などを表す場合は「」が省かれ、我老婆(wǒlǎopo)というのが一般的となります。

ちなみに、老婆(lǎopo)は年老いた女性ではなく、妻の意味です。

」の要否

さて、上記に挙げた「」を省略できるケースはあくまで一例で、実際には省略する場合が色々あります。

」をつけるのかつけないのか、省略できるのかできないのか、必要なのか不要なのかについては、けっこう複雑ですので、ここに整理しておきます。

の要否について大別すると、

(1)省略できる或いは省略すべき場合
(2)省略できない場合

に分けられます。

以下、これら2つに分けて説明します。

(1)省略できる或いは省略すべき場合

省略できる或いは省略すべき場合は、下記(a)~(d)のようにいくつかのパターンがあります。

(a)人称代名詞とそれに対する関係が明確な場合
(b)1つの熟語として扱われる場合
(c)常用的な表現の場合
(d)属性を表す修飾語が単音節の場合

以下(a)~(d)の4つに分けて説明します。

(a)人称代名詞とそれに対する関係が明確な場合

人称代名詞の後に、その人称代名詞との関係が明確な場合は、的を省略することができます。

特に、父母や兄弟姉妹などの親族の場合は、省略する方が自然で、通常は省略します。

例を挙げると下記の通りです。

我的妈(wǒdemā)→我妈…私のおかあさん
她的姐姐(tādejiějie)→她姐姐…彼女のお姉さん
你的弟弟(nǐdedìdi)→你弟弟…あなたの弟さん

家族や親族以外でも、関係が明確な場合は、以下の例のようにたびたび省略されます。

我们的学校(wǒmendexuéxiào)→我们学校…私たちの学校
他的家(tādejiā)→他家…彼の家

(b)1つの熟語として扱われる場合

1つの熟語となっている場合には的は省かれます。例を挙げると下記の通りです。

语文教师(yǔwénjiàoshī)…国語の教師
数学老师(shùxuélǎoshī)…数学の先生
商业中心区(shāngyèzhōngxīnqū)…商業の中心地

日本語では「国語の教師」などと言いますが、中国では小学校から科目ごとに担当教師が異なりますので1つの言葉(熟語)になっています。

日本語で「~の~」という表現であっても、中国語に相当する熟語があれば””は付けません。

(c)常用的な表現の場合

日常的によく使われる表現の場合、しばしば的を省略します。例えば、下記のような場合です。

IT的技术(ITdejìshù)→IT技术…ITの技術
诉讼的费用(sùsòngdefèiyong)→诉讼费用…訴訟の費用
历史的教训(lìshǐdejiàoxun)→历史教训…歴史の教訓

但し、この類の中には、上記(b)の「1つの熟語として扱われる」場合と解釈できる場合もあります。

(d)属性を表す修飾語が単音節の場合

前述しましたが、中国語では形容詞と名詞を直接つなげない場合があります。

日本語を学んだ中国人が、「赤いの花」「高いの山」のような不適切な日本語を話すことがよくありますが、これは中国語では「形容詞+的+名詞」のような使い方が多くあるためです。

このように形容詞にを使う場合、その修飾語(形容詞)が単音節の場合にはを省きます。

例えば以下の通りです。

皮衣(píyī)…革製の服
圆桌(yuánzhuō)…丸型のテーブル(丸いテーブル)
青山(qīngshān)…青色の山(青い山)

この種の中には、上記(b)の「1つの熟語として扱われる」場合と解釈できる場合もあります。

但し上記には例外もあって、特別な意味を持たせる、具体的な状態を表す、強調する必要があるなどの場合には的を用いることもあります。

(2)省略できない場合

省略できない場合にも、下記(a)~(d)のように、いくつかのパターンがあります。

(a)同格の場合
(b)特別な意味を持たせた場合
(c)修飾部が長い場合
(d)意味が変わる場合

以下(a)~(d)の4つに分けて説明します。

(a)同格の場合

の前後の言葉が同格な場合は省かれます。例えば以下のような場合です。

学生小张(xuéshengxiǎozhāng)…学生の張
朋友小林(péngyouxiǎolín)…友達の小林
总经理李先生(zǒngjīnglǐlǐxiānsheng)…社長の李さん

いずれも、「学生=小张」のように前後の言葉が同格であることが分かります。

(b)特別な意味を持たせた場合

修飾する言葉に特別な意味を持たせる場合には、を省くことができません。

钢的意志(gāngdeyìzhì)…鋼の意志
泪的告白(lèidegàobái)…涙の告白
血的教训(xuèdejiàoxun)…血の教訓

意志は鋼でできているわけではなく、強い意志を表す特別な意味として使っています。

泪的告白は、中国で流行した音楽(曲)のタイトルで使われたフレーズで、血的教训は小説のタイトルとして有名ですが、いずれも、本来の言葉の意味ではなく、比喩的な特別な意味を持たせているため、を省くことができません。

(c)修飾部が長い場合

の前にくる修飾部が長い場合には、が必要になります。例えば、

白色的大木杯(báisèdedàmùbēi)…白い大きな木のコップ

のような場合です。

この文では、修飾部が「白い」、「大きい」、「木の」という3つの修飾成分を持ち長くなっていることからを付けます。

修飾成分が複数あってもあまり長くない場合は、下記の例のようにを用いず表現できる場合もあります。

白色木杯(báisèmùbēi)…白い木のコップ
大白杯子(dàbáibēizi)…大きな白いコップ

また、上記で既に修飾語(形容詞)が単音節の場合にはを付けないと説明しましたが、これとは逆に複音節の場合(下記の例)にはを付けます。

结实的杯子(jiēshidebēizi)…丈夫なコップ

更に、の前の修飾語(形容詞)を修飾する副詞が来る場合(副詞+形容詞の構文)にも、を省けません。(下記)

很大的箱子(hěndàdexiāngzi)…とても大きな箱
跑得快的选手(pǎodekuàidexuǎnshǒu)…走るのがとても速い選手

(d)意味が変わる場合

を省くことで、文の意味が変わってしまう場合には、を省くことができません。

例えば下記の例のような場合です。

那样的皮包(nàyàngdepíbāo)…そのような革のかばん

那样は、そのようなと言う意味で、対象の性質、状態などを指す言葉です。

上記の表現をすることで、具体的には「そのような形状の」と言った性質や状態を意味します。

これに対して、を省いて

那样皮包(nàyàngpíbāo)…そのような皮のかばん

と表現すると、対象の性質や状態ではなく、対象そのもの(革のかばん)を意味することになります。

つまり、があると対象の性質や状態を意味し、がないと対象そのものを意味しますので、前者の意味として表現したい場合は、を省くことはできません。

後者の場合は、対象そのものを意味しますので、

那样一个皮包(nàyàngyīgepíbāo)

のように、量詞を付けた表現ができます。

また、別の例として下記のような場合があります。

日本的朋友(rìběndepéngyou)…日本の外交上の友人
日本朋友(rìběnpéngyou)…日本人の友達

この例では、を付けるか付けないかで、意味が全く異なりますので特に注意が必要です。

被修飾語の省略

的を使う場合、「〇〇の△△」(〇〇的△△)のような構文で、修飾語〇〇により被修飾語△△が修飾されます。

この時、被修飾語に相当する△△の部分を省略できる場合があります。

省略できる主なケースを挙げると下記の通りです。

(1)被修飾語が一般の人や物を指す場合
(2)修飾語が限定または分類を意味する場合
(3)修飾語が動詞で被修飾語がその動詞の主語か目的語の場合

では、この3種について詳しく説明しましょう。

(1)被修飾語が一般の人や物を指す場合

修飾される言葉が、一般の人や物を指す場合には、の後ろの語を省略することができます。

例えば、下記の文です。

他的工资多,我的(工资)少(tādegōngzīduō, wǒdegōngzīshǎo)…彼の給料は多いが、私の給料は少ない

被修飾語である給料(工资)は、一般のものを指しますので、省略することができます。

但し、例文の前半の工资については、対象が何であるかが不明となるため省略することはできません。

次の例を見てみましょう。

班里的(人)谁都没来(bānlǐderénshéidōuméilái)…クラスの人は誰も来なかった

この例でも、被修飾語である人は一般の人のことを言いますので、省略することができます。

このように、被修飾語が一般の人とか物である場合は、被修飾語を省略することができます。

但し、被修飾語に具体性がなく、対象が不明な場合は省略することはできません。

上記の第一例では、対象が給料であることが明確なので省略でき、第二例では、クラスの人が誰であるかが自明なので省略できます。

対象が抽象的で、被修飾語が何に相当するかが不明となる場合は省略できないのです。

(2)修飾語が限定または分類を意味する場合

修飾される言葉が限定される場合や、分類された場合は、これを省略することができます。

限定や分類されることで、対象が何であるかが明確であるからです。

例えば、下記の例の通りです。

两个男孩儿,大的八岁,小的五岁(liǎnggenánháir, dàdebāsuì, xiǎodewǔsuì)…二人の男の子のうち、大きいの(男の子)は8歳で小さいの(男の子)は5歳だ
请给我一朵青的(qǐnggěiwǒyìduǒqīngde)…私に青いの(花)を一輪ください

上記の最初の例では、最初に「二人の男の子」と述べていて、それらを大きい子(大的)と小さい子(小的)とに分類した内容を後半で述べていますので、の後にくるのは自ずと「男の子」(男孩儿)であることが分かります。

また、2番目の例では、一朵青的と言えば「青い一輪の花」のことを表し、対象が何であるかが限定され、明らかとなるので省略できます。「」は花などに用いる量詞です。

このように、対象が分類されたり、限定されたりする場合は、修飾される言葉が自明となりますので、省略できるのです。

(3)修飾語が動詞で被修飾語がその動詞の主語か目的語の場合

修飾する言葉が動詞で、修飾される言葉がその動詞の主語か目的語の場合は、の後ろの被修飾語を省略することができます。

例えば下記の文です。

滑冰的(人)很少(huábīngderénhěnshǎo)…アイススケートをする人はとても少ない

滑冰は、直訳は「氷を滑る」で、アイススケートをするという意味の動詞です。

の後に来る「人」は、この動詞の主語に相当しますので、の後の被修飾語を省略することができます。

たとえ”動詞+的”の構文であっても、被修飾語がこの動詞の主語にも目的語にもならない場合は、に続く被修飾語を省略することはできません。

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