医療費が10万円を超えると、超えた分についてが所得税の控除対象となるので、確定申告で申請すれば、控除後の課税額と、既に納税した税額との、差額分だけ税金が戻って来ることは、知っている人も多いと思います。
持病があるとか、大きな病気をしたとか、通院が続いた、といったことがないと、年間10万円の医療費が掛かることは、なかなかありませんので、医療費控除は無縁だと思っている人もいることでしょう。
出産時にこそ医療費控除を
しかし、家族がみんな健康であっても、出産ともなれば、ほとんどのケースで医療費控除を受けられるものです。それは、出産費用のみならず、妊娠中の定期検診や分娩の介助料等、出産に関連した通院の中でかかる費用の多くが、医療費として認められるからに他なりません。
特に、出産育児一時金の枠を超える出産費用や、1回数千円かかる定期検診などの費用はけっこうな額になりますので、出産に関する費用だけでも10万円を超えることでしょう。
これを知らないで申告しないと、せっかく還付される税金も戻ってこなくなるので、とてももったいない話です。
通院費用や一般医薬品の購入も含まれる
医療費として認められる範囲は、医師等による診療等を受けるために直接必要な費用ですが、通院に必要な公共交通機関の費用も含まれますし、かぜの治療のために使用する一般の医薬品の購入費用も対象になります。
ただし、美容や健康促進といった治療に属さない費用や、診断書等の文書発行費用などは含まれません。
また、医療保険金や、健康保健組合から支給される医療費、出産育児一時金、医療のための給付金などは、医療費から差し引く必要がありますので、注意が必要です。
申請方法は難しくない
詳細は、申請方法も含めて、国税庁のホームページにも記載されていますし、ネット上には情報を提供しているサイトも豊富にありますので、それに従って申請すれば、決して難しいものではありません。
もし、迷うような事や不明な点があれば、最寄りの税務署に問合せすれば、細かく教えてもらえますので、税理士などに依頼するまでもありません。
どれくらい還付されるか
さて、気になるのは、どれくらいの額が還付されるかですが、医療費に幾らかかったのか、収入は幾らか、生命保険等その他の控除額が幾らになるかによっても異なりますので、一概には言えません。
しかし、だいたいの目安としては、掛かった医療費全てから、健康保健等からの補てん額と10万円を差し引いた額を求め、算出後の額に対する10%~20%くらいが還付されると考えれば良いと思います。
私の場合は、かかった費用が七十余万円で、健康保険等からの補てんが五十万弱、差し引き約二十三万からさらに十万を差し引いた約十三万が控除対象となり、その10%すなわち一万三千円が還付されました。
医療費控除は無縁だと思っている人も、出産ともなれば、医療費控除を受けられるものです。申請には手間が掛かりはしますが、調べれば誰でもできることですから、本来戻って来る税金は、しっかりと還付してもらいましょう。