アロンアルファは、いろいろなものを瞬時に接着することができる瞬間接着剤ですが、値段はけっこうするものの、その便利さから利用している方も多いと思います。
しかし、蓋がしっかりできていなかったとか、長期間使っていなかったとかの理由で、接着剤が固まってしまって、途中で使えなくなってしまう経験をした方も、少なくないのではないでしょうか。
いざ使いたい時に使えないのはもちろん不便ですし、何よりも、接着剤がまだまだたくさん残っているのに使えなくなるのは無駄です。
しかも、比較的値段が張るだけに、とても勿体ないことです。
そんなアロンアルファですが、実は一般家庭でも、とても簡単に、接着剤の凝固を防ぐ保管ができるのです。
優れた保管方法
その保管の仕方とは、ズバリ「冷凍庫のなかにアロンアルファを保管する」という方法です。
もちろん、冷凍庫は普通の家庭にある、一般的な冷凍庫で構いません。
具体的には、アロンアルファを付属の黄色いケースに入れ、そのケースごとチャック付のビニール袋に入れて、冷凍庫の適切な場所に入れて置くだけです。
もちろんアロンアルファの蓋はしっかり閉め、黄色いケースの蓋もきちんと閉めておくことが大切です。
また、ビニール袋のチャックもしっかり閉めておきましょう。ビニール袋は、冷凍庫内の他の物と区別しやすいように、少し大きめの方が望ましいでしょう。
可能であれば、ビニール袋内に乾燥剤を入れておくと、なお効果的です。
あとは、使う時に取り出して、使い終わったら直ぐにまた冷凍庫にしまえば良いだけです。
アロンアルファは融点が低い(マイナス30℃くらい)ので、一般の家庭用冷凍庫の温度(一般的にはマイナス18℃くらい)でも固体にならず、取り出したら直ぐに使うことができます。
たったこれだけの方法で、アロンアルファを無駄なく、最後まできちんと使い切ることができるようになるのです。
中には、「食料を保存する場所と同じだと気持ち悪い」と感じる人もいると思いますが、アロンアルファの主成分は有害性が低いため、きちんとビニール袋に入れておけば問題はありません。
空気ではなく湿気を嫌う
では、なぜ冷凍庫に保管するとアロンアルファの凝固を防ぐことができるのでしょう。
接着剤は、空気に触れてしまうことで凝固してしまう、というイメージを持っている人も多いと思います。
私もこの保管方法を友人から教えてもらうまでは、空気に触れることが原因だと思っていました。
しかし実際は、接着剤が凝固してしまう原因は、空気中に含まれる水分に触れてしまうことによるのです。
アロンアルファの主成分は、シアノアクリレートと呼ばれる化学物質ですが、この物質は水分に反応して凝固する性質を持っています。
逆に言えば、この種の瞬間接着剤は、全てこの性質を利用して、空気中や接着対象となる物質に含まれる水分と反応させることで接着力を得ています。
従って、基本的に水分が無く乾燥している冷凍庫(水分は氷となっている)では、アロンアルファを凝固させてしまう要素が極めて低いため、固まることを防止できるのです。
保存に関するメーカの見解は
さて、ここで気になるのはメーカの見解でしょう。
メーカの公式サイトには、保管方法に関して次の記述があります。
Q長く使うにはどんな保管がいいの?
A冷蔵庫に保管すると長持ちします。
使用後はノズルについた接着剤を厚手の紙や布でふき取り、キャップをしっかり閉めて冷蔵庫で保管すると長持ちします。ふき取るときにティッシュや薄手の布は使わないでください。発熱してやけどの恐れがあります。
使用時は室温に戻してからお使いください。温度が低いと接着力が弱くなります。また、結露で容器のまわりについた水滴が容器内に入り固まりやすくなる可能性があります。
なお、食品や目薬と間違えない様にご注意ください。
これを見て分かるように、メーカでは「冷凍庫」ではなく「冷蔵庫」を推奨しています。これは、上記にもあるように接着力の低下を考慮しての見解と言えます。
シアノアクリレートを利用したこの種の接着剤は湿度を嫌うため、一般には「冷蔵庫」或いは「冷凍庫」での保存がよいとされています。
従って、冷蔵庫だけでなく冷凍庫の保存でも長持ちさせることができるのです。
メーカでは冷蔵庫を推奨していますが、私が冷凍庫の方が良いと考えるのは下記の理由によります。
- 冷凍庫の方が冷蔵庫よりも湿度が低い
- 冷蔵庫は開閉頻度が高く庫外の空気の影響を受けやすい
- 使用頻度の高い冷蔵庫だと邪魔になりやすい
実際に、どちらの保管場所にするかは、保管期間と利便性や接着力を考慮して決めればよいでしょう。
冷凍庫に保存する場合の注意点は以下の通りです。これは、メーカが記述した冷蔵庫保存の場合と同様です。
- 保管まえによくふき取る(浸透性の高い紙や布の使用は不可)
- 使用の際は室温に戻して使う
- 結露した水滴に注意する
- 食品などと間違えないように注意する
ふきとる時に、浸透性の高い紙や布を使うべきではない理由は、急激な化学反応(凝固)に伴って発熱するからです。
ちなみに、どんなに優れた保管方法でも限度はあり、何年も経過すれば固まって使えなくなります。
従って、使用頻度が低いのであれば、使い切りタイプのアロンアルファを選ぶのもひとつの方法です。
こんな用途にも便利
さて、瞬間的に接着できるので、とても便利なアロンアルファですが、意外と知られていない便利な使い方があります。
それは、切り傷などの措置に使用する方法で、実際に医療現場でも使われているとのことです。
もちろん、医療現場では医療用の専用アロンアルファというものがあるそうですが、私の友人が医師から聞いた話では、一般のアロンアルファでも何ら問題ないとのことでした。
用途としては、紙で指先を切ってしまったとか、カッターで手をきってしまったなど、傷口が開いてしまうような切り傷に効果的です。
傷口を瞬間的に閉じて、あとは自然治癒を待つ状態にできるので、水が傷口に浸み込んで痛むなどの症状を防げるのが大きな利点です。
私自身、今までこの方法を試したことはなかったのですが、指先をケガしたことを機会に実際に試してみました。気になる方は下記の記事をどうぞ。
もし、同じように試してみる場合は、あくまでも自己責任でお願いします。