日本の国道で最も標高が高い場所は、国道292号線の長野と群馬の県境である渋峠です。
そこには、標高が2172mもある国道最高地点と言われる場所があり、渋峠の尾根からほんの少し離れた場所には記念碑が設置されています。
近くには、この地域で最も高いと言われている横手山もあり、絶景を楽しむドライブコースとして一度は訪れたい場所のひとつです。
国道の標高最高地点
日本一標高の高い国道は、長野県から群馬県を通る国道292号線で、その最も高い地点は2172mあるため、2位の2120mと比較しても50m以上も差をつけた高所に位置しています。
群馬県と長野県の県境で、渋峠と呼ばれる山間部の尾根の脇にあり、近くには地域で最も高い横手山があります。
この地域一帯は、上信越高原(国立公園)に全て含まれ、国道292号は志賀高原などのリゾートエリアの開発に伴って開通されました。
住所としては、群馬県吾妻郡中之条町入山ですが、県境に位置しているため、近傍には長野県のリゾート地や観光地なども多く存在しています。
2000mを超えるエリアであるため、普段は見ることができないような景色を楽しめるほか、高山ならではの植物などを見ることもできます。
周辺全てが高原であるため景観が抜群なのですが、そんな優れた場所に歩かずアクセスできる点も魅力のひとつです。
歩かずして自動車だけで2000m超地点に到達可能。
つまり、楽して行ける。これがここの最大の利点です。
だからドライブのついでに足を伸ばすスポットとしても便利なのです。
ちなみに、標高最高地点の標高は前述の通り2172mで、緯度は北緯36°39’38″、経度は東経138°32’6″です。
マップコードは「341 559 798*70」です。
「マップコード」および「MAPCODE」は(株)デンソーの登録商標です。
周辺はこんな場所
さて、このエリアですが、リゾート地として開発されたため、周辺には魅力ある場所がたくさんあります。
国道最高地点は、そんな数々の魅力ある場所を訪れるついでに足を延ばすのに最適です。
国道最高地点の石碑がある地点から数百メートル長野県側に移動すると県境になりますが、そこには駐車場があり、そこから山道を通って横手山へ登ることができます。
また、そこから渋峠ロマンスリフトに乗ることもでき、横手山へ楽に登ることもできます。
横手山は周辺で最も高い山ですから、山頂付近からは周辺を一望できますが、特に満天ビューテラスという施設からの眺めは絶景と言われています。
国道最高地点から、長野方面へ1kmほど移動した道路脇には展望台(駐車場あり)があり、広がる高原を一望することができます。
また、長野方面へ2.3kmほど移動した地点には、比較的広い横手山ドライブインがあり、ひと休みする場所として適しています。
このドライブインから一望できる景色も見ごたえがあり、信州のサンライズスポット百選にも選ばれているとのことです。
ドライブインの直ぐ隣には、横手山スカイレーターと呼ばれるエスカレーターのような有料の交通手段があり、リフトを乗り継いでここからも横手山に登ることができます。
このドライブインから更に長野方面へ10kmほど行くと、志賀高原の入り口となる長野県道471号との交差点があり、更に10kmほど行くと上林温泉の入り口に至ります。
さらにその先には湯田中温泉があり、温泉に入る猿で有名な野猿公苑(地獄谷温泉)など、色々な行楽地や観光地とつながっています。
一方、群馬県側ですが、国道最高地点から4kmほど東へ移動するとそこには万座温泉があり、更に十余キロ進むとそこには草津温泉があり、色々なリゾート地に囲まれていることがよく分かります。
国道最高地点は、まさに旅程の途中に車で気楽に立ち寄れる場所だと言えます。
基本的なアクセスルートは
国道292号は大雑把に言えば、長野県と群馬県の間を斜めに通っている幹線道路。
だから、そのルートのほとんどは高原を通り抜けていて、全体的に傾斜のある緩やかな坂道が続きます。
そして、アクセス方法は基本的に国道292号線を長野側(北西側)から南東方面へ向かうか、群馬側(南東側)から北西方面へ向かうかの2通りです。
長野側から南東方面へ向かう場合、湯田中温泉のある山之内町あたりから坂道らしい道が始まり、23km余で国道最高地点に至ります。
このルートの場合、カーブごとにカーブの番号が振られていますので、ドライブ中の目安になります。(横手山ドライブインまでは51号ある)
一方、群馬側から北西方面へ向かう場合、草津温泉のある草津町あたりから本格的な坂道となり、18km位で国道最高地点に達します。
これら国道292号のルートを利用する場合、道路は割と広めで整備されていますので、走行しやすいと言えます。
但し、降雪により冬場は閉鎖となる区間がありますので、注意が必要です。
他にも、野沢温泉村から南下して県道502号と471号を経由して国道292号に合流するルートや、高山村から県道66号を通って国道292号に入るルートなどがあります。
しかし、走行しやすいと言う意味では、国道292号のみを利用するのがベストです。
なお、春や秋でも、山間部は凍結している場合もありますので、気温などは事前によく調べておきましょう。
傾斜が緩やかだからアクセスしやすい
さて、国道最高地点がなぜ手軽に立ち寄れる場所なのか。
それは、アクセスルートである国道292号線の勾配が割と緩やかだからです。
実際、走りやすさからバイクでツーリングするライダーや、自転車でサイクリングする愛好家も多くいて、晴れた日などは道中でよく見かけるくらいです。
特に、自転車の場合、急勾配だと走行するのは難しいものですが、自転車が得意な人なら走ることができます。(もちろん楽ではないでしょうが…)
では、実際の傾斜がどれくらいなのか見てみましょう。
長野側からは、山之内町にある292号の上林温泉入り口付近から坂が始まっていますが、ここの標高は769mで国道最高地点(標高:2172m)までの道のりは約22.9km。
この区間の平均的な勾配を計算すると、3.5°になります。
このルートの途上に、志賀高原方面へ分岐する長野県道471号がありますが、この県道との分岐点の標高は1490mで、この分岐点から国道最高地点までの残りの道のりは約13.0kmになります。
分岐点から国道最高地点までの区間の平均的な勾配を計算すると、3.0°になります。
では、群馬県側からだとどうでしょうか。
草津温泉の群馬県道55号と292号線の分岐点(標高:1245m)を基点とすると、国道最高地点までの道のりは約17.5kmですから、この区間の平均的な勾配を計算すると、3.0°になります。
このルートの途上には万座温泉がありますが、群馬県道466号と292号との交差点(標高:1969m)を基準とすると、国道最高地点までの道のりは約4.0kmですから、この区間の平均的な勾配を計算すると、2.9°になります。
以上、平均的な勾配について簡単にまとめると、
上林温泉入り口付近 →国道最高地点(走行距離:22.9km)・・・3.5°
長野県道471号交差点→国道最高地点(走行距離:13.0km)・・・3.0°
草津温泉55号交差点 →国道最高地点(走行距離:17.5km)・・・3.0°
万座温泉466号交差点→国道最高地点(走行距離: 4.0km)・・・2.9°
目安として、
勾配が3.0°:100mの走行で標高が5.2m高くなる
勾配が3.5°:100mの走行で標高が6.1m高くなる
です。
決して、勾配がきつくないことをイメージしてもらえると思います。
参考までに、白馬地方に自動車で走行可能な道路(国道ではない)がありますので比較してみます。
このルートは、リフトがある黒菱平と呼ばれる標高1679mの山腹までつながっていて、道中は、いかにも山道という感じです。
ふもとの白馬岳線(県道322号:標高765m)からの道のりは9.6kmあり、計算すると平均勾配は5.5°もあります。
勾配が5.5°の場合、100m走行すると標高が9.5m高くなるくらいですから上記とはかなり違うことが分かると思います。
国道最高地点に至る国道292号の傾斜は、それほどきつく無いためアクセスしやすいのです。
最も注意すべきは天気と気温
ところで、国道最高地点に行く場合、絶対に注意すべきは天気と気温です。
この地域は自然にとても恵まれ、景色を楽しめる場所ですから、天気が良くなければそれが叶いません。
周辺を展望できてこそ行く意味がありますから、天候は非常に重要です。
とは言え、標高2000mにも及びますから、基本的に天候は”山の天気”で、とても変わりやすいのです。
従って、天気予報はしっかり確認しておくとは思いますが、実はこれだけでは不十分です。
天気予報の場合、雨雲を捉えるため、雨雲以外の雲は反映されません。
この地域では、雨は降らなくても雲が広がることは多くあるのです。
そこで確認したいのは、衛星写真です。気象庁が公開していますので、周辺に雲が掛からないかを前もって確認しましょう。
また、更に役立つのが星空指数です。これは空がどれだけ澄み切っていて星空を見やすいかを表した指数で、これについては気象協会が公開しています。
更に便利なのが、ライブカメラです。これは横手山やその周辺に色々と設置されていますので、事前に様子を確認しておきたいですね。志賀高原観光協会が公開していますが、周辺の色々なスポットを見られますので、とても便利です。
ただ、あくまで”山の天気”ですから、天気が変わりやすいのは否めません。
いきなり晴れてきた。
急に曇ってきた。
そんなことはよくあることですから、覚悟しておきましょう。
そして、もう1つ気に留めておきたいのが気温です。
標高が高くなるにつれて気温が下がることは誰でも知っていると思いますが、想定よりも低くなると考えておく方が無難です。
長野市内なら30度を超えるような真夏でも、横手山付近だと10℃近くになることはよくあります。
単なる標高差だけではなく、天候なども大きく影響するからですね。
自動車で行くなら、上から着る衣服を社内に積んでおくだけでいいでしょう。
ぜひ温泉に立ち寄りたい
国道最高地点。
一度は足を運んでおきたい場所ですが、単にそこだけを目的地にするのでは味気ありません。
そこでおススメなのは、温泉に立ち寄ること。
周辺にはたくさん有名な温泉がありますから、旅程に合わせて行くのがいいですね。
日帰り温泉なんかもたくさんありますから、便利です。
具体的にアクセスしやすくおススメは、草津温泉、万座温泉、湯田中温泉です。
これらはいずれも、有名な温泉街で、多くの温泉からお気に入りの温泉を選ぶことができるからですね。
また、ちょっと足を伸ばせば野沢温泉なんかもありますし、規模が小さくてよければ近くには熊の湯という場所もあります。
旅程と経由地などを考えて、あなた好みの温泉を楽しんでみてはいかがでしょうか。