先日、長野市内にある、桃の直売所で、破格値の桃を購入しました。
破格値と言っても、キズがあるとか、変色しているとか、熟しすぎているとか、変形しているといった商品価値が低くなる要因があるような桃ではなく、スーパーや八百屋などでも、ごくごく普通に販売しているような普通の桃です。
見た目もしっかりしていて、皮をむいてみたところ、何ら痛みがないのはもちろん、とてもきれいな状態で、実際に食べてみても、甘みも十分で、新鮮さもあって申し分のない味でした。
普通においしい、これだけの桃がこの価格で購入できるとは、さすがに農村地域はすごいと改めて驚いたものです。
購入価格
私が購入したのは、12個入りの箱を2ケースで24個ですが、ひと箱の値段はたったの600円でしたので、1個当たりの値段は50円です。
気になったので重さを量ってみたところ、小さいもので1個160gくらい、大きいもので1個230gでしたので、割と小粒ではありますが、ごく普通の桃であることに変わりはありません。
この桃をもし都内で買ったら、いくらになるかと想像してみたところ、やはり1個100円を切ることはまずないと思います。
仮にあったとしても、せいぜい90円台が限界でしょうし、ほとんどの商品は、傷み始めているとか、小粒であるとか、見た目がよくないとか、何らかの安くなる要因がある、いわゆる「わけあり商品」といったものでしょう。
まして、1個50円ともなると、全く考えられない世界で、まさに奇跡ともいうべきことでしょう。
なぜ安いか
では、なぜここまで安い価格で販売することができるのかですが、主な要因には「輸送コストがかからない」「中間業者がない」「収穫が最盛期である」の3つがあると考えられます。
輸送コストがかからない
まず、輸送コストがかからないですが、これはとても大きい要因だと思います。一般に、収穫地域は販売地域と異なりますから、商品を運ぶ必要があり、輸送コストが掛かります。
しかし、この商品は栽培地域の直売所における販売なので、基本的に輸送費はかかりません。そして、輸送コストは燃料費の高騰などを背景として、近年、増加傾向にもありますので、そういう意味からも、その影響は大きいでしょう。
中間業者がない
直売所における販売で、販売店などの中間業者を介さないので、中間マージン分が安くなります。基本的には、栽培者=販売者という見方ができますので、販売者は、いわゆる卸値に近い価格で販売できることになります。
栽培地でありながら、消費者もそれ相応の人口がいる長野市だから、より有効な販売方法なのですね。過疎地の農家だと、直売所を設けても、買いに来る人はほとんどいませんからね。
収穫が最盛期である
農村地域だからといって、いつでもどこでも1個50円という価格で購入できるわけではありません。そこには収穫時期と販売するタイミングの関係が存在しています。
農家には生産計画があって、また、販売店や卸売業者、農協などと契約して、販売して行くものです。しかし、実際の収穫というのは、日照条件や天候、気候によって作用されるため、計画通りには行かないものです。
従って、果実などが実るタイミングによっては、どうしても余剰が出てくることもありますし、最適なタイミングで出荷できるとは限りません。出荷のタイミングを逸すると、商品価値が下落してしまう可能性すらもあります。
このため、収穫時期などに余剰が発生したタイミングで、無駄を減らすための手段のひとつとして、直売所における低価格の商品提供が可能になるといえます。
郊外なら破格値の可能性も
さて、今回、破格値の桃を見つけて、衝撃にも似た驚きを覚えました。
この経験で得たことは、農産物の販売価格は農業地域ほど安く提供できる可能性が高いということです。このことから言えることは、首都圏でも少し郊外に足を運べば、農業地域もありますので、場所によっては都市部よりもお手頃な価格の商品を見つけることも可能でしょう。
大消費地域でもある首都圏だと、長野ほどの低価格にはならないでしょうが、今回ここまで安くなった理由を考えれば、それなりに安価な商品が身近なところにあるかもしれません。
みなさんもお住まいから比較的近い農業地域に着目して、お手頃な価格の農産物を探してみてはいかがでしょう。