衣類の素材表記を見ると、中国語だけで記述されている製品がけっこうあります。
そんな時、日本語と同じ麻などであれば素材が何かはすぐ分かりますが、見慣れない漢字が並んでいるとサッパリ分かりません。
表記されている素材が分かるように、繊維名などを英語名と共に一覧表にまとめました。
また、名前の由来や別称、混乱しやすい繊維の分類なども分かるように別途、詳細を説明しています。
詳細を知りたい方は、表中のリンク先をクリックしてご覧ください。
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目次
- 1 素材名の一覧表
- 2 繊維などの素材の詳細
- 2.1 綿(コットン)
- 2.2 カポック
- 2.3 麻
- 2.4 ヘンプ(大麻)
- 2.5 リネン(リンネル)
- 2.6 ラミー(苧麻)
- 2.7 ジュート
- 2.8 マニラ麻
- 2.9 サイザル麻
- 2.10 ケナフ
- 2.11 ウール(羊毛)
- 2.12 メリノ
- 2.13 モヘア
- 2.14 アルパカ
- 2.15 キャメル(らくだ)
- 2.16 カシミア
- 2.17 絹
- 2.18 レーヨン
- 2.19 ポリノジック
- 2.20 モダール
- 2.21 リヨセル(テンセル)
- 2.22 キュプラ
- 2.23 アセテート
- 2.24 トリアセテート
- 2.25 プロミックス
- 2.26 ビニロン
- 2.27 ビニラール
- 2.28 ポリ塩化ビニル
- 2.29 アクリル
- 2.30 アクリル系
- 2.31 ナイロン
- 2.32 アラミド
- 2.33 ポリエステル
- 2.34 ポリエチレン
- 2.35 ポリプロピレン
- 2.36 ポリウレタン
- 2.37 スパンデックス
- 2.38 ポリ乳酸
- 2.39 ふっ素系繊維
- 2.40 ポリイミド
- 2.41 炭素繊維
- 2.42 ダウン
素材名の一覧表
まずは、一覧表で知りたい名称を確認して下さい。中国語については、発音が分かるようにピンインも併記しています。
表中に知りたい名称が無い場合は、似たような名称や推測される繊維名をクリックして確認して下さい。
日本語 英語 |
中国語 ピンイン |
綿(コットン) cotton |
棉 mián |
カポック kapok |
木棉 mùmián |
麻 hemp etc. |
麻 má |
ヘンプ(大麻) hemp |
麻/大麻 má/dàmá |
リネン(リンネル) linen |
亚麻布 yàmábù |
ラミー(苧麻) ramie |
苎麻 zhùmá |
ジュート jute |
黄麻 huángmá |
マニラ麻 abaca |
焦麻 jiāomá |
サイザル麻 sisal |
剑麻 jiànmá |
ケナフ kenaf |
洋麻 yángmá |
ウール(羊毛) wool |
羊毛 yángmáo |
メリノ merino |
美利奴羊的毛呢 měilìnúyángdemáoní |
モヘア mohair |
马海毛 mǎhǎimáo |
アルパカ alpaca |
羊驼毛 yángtuómáo |
キャメル(らくだ) camel |
骆驼毛 luòtuómáo |
カシミア cashmere |
开司米/山羊绒 kāisīmǐ/shānyángróng |
絹 silk |
丝 sī |
レーヨン viscose rayon |
人造丝/粘胶纤维 rénzàosī/niánjiāoxiānwéi |
ポリノジック polynosic |
波里诺西克 bōlǐnuòxīkě |
モダール modal |
莫代尔纤维 mòdàiěrxiānwéi |
リヨセル(テンセル) lyocell(tencel) |
莱赛尔(天丝) láisàiěr(tiānsī) |
キュプラ cupro |
铜氨丝 tóng’ānsī |
アセテート acetate |
醋酸纤维 cùsuānxiānwéi |
トリアセテート triacetate |
三醋酸纤维 sāncùsuānxiānwéi |
プロミックス promix |
普罗米克斯 pǔluómǐkèsī |
ビニロン vinylon |
维尼纶 wéinílún |
ビニラール vinylal |
聚乙烯醇纤维 jùyǐxīchúnxiānwéi |
ポリ塩化ビニル polyvinyl chloride又はchlorofiber |
聚氯乙烯 jùlǜyǐxī |
アクリル acrylic |
腈纶 jīnglún |
アクリル系 modacrylic |
丙烯系纤维 bǐngxīxìxiānwéi |
ナイロン nylon又はpolyamide |
尼龙/锦纶 nílóng/jǐnlún |
アラミド aramid |
芳酰胺纤维 fāngxiānànxiānwéi |
ポリエステル polyester |
聚酯纤维/涤纶 jùzhǐxiānwéi/dílún |
ポリエチレン polyethylene |
聚乙烯 jùyǐxī |
ポリプロピレン polypropylene |
聚丙烯 jùbǐngxī |
ポリウレタン polyurethane |
聚氨酯 jù’ānzhǐ |
スパンデックス spandex |
氨纶 ānlún |
ポリ乳酸 polylactide fiber |
聚丙交酯纤维 jùbǐngjiāozhǐxiānwéi |
ふっ素系繊維 fluorofiber |
含氟纤维 hánfúxiānwéi |
ポリイミド polyimide |
聚酰亚胺纤维 jùxiānyàànxiānwéi |
炭素繊維 carbon fiber |
碳纤维 tànxiānwéi |
ダウン down |
羽绒 yǔróng |
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繊維などの素材の詳細
以下、個々の素材について名称のいわれや別称、特徴や用途などについて説明します。
ちなみに、繊維に該当する英語はfiberとfibreの2つの綴り方がありますが、ここでは、fiberに統一して説明しています。
綿(コットン)
綿は木綿(もめん)やコットンとも呼ばれ、綿花から採取して加工したセルロース繊維のことを指します。
英語では、cottonと言い、綿や綿花、綿布、綿織物、綿糸などの意味もあります。
中国語では、棉(mián)ですが、衣類の素材などでは棉布(miánbù)とも表示されます。日本語に似ていますが、日本語では糸へんであるところ、中国語では木へんになっています。
日本語と同じ糸へんの绵(mián)の場合、棉と発音は同じですが、真綿などの少し違う意味になります。
綿は、弾力性や保温性、吸湿性に優れていることから、肌着をはじめ多くの衣料で幅広く利用されます。
カポック
カポックは、キワタ科の落葉樹「パンヤの木」のことを言い、その種子を包む綿のような長い毛の意味もあります。パンヤと呼ばれることもあります。
英語では、kapokですが、silk cottonと呼称されることもあります。
中国語では、木棉(mùmián)ですが、吉贝という表現もあります。
カポックは、浮力が大きく断熱性や弾力性があるため、救命胴衣やクッションなどの詰め物に利用されます。
麻
麻と言えば通常は、大麻(たいま)すなわちヘンプのことを指しますが、広い意味では苧麻、亜麻、黄麻、マニラ麻、サイザル麻などを含んだ総称としての意味があります。
英語の場合、麻の種類によって名称は異なりますが、大麻の場合はhempが使われます。
中国語では、多くの麻類を総称して麻(má)と言いますが、特定の麻を指す場合は、黄麻、
焦麻などの言葉を使います。
麻はその種類によって特徴が異なり、それぞれの特徴を生かした用途に使われます。
ヘンプ(大麻)
ヘンプはクワ科の一年草のことで大麻とも呼ばれ、ヘンプには茎から取れる繊維そのものの意味もあります。
単に麻と呼ぶと、亜麻やラミーなどと紛らわしくなるため大麻と呼ぶことで区別します。ただし、一般に麻と呼ばれるものはこのヘンプ(大麻)を意味します。
ヘンプ(大麻)は英語でhempですが、あくまで大麻に相当する言葉です。黄麻、苧麻、亜麻などにはそれぞれ別な英語があります。(下方を参照)
中国語では、単に麻(má)或いは大麻(dàmá)と表現します。
麻は、軽くて丈夫なことから木綿が普及するまでは多くの衣料に使われてきましたが、現代では夏服のほかは敷物などに利用されています。
リネン(リンネル)
リネンはリンネルとも言い、日本語では亜麻(あま)とも言います。アマ科の一年草で、菊から繊維が取れます。
英語ではlinenと書き、亜麻糸や亜麻織物のほかにリンネル製品の意味もあります。
中国語では、亚麻布(yàmábù)と言いますが、単に亚麻とも言います。また、细夏布という表現もあります。
リネンは、強くて光沢があり涼感もあることから、夏服の地やテーブルかけ、ナプキン、ハンカチ、レース地に多く用いられます。
ラミー(苧麻)
ラミーは英語を音読みした呼称で、日本語では苧麻(ちょま)やカラムシ、マオと言います。ラミーはイラクサ科の多年草ですが、ラミーという言葉には茎から取れる繊維の意味も含んでいます。
英語では、ramieですがrameeと綴る場合もあります。また、China grassと呼ぶこともあります。
中国語では、苎麻(zhùmá)ですが、纻(zhù)と言う名称もあります。
ラミーの繊維は、丈夫で耐水性に優れているため、ロープや魚網、消火ホースなどに利用されるほか、夏服などに使われます。
ジュート
ジュートは、シナノキ科の一年草で、コウマ(黄麻)やツナソ(綱麻)、カナビキオとも呼ばれ、その茎から取れる繊維の意味もあります。また、インド麻、カルカッタ麻と称することもあります。
英語はjuteですが、これには植物と繊維の両方の意味があります。
中国語では、黄麻(huángmá)と言われますが、萦麻と言われこともあります。
ジュートは、水に弱く、耐久性も低いので、袋や簡単な敷物、ズック、紐などに使われます。
マニラ麻
マニラ麻は、バショウ科の大型多年草植物で葉鞘(ようしょう)から繊維が採取できます。
英語では、フィリピン名のabacaが使われますが、Manila hempという言い方もあります。
中国語では、バショウ科の植物であることから焦麻(jiāomá)と言います。また、Manilaを音訳した马尼拉麻という言い方もあります。
採取される繊維は軽くてい強く、水中での耐久性が高いため、船舶や漁業用のロープ、海底ケーブルの被覆物として利用されます。
サイザル麻
サイザル麻は、熱帯地方に生息するリュウゼツラン科の多年草の植物で、葉から採取される繊維が利用されます。シザルアサとも呼ばれます。
英語ではsisalと書き、サイザル麻の植物の意味と、そこから取れる繊維の意味とがあります。
中国語では、剑麻(jiànmá)と言います。剑(=剣、つるぎ)が使われたのは、サイザル麻の葉にトゲがあることが由来のようです。また、sisal(シザル)を音訳した西沙尔麻という言葉もあります。
サイザル麻の繊維は、柔らかくて弾力があり、水中における耐久力が優れているため、船舶や漁業用のロープや網、縄などに使われます。
ケナフ
ケナフは、アオイ科の一年草で茎から取れる繊維が使われます。アンバリ麻という名称もあります。
英語ではkenafと言いますが、植物名としてのambaryという名称も使われます。
中国語では、洋麻(yángmá)ですが、槿麻や红麻などの名前もあります。
ケナフはジュートに似ていて、網やロープ、袋などに使われます。
ウール(羊毛)
ウールは羊の毛のことを言い、毛糸や毛織物の原料の意味も持ちます。一般には羊毛のことだけを指しますが、広い意味ではアルパカ、アンゴラ、ラクダなども含みます。
英語ではwoolと書き、動物の意味ではなく毛の意味だけです。
中国語は日本語と同じ漢字が使われ羊毛(yángmáo)と表現されます。
ウールは、保温性が高いため冬用の衣類に多く用いられます。
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メリノ
メリノは、羊の品種のひとつで動物を意味しますが、メリノから採取する高級な毛織物の意味もあります。メリノーと発音する場合もあります。
英語でメリノは、merinoと書き、これだけでメリノの毛織物を意味しますが、メリノ羊(動物)の意味もあります。
中国語では、美利奴羊的毛呢(měilìnúyángdemáoní)ですが、これはメリノを音訳した美利奴に羊毛を意味する漢字を加えて表現しています。
メリノから作られた毛糸のことは、美利奴羊的毛绒(měilìnúyángdemáoxiān)と言います。
メリノは、毛質が繊細で優れていることから、高級織物として使われます。
モヘア
モヘアは、アンゴラヤギから採取する毛織物のことです。
英語では、mohairです。まれに動物名のangora goatを用いることもありますが、単にangoraと表現するとangora rabbit(毛織物にも使われるウサギ)と混同しやすくなります。
中国語では、mohairを音訳した马海毛(mǎhǎimáo)が使われますが、马海呢(mohairの音訳)や安哥拉山羊毛(アンゴラヤギの音訳)という名称も使われます。
ちなみにアンゴラウサギについては安哥拉兔毛と表現したり、単に兔毛と言ったりします。
モヘアの毛は、絹のような光沢があり、肌ざわりが滑らかで汚れにも強い特徴があります。毛布や肩掛け、オーバーをはじめ、高級婦人服の地や夏服の地に利用されます。
アルパカ
アルパカはラクダ科の哺乳類で、良質な毛があるため毛織物に利用されます。
英語では、alpacaですが、単なる動物と区別するためにalpaca woolと呼びます。
中国語では、アルパカを意味する羊驼(yángtuó)を用いて羊驼毛(yángtuómáo)と言います。また、羊驼呢(yángtuóní)という言い方もします。
アルパカの毛は、光沢があり柔らかくて耐久性もあるため、夏服地や裏地によく使われます。
キャメル(らくだ)
キャメルは、ラクダの毛を原料にした毛織物のことです。
英語では、ラクダを意味するcamelが使われますが、単なる動物の意味と区別するためにcamel’s hairという表現が使われます。
中国語では、骆驼毛(luòtuómáo)と言いますが、骆驼绒(luòtuóróng)或いは単に、驼毛や驼绒と表現する場合もあります。また、驼毛呢(tuómáoní)という言葉もあります。
キャメルは、柔らかく軽い毛であるにも関わらずとても暖かいのが特徴で、産量が少ないこともあって高級な紡毛織物として使われます。
なお、ビクーナ(vicuna、ビキューナやビクーニャとも言う)と呼ばれるアンデス山地に生息するラマは、ラクダ科に分類されることから、ビクーナではなくキャメルと言う場合があります。ビクーナの場合、中国語ではラマを音訳した骆马が使われます。
カシミア
カシミアは、カシミヤとも言い、カシミア山羊の柔らかい毛をもとにした毛織物のことです。
英語では、cashmereですが、これはカシミヤ(kashimir)地方に生息するカシミヤ山羊に由来する名前です。
中国語では、音訳した开司米(kāisīmǐ)や、意訳した山羊绒(shānyángróng)が使われます。単に羊绒と省略したり、音訳に別な漢字を当てて开士米と書いたり、山羊毛と表現したりもします。
カシミアは、滑らかで光沢があることから、ショールや高級織物として使われます。
絹
絹は、昆虫が繭の生成時に出す繊維から得られる歴史の古い繊維原料のことで、主に蚕(かいこ)蛾によって作られシルクとも呼ばれます。
英語では、silkと書きますが、東西の絹貿易の歴史からSilk Roadと言う名前も生まれています。
中国語では、絹の簡体字に相当する绢(juàn)ではなく、丝(sī)と書きます。绢は素材を表すよりも絹織物を表すための言葉です。
真丝(zhēnsī)と書けば、混紡ではない純絹であることを意味します。
人造丝(rénzàosī)と書けば、天然の絹ではなく、あくまで人工的な繊維であるレーヨンの意味になります。
また、蚕丝などと表現することで、人造丝(レーヨン)と明確に区別することもできます。
一般に、絹は蚕から作られますから、桑蚕丝とも呼ばれますが、ヤママユガ科の蛾である柞蚕(さくさん)から作られる絹の場合は、柞蚕丝という別な名称も使われます。
英語では両者を、それぞれmulberry silk、tussah silkのように区別する言い方があります。
絹は、歴史が長いこともあり、いろいろな衣類に利用され、きれいな光沢感があることから高級織物などに使われます。
レーヨン
レーヨンは、セルロース系の再生繊維の総称で、ビスコースレーヨンや銅アンモニアレーヨン(キュプラ)のことを意味しますが、広い意味ではアセテート繊維も含まれます。
しかし、一般にレーヨンといえば単にビスコースレーヨンのことを指し、ビスコースレーヨンのことを単にビスコースと呼ぶ場合もあります。
日本語では、レーヨンのことをレイヨンと呼ぶだけでなく、人造絹糸(じんぞうけんし)や人絹(じんけん)などと呼ぶこともあります。
英語ではrayonと書きますが、光沢のある繊維であることからフランス語で「輝く」を意味するrayonneが語源となっています。
ビスコースは、本来ビスコースレーヨンの製造過程で作られる粘り気のある水溶液のことを意味しますが、単にビスコースと呼んでビスコースレーヨンを指す場合もあります。
中国語では、人造丝(rénzàosī)といいますが、人造纤维(rénzàoxiānwéi)という言い方もします。
また、ビスコースレーヨンについてはビスコースの特性から粘胶纤维(niánjiāoxiānwéi)や粘胶人造丝という言い方もされます。
レーヨンは染料によく染まるため美しい色や柄を表現しやすく、さらっとした肌ざわりがあります。このため、下地や裏地に用いられることが多く、また、夏服などにも適しています。
ポリノジック
ポリノジックは、従来のレーヨンを木綿の性質に近づけるように改良した特殊なレーヨンのひとつで、広い意味ではレーヨンの一種ですからポリノジックレーヨンとも呼ばれます。
一般のレーヨンとの違いは、重合度が450以上の場合のみにポリノジックと呼称されます。
英語ではpolynosicですが、polynosic fiberやpolynosic rayon fiberのような表現もします。
中国語では、音訳した波里诺西克(bōlǐnuòxīkě)が使われます。
用途としてはレーヨンと同じように使われ、スーツの裏地や下着、肌着、ストールなどに使われるほか、ポリエステルとの混紡は手ざわりが良いことから夏物の衣類によく使われます。
モダール
モダールは、レーヨンのひとつに分類されますが、オーストラリアのレンチング社が開発した商標名です。
テンセルと同じく、従来のレーヨンが湿気に弱い短所を持っていたため、これを改善するために作られた繊維です。
英語のmodalは商標名としての名称ですが、日本語ではそのままモダールと音訳され、単なる商標名としてだけではなく、ひとつの繊維を表す言葉としても使われるようになってきています。
中国語では、莫代尔纤维(mòdàiěrxiānwéi)といいますが、これもmodalを音訳した名称です。
繊維の特性としては、レーヨンに似ていて光沢や肌ざわりが良く、吸湿性などの点では一般のレーヨンより優れています。裏地や肌着、下着などのほかストールなどにも使われます。
リヨセル(テンセル)
リヨセルは、セルロース系繊維のひとつでリヨセル繊維とも呼ばれています。
英語ではlyocellですが、これは溶解を意味するlyoと、セルロースを意味するcellulossから生まれた言葉です。
テンセルは、もとはイギリスのコートルズ社が開発したリヨセルの商標名でしたが、リヨセル繊維を意味する言葉として定着しました。
英語では、tencelと書きますが、頑強を意味するtenacityとセルロース(celluloss)とが合成されて生まれた言葉です。
中国語でリヨセルは、莱赛尔(láisàiěr)ですが、どちらかというと天丝(tiānsī)の方がよく使われます。
中国語ではリヨセルを木浆纤维と表現する場合がありますが、これはあくまでパルプ繊維のことを意味する言葉です。
リヨセルは肌ざわりがソフトであることから、肌着や下着などに使われます。
キュプラ
キュプラは、銅アンモニアレーヨンとも呼ばれ、レーヨンのひとつにも分類されるセルロース繊維です。
英語では、cuproと書きますが、これは、cuprammonium rayonの略です。
銅アンモニア溶液に溶解させて製造することからこの名前で呼ばれています。
中国語では铜氨丝(tóng’ānsī)ですが、これは”銅アンモニア生糸”を表現した言葉で、铜氨纤维(tóng’ānxiānwéi)、或いは単に铜氨とも呼ばれます。
肌ざわりが良いことから下着や肌着、裏地、スカーフなどに多く使われるほか、ブラウスや婦人服地などにも使われます。
アセテート
アセテートは、絹に近い性質をもっていることから、アセテート人絹とも呼ばれます。また、広くはレーヨンに分類されることから、アセテートレーヨンとも言われます。
英語では、酢酸塩や酢酸基を含む化合物の意味を持つacetateが使われていますが、これは酢酸を作用させて製造することによります。厳密には、acetate fiberという名称ですが、単にacetateと呼称するようになりました。
日本語では、acetateを単に音訳したアセテートと呼ばれ、中国語では酢酸を訳に用いて醋酸纤维(cùsuānxiānwéi)と表現されますが、絹に近い性質があることから醋酸人造丝(cùsuānrénzàosī)とも言われています。
絹のような光沢と肌ざわりがありますが、吸水性や染色性が低くて熱に弱い特徴があります。
婦人服地や裏地に使われることが多く、各種織物や毛布に使われることもあります。また、シワになりにくい特性もあるため、フォーマルスーツやコートにも使われます。
トリアセテート
トリアセテートは、三酢酸セルロースから作られ、結合のさせ方がアセテートと異なるため、少し高価にはなるものの、強度と耐熱性の面で優れています。
英語のtriacetateは、1つの分子に3つの酢酸エステル構造を含む化合物のことを意味しますが、この言葉がそのまま繊維名としても使われます。
日本語では、triacetateを音訳したトリアセテートが使われ、中国語ではアセテートと同じく、化学的な結合を意味する三醋酸纤维(sāncùsuānxiānwéi)と言う言葉が使われます。
繊維の特徴は、強度や耐熱性に優れている点以外は、ほぼアセテートと同じなため、用途としても同様になります。
プロミックス
プロミックスは、タンパク質をもとに合成高分子を共重合させて作る繊維のことです。繊維を付けてプロミックス繊維とも呼称します。
英語では、promixですが、繊維であることを明確にするためにpromix fiberとも表現されます。
中国語では、普罗米克斯(pǔluómǐkèsī)ですが、これはpromixを音訳した表現です。
プロミックスは、光沢感や風合いが絹に似ていることから、高級呉服などに使われます。
ビニロン
ビニロンは、ポリビニルアルコールを溶解して作られる日本で生まれた合成繊維です。
ポリビニルアルコール系合成繊維の一般名称としても使われます。ビニロンという名称は日本でつけられた名前です。
英語ではvinylonと表現しますが、これはvinyl(ビニール)とnylon(ナイロン)の合成語で、あくまで和製英語です。正式な英語としてはvinalと言う言葉があります。
中国語では、ビニロンを音訳かつ意訳された言葉として维尼纶(wéinílún)が使われますが、単に维纶(wéilún)と言う場合もあります。
ビニロンは、吸湿性や保湿性が高く、摩擦に強いだけでなく、酸やアルカリにも強く、木綿に似た性質を持っています。作業服や靴下などに使われますが、ロープや魚網など産業用の資材としての方が多く利用されています。
ビニラール
ビニラールは、アセタール化の水準の異なるポリビニルアルコールの長鎖状合成高分子から成る(JIS定義による)合成繊維のことです。
英語では、vinylalと書きます。
中国語では、聚乙烯醇纤维(jùyǐxīchúnxiānwéi)です。
聚乙烯醇はポリビニルアルコールやその樹脂のことを意味しますので、聚乙烯醇纤维はポリビニルアルコール繊維、すなわちビニロンを意味します。
つまり、聚乙烯醇纤维はビニロンでもビニラールでも用いる言葉でしたが、アセタール化の違いによって维尼纶(wéinílún)という別な言葉で区別するようになった経緯があります。
ビニラールは、特徴としてビニロンに似ているため、ビニロンと同じような用途で使われます。
ポリ塩化ビニル
ポリ塩化ビニルは、塩化ビニルを重合させて作られる繊維です。
英語では、ポリビニルを意味するpolyvinylと塩化物を意味するchlorideとを用いてpolyvinyl chlorideと表現しますが、単なる化学物質と区別するために、合成物質を意味するsyntheticと繊維を意味するfiberと共に、polyvinyl chloride synthetic fiberとも言います。
また、塩素原子を含むと言う意味のchloroを用いて、chlorofiberと表現する場合もあります。
日本語では、ポリ塩化ビニルと呼ぶのが一般的ですが、単なる化学物質と明確に区別したい場合は、ポリ塩化ビニル系合成繊維と言います。
中国語では、ポリ塩化ビニルを意味する漢字を用いて、聚氯乙烯(jùlǜyǐxī)と表現します。略して乙烯と呼称することもあります。
ポリ塩化ビニルは、丈夫なだけでなく耐候性が高く酸やアルカリにも強い性質がありますが、耐熱性がとても低いためアイロンがけが必要な衣類などには向いていません。したがって、肌着や靴下などに使われるほかは、カーテンやバスマット、カーペットなどによく利用されます。
アクリル
アクリルは、アクリロニトリルを主成分(85%以上)とする重合体から作った合成繊維です。
英語ではacrylicと言いますが、アクリル全般の意味と区別して繊維であることを明確にしたい場合は、acrylic fiberと表現します。
日本語は、英語のacrylicを音訳してアクリルと表現します。
中国語では、腈纶(jīnglún)と表現しますが、英語のacrylicを単に音訳した亚克力や压克力、それぞれに纤维(繊維)を付けて亚克力纤维や压克力纤维という表現もします。
これらはいずれもアクリルではなく、アクリル系の意味でも使われることがあります。
アクリルは、化学繊維の中でも最も羊毛に似ていて、ふんわりと柔らかく保温性の高い軽い繊維であることから、セーターやジャージなどのニット製品や毛布などによく使われるほか、子供服やパジャマ、手袋など幅広い用途があります。
なお、アクリル系も含めた総称としてアクリルと呼称する場合もあります。
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アクリル系
アクリル系は、基本的にアクリルと同じですが、アクリロニトリルの含有量が35%~85%未満である点で、アクリルと区別されます。
ただし、アクリルとアクリル系を含んだ広い意味でアクリルと呼称することがありますので注意が必要です。
アクリル系は、モダクリル或いはモドアクリルと呼ばれることもあります。
英語では、modacrylicと言いますが、modacrylic fiberと呼称するば、繊維であることを明確に表現できます。
modacrylicは、modifiedとacrylicとの合成語です。また、アクリロニトリルの含有量による呼び分け方は国によっても異なりますので気を付けましょう。(例えば、英国では50%前後で分類)
中国語では、丙烯系纤维(bǐngxīxìxiānwéi)といいます。丙烯はアクリルなどの原料のプロピレンを意味する言葉です。
丙烯腈系纤维(bǐngxījīngxìxiānwéi)という言い方もします。丙烯腈はアクリロニトリルの意味です。
アクリル系は、シワが寄りにくく、防火性や耐薬品性に優れているため、カーペットやカーテンなどに多く利用されます。
ナイロン
ナイロンは、ポリアミド系合成繊維のことを意味します。
アメリカのデュポン社のカロザースが発明したポリアミド繊維で、もとは商標名でしたが一般の名称として使われるようになりました。一般的ではありませんが、ポリアミド繊維という名称もつかわれます。
英語では、nylon又はpolyamideという言い方をします。
nylonは、vinyl(ビニール)とrayon(レーヨン)との合成語(造語)で商標名として名付けられた名称です。
polyamideは重合体のひとつであるポリアミドという化学の名称から来ています。
中国語では、尼龙(nílóng)や锦纶(jǐnlún)といった表現をしますが、耐纶(nà
ilún)も使われます。
これらは音訳や特徴を意訳した言葉ですが、ポリアミド繊維を意味する化学名称に由来する聚酰胺纤维(jùxiān’ànxiānwéi)も使われます。
ナイロンは、摩擦や折り曲げに強く、しなやかな感触がある上、いろいろな形状や太さの繊維を作りやすいため、薄くて軽い織物や編み物を作れます。ストッキングやランジェリーをはじめ、水着や肌着など様々な用途で使われます。
アラミド
アラミドは、広義にはナイロンに分類されますが、ナイロンと異なりベンゼン環を多量に含んで剛直になることから区別する意味で名付けられました。
アラミドは芳香族ポリアミド繊維のことで、初めは商品名として使われるていましたが、のちに一般名称として使われるようになりました。
英語では、aramidですが繊維であることを明確にするためにaramid fiberと言う場合もあります。
中国語では、化学的な名称で表現した芳酰胺纤维(fāngxiānànxiānwéi)が使われます。
アラミドは、強度や弾性に優れたパラ系と、耐熱性や難焼性に優れたメタ系に大別され、パラ系は主に航空機の機体や建築素材などに、パラ系は消防服や防護服、特殊用途の作業服などに使われます。
ポリエステル
ポリエステルは、エステル結合をもつ高分子化合物の総称でいろいろな種類がありますが、生産量も消費量も化学繊維の中では一番です。
英語はpolyesterで、エステル(ester)を持つ重合体であることからこの名称がついたようです。
ポリエステルは中国語で、聚酯纤维(jùzhǐxiānwéi)や涤纶(dílún)と言います。
聚酯の聚は集まる意味のポリを、酯はエステルを表す言葉で、聚酯はポリエステルそのものを意味します。
涤纶は、ポリエステル系合成繊維の一種であるテリレン(Terylene、商標名)のことです。
日本ではテトロン(Tetron、商標名)に該当しますが、テトロンにも涤纶という言葉が使われます。
ポリエステルは、非常に強い繊維で濡れても強度が落ちません。また、摩擦に対しても強く、シワもよりにくいので、婦人服、子供福、紳士服をはじめ、とても幅広い用途に使われます。
ポリエチレン
ポリエチレンは、エチレンを重合して作った樹脂を繊維にしたものです。
英語では、polyethylene(polyとethyleneの合成語)と表現しますが、イギリス英語ではpolytheneとも言います。
ポリエチレン樹脂などと明確に区別したい場合は、fiberを後につけて表現します。
中国語では、聚乙烯(jùyǐxī)が使われます。略して乙烯と呼称することもありますから、ポリ塩化ビニルと間違わないように注意が必要です。
ポリエチレンは強度が強いため、産業用として使われることが多く、ロープや魚網をはじめ、靴やカバンの地として使われます。
ポリプロピレン
ポリプロピレンは、プロピレンを重合して作った繊維です。
英語では、polypropylene(polyとpropyleneの合成語)と表現しますが、プロピレンのことを別名でプロペン(propene)と呼称することから、polypropeneとも表現します。
中国語では、聚丙烯(jùbǐngxī)と表現します。丙纶(bǐnglún)と言う商標名で表現されることもあります。
ポリプロピレンは、繊維の中では最も軽いと言われ汚れが付きにくい特徴から、カーペットやマットなどのほか、様々な産業用途でも使われます。また、保湿性や速乾性に優れていることから、水着やソックス、肌着などによく使われます。
ポリウレタン
ポリウレタンは、ウレタン結合を持つ化合物の総称で、ゴム材としても用いられるため、繊維として区別する場合は、ポリウレタン繊維(後述のスパンデックスともいう)と呼びます。
英語では、polyurethane(polyとurethaneの合成語)ですが、polyurethanとも書きます。
ポリウレタンは中国語で、聚氨酯(jù’ānzhǐ)ですが、聚氨基甲酸酯とも言います。弾性がある繊維であることから、聚氨酯弹性纤维とも言います。
ポリウレタンは、伸縮性が極めて高いのが最大の特徴であるほか、耐摩耗性や耐薬品性にも優れているためいろいろな用途に使われます。
その性質上、通常は、ナイロンやポリエステルなどとの混紡として使われ、水着やスポーツウェア、下着やストッキング、靴下などに使われます。
スパンデックス
スパンデックスは、ポリウレタン繊維の一般名称のことです。
単にポリウレタンと言うと合成ゴムなどにいも使われる化合物の総称となりますが、スパンデックスと言えば、ポリウレタン繊維を意味します。ポリウレタン弾性繊維とも言います。
英語では、spandexと言います。
中国語では、氨纶(ānlún)が使われますが、spandexを音訳した斯潘德克斯弹性纤维も使われます。
また、アメリカのデュポン社の商標名であるライクラ(Lycra)を音訳した莱卡が使われることもあります。
スパンデックスは、ポリウレタン繊維の一般名称なので、用途としてはポリウレタン繊維と同様です。
ポリ乳酸
ポリ乳酸繊維は、デンプンを原料として作られる繊維で、完全リサイクルが可能な地球の環境にとてもやさしい繊維です。
英語では、文字通りpolylactide fiberと言います。(polyはポリ、lactideは乳酸の意、fiberは繊維)
中国語では、化学的な名称を用いて聚丙交酯纤维(jùbǐngjiāozhǐxiānwéi)と言います。
ポリ乳酸繊維は、いろいろな繊維形状に加工しやすいため、Tシャツやポロシャツ、インナーウェアなどに利用されますが、産業資材として幅広い分野でも役立っています。
ふっ素系繊維
ふっ素系繊維は、脂肪族フルオロカーボン単量体の繰返しで構成する長鎖状合成高分子から成る(JIS定義による)合成繊維のことです。
英語では、フッ化の意味をもつfluoroを用いたfluorofiberという名称が使われます。
中国語では、フッ素(=氟)を含んでいることから含氟纤维(hánfúxiānwéi)という名称が使われてきましたが、用語が改定されて最近では聚四氟乙烯纤维という言葉が使われるようになりました。また、単に氟纶という言葉も使われます。
ふっ素系繊維は、耐熱性や耐摩擦性、耐薬品性などで優れていることから、産業用で多く使われます。
ポリイミド
ポリイミドは、イミド基単量体の繰返しをもつ長鎖状合成高分子から成る(JIS定義による)合成繊維です。
英語では、化合物イミドを表すimideを用いてpolyimideと表現します。
中国語では、聚酰亚胺纤维(jùxiānyàànxiānwéi)と言います。
ポリイミドは、耐熱性に優れているため、耐熱被覆に使われます。
炭素繊維
炭素繊維は、有機繊維を熱処理して炭化させて作る繊維のことで、カーボン繊維とも呼ばれます。
英語では、その名の通りcarbon fibeです。
中国語では、炭素を意味する「碳」を用いて碳纤维(tànxiānwéi)と呼称します。
炭素繊維は、とても軽量で強度が優れているだけでなく、耐熱性、電気伝導性、耐薬品性にも優れているため、産業用に広く使われますが、衣料品などではほとんど使われません。
ダウン
ダウンは鳥類の羽毛のことです。
英語ではdownと書き、中国語では羽绒(yǔróng)と言います。
ダウンは、軽くて保温性に優れているため、ジャケットやベストのほか寝具などに使われます。