今や、日本に住む中国人は数多にのぼり、どんな地域でも身近なところに中国人がいます。
従って、頻繁に中国人と接するケースも稀ではなく、「もっとスムーズにコミュニケーションができたら」と思うことも多いでしょう。
そんな思いを抱いている人に、絶対おススメのアプリが百度翻訳(百度翻译)です。
目次
凄いアプリ見つけた!
既に他の記事にも、中国語に関する話題をたくさん書いていますが、私は独学で中国語を学んできていて、リスニングや実践を重視する中で、多くの中国人と接する機会を得て来ました。
従って、ネイティブの中国人とのコミュニケーションは日常のことですが、それでも意思の疎通が難しいという場面に出くわすことがあります。
そんな時は、辞書を使ったり筆談をしたりしてコミュニケーションを取ろうとします。
しかし、辞書や筆談などの場合、調べたり書いたりしていると、それなりに時間が掛かるので、どうしても会話が中断する傾向にあります。
しかも、辞書などを使うと、会話と言うよりも単語や語句の羅列になるのが一般ですから、スムーズな会話が目的だと不向きなケースも少なくありません。
しかし、こんな悩みを解消してくれる、もの凄い便利なアプリを発見しました。
そのアプリは、百度翻译(bǎidùfānyì/百度翻訳) というアプリで、アプリの機能のひとつである对话(duìhuà/対話)が、中国人との会話でもの凄く役立ちます。
何と言っても、スマートフォンなどにインストールして使用できますので、外出先でそのまま使える点がとても便利です。
このツールの凄さは、あるまとまった長さの会話でも、その場で音声認識と同時に訳してくれる点にあります。リアルタイム性に優れているのです。
正確な動作
このアプリの中の对话(対話)は、日中と中日の両方の翻訳に対応しています。
つまり、相手(中国人)に話して貰った言葉を、その場で日本語に訳してもらうこともできますし、自身(日本人)が話した言葉を、その場で中国語に訳して相手に伝えることもできます。
要は、中日翻訳と日中翻訳とを交互に繰り返せば、中国語を全く知らない人でも、中国人との会話がスムーズに出来るのです。翻訳とは言いながらも、通訳みたいな感じです。
そして、高い音声認識性能と高度な翻訳頭脳を兼ね備えているところが、このアプリの本当の凄いところです。
音声認識と言えば、20世紀の頃は、まだ実用段階というよりも研究段階にあった分野で、当時は認識率向上のための研究がさかんに行われていました。
しかし、今やスマートフォンの処理能力はかつてのワークステーションをも凌ぎ、音声認識技術も確立され、家電など様々な製品に応用されるようになりましたが、まさにその最先端を行くアプリと言えるでしょう。(アプリの実処理は、百度のサーバーによるようですが…)
きちんと発話を認識
アプリの機能「对话」は、その高度な認識技術により、日本語であれ中国語であれ、話者の言葉をしっかり認識してくれます。
特に凄いと感じるのは、前後の単語の関連をきちんと認識して、文章全体を正確に把握する点です。
実際に使ってみるとよく分かるのですが、例えば「こんにちは」と話せば、埃拶の言葉と認識しますが、「今日(こんにち)は、晴天に恵まれ…」と話せば、今日のことを話題にした会話だとすぐに認識します。
更に言えば、当初認識していた単語が、文脈から文章として不自然だと判断した場合には、途中で認識していた単語と同音の別な単語に自然と置き換わり、最終的には適切な表現の言葉として認識してくれるのです。
万一、発声した会話をきちんと認識してくれない場合は、はっきりとした口調でもう一度話せばよいだけです。よほど特殊な言い回しでない限りは、まず間違いなく認識してくれます。
正確に翻訳
そして、このアプリの凄さは翻訳の正確さにも表れています。
いったん音声認識によって、訳す前の言葉が認識されると、その言葉に最も合った、いわゆる最大公約数的な表現に翻訳してくれます。
言い方を変えれば、最も無難な表現を結果として出してくれます。
元の言葉が、シャレた表現や凝った言い方、特殊な言い回し、であれば翻訳が難しいのは事実です。
しかし、一般的な表現で話をすれば、それに対応した「当たらずとも遠からず」という、実用上は十分な翻訳をしてくれるのです。
使い方は簡単
さて、このアプリの使い方ですが、簡単な例で説明しましょう。
ここではまず、この機能が優れていることを理解してもらうために、操作方法というよりも処理の流れについて説明します。
アプリの起動方法や設定・操作方法の詳細については、後段に記載していますので、そちらをご覧下さい。
下記の「日本語を話す」ボタンを押して、翻訳したい言葉を話し、話し終わったらもう一度同じボタンを押します。
例えば、この時「こんにちは」と日本語を発声してみましょう。音声認識されて、画面に「こんにちは」と表示されます。
この表示により、訳す対象「こんにちは」がきちんと音声認識されているかを確認します。(この段階で、こちらの発する会話を正しく認識してくれていない場合は、やり直せば良いだけです。)
次に、しばらくするとその訳が表示されますので、対応の語句を訳してくれたことが分かります。
この場合「你好」と表示されますので、この画面を相手(中国人)に直接見せれば「こんにちは」(你好)と言う意味を伝えることができます。
この時、画面の「你好」の隣に表示されたスピーカマークをタップすれば、「你好」とアプリが発声してくれますから、これを相手に聞かせこともできます。
また、これとは逆に相手に中国語を発声してもらい(この場合は、上記の青ボタンを使用)、その結果をこちらが画面で確認するか音声で確認すれば、相手が話した内容を知ることができます。
以下、これらを繰り返せば、中国語を知らない日本人と、日本語を知らない中国人との間でも、スムーズな会話ができるのです。
発音学習にも適する
リスニングに役立つ
さて、このアプリの「对话」機能ですが、中国人とコミュニケーションを取る時に役立つのはもちろんですが、中国語のリスニングとスピーキングを学習する用途にも適しています。
上述した通り、中国語の翻訳結果を文章で表示してくれるだけではなく、スピーカマークのタップにより、再生·発声してくれますので、リスニングの練習にもなります。
この発生音はネイティブ(中国人)による音声ですから、ネイティブの音をそのまま耳に入れることができます。まさに、耳の学習にはうってつけです。
ただし、日中訳ではなく、中日訳した場合の日本語の発声については、私が聞いた限りネイティブ(日本人)の発声ではありませんので、中国人が日本語の発声を学習するのには適していません。
これは恐らく、このアプリが中国で作られたことによるようです。
スピーキングにも利用可能
また、「对话」機能は、リスニングだけではなくスピーキングの学習にも適しています。
自分が発音する中国語が音声認識で正しく中国語として認識されるかどうかを試すことで、ネイティブの発音に近いかどうかを判断して貰えます。
特に中国語の場合は、四声と呼ばれる発音の高低の違いが複雑で、この違いで意味が全く違ってしまう場合があります。
四声の発声がきちんとできているかどうかを確認する一つの手段として力を発揮してくれるのです。
また、日本人の場合「…n」の発音と「…ng」の発音は、あまり区別しませんが、この発音を区別しないときちんと認識して貰えません。
例えば、吃饭(chīfàn)の発音は、四声を正しく発音しても、fànの発音部分をfàngとしてしまうと、正しく認識して貰えません。それだけ、認識力が優れていると言え、発音の練習になるのです。
そして、これらリスニングとスピーキングを交互に練習することによって、中国語の表現をひとつひとつ、自分のものにして行くことができます。
上手く利用して語学力アップ
例えば、对话の日中訳を使って「あなたを愛しています」と発声すれば、結果として「我爱你(ウォーアイニー)」と翻訳されます。
このウォーアイニーは、単に文字を読むだけでは発音はよく分かりませんから、スピーカマークをタップして、その発音を音の高低に気を使いながら繰り返し聞き取ります。
次に今度は、中日訳を使って、聞き取った音を発音して、それがきちんと「我爱你」と認識されるかどうかを確認します。
この聞き取りと発音を繰り返すことで、覚えたいフレーズについて、より適切な発音ができているかどうかの練習ができ、その言葉、言い回しを習得することができます。
その他の機能
さて、このアプリ「百度翻译」ですが、実は日中訳、中日訳の機能である「对话」機能は、このアプリ全体の一部の機能でしかありません。
また、「对话」機能の翻訳対象の言語は多言語に対応しています。
実は、このアプリを発見したのは1年以上も前になるのですが、その当時は日本語と中国語と英語しか対応していませんでした。
しかし、わずかの期間に対応する言語が著しく拡張されました。ただし、基本は中国語なので、日本語との訳が可能なのは中国語と英語のみです。
中国語の場合、韓国語、フランス語、スペイン語、ドイツ語、ロシア語、タイ語に対応した翻訳が可能です。
アプリケーション上部に表示された言語(中日对话)をタップすると、言語の選択画面が表示されます。
そこで、言語を選択するとその言語が翻訳対象となります。
但し、中国語以外の言語の場合、実際の発音がネイティブ並かどうかは疑わしいのですが、実用的であることに間違いはないようです。
これで「对话」という機能ひとつだけでも凄いことが分かって頂けたかと思いますが、百度翻译には他にもいくつかの機能がついていて、中国語を使う場面で役立つ場合があります。
「役立つ場合」と表現したのは、このアプリは本来、日本語などを知りたいと思っている中国人を対象として作られているため、他の機能を使おうとすると、ある程度の中国語の理解がなければ、使いこなせないものが多いからです。
この記事では、このアプリのうち通訳のツール对话を解説するのが主な目的ですから、その他の機能については、簡単に説明しておきます。
百度翻译のメイン画面には、取词(取詞)、拍照(拍照)、同传(同傳)、对话(対話)、の4つの機能ボタンと更多(更多)、という拡張ボタンがあります。
拡張ボタンをタップすると、菜单翻译,实物翻译,人工翻译,跨软件、旅游模式の拡張機能が表れます。
つまり、合計9つの主機能を備えていることになりますが、以下、これら9つの機能の概要を説明します。
(1)取词(取詞):
カメラ撮影した英文字を認識して訳してくれます。词とは単語の意味です。
(2)拍照(拍照):
カメラで写真を撮り、文字をスキャン認識して訳してくれます。拍照とは写真を撮ると言う意味です。
(3)同传(同傳):
マイクに向かって話した言葉をリアルタイムで処理してくれますが、残念ながら対応しているのは英語と中国語のみです。
(4)对话(対話):
この記事で、今まで解説した機能のことです。
(5)菜单翻译(菜単翻訳):
英語で記述された料理のメニューを文字認識させて訳してくれます。
(6)实物翻译(実物翻訳):
カメラで撮影した物体を認識してその物体の言葉を表示できます。
(7)人工翻译(人口翻訳):
機械ではなく人が翻訳するサービスで登録及び規約の同意が必要です。
(8)跨软件(跨軟件):
スマホなどの端末に保存されている文字(英語)をコピーして訳すことができます。软件とはソフトウェアの意味です。
(9)旅游模式:(旅遊模式)
旅行用の定型的なフレーズをたくさん収録しています。
他の機能も完成度が高くて実用的ですから、用途にあったツールを使えば、このアプリの価値を最大限に発揮することができるでしょう。
敢えてこのアプリの難点を上げれば、Wi-Fiなどの通信環境が必要なことと、百度から定期的にメッセージなどが配信されることです。
インストールと使い方
上記で紹介したアプリケーション「百度翻译」は、中国で最大検索サービスを提供する企業「百度」(分かりやすく言えば、中国版のGoogle)が提供するアプリのひとつで、スマートフォンのアプリとしてダウンロードできます。
ここでは、iPHONEやiPADなどのためのアプリを、アップルストア(APPLE STORE)からインストールする方法と、ここで紹介したその中のツール「对话」について、その使い方を説明します。
インストール方法
インストールは、一般のアプリと同じ方法でインストールすることになります。インストール方法は、下記の手順です。
(1)アップルストアを起動する
(2)アプリの検索画面に「百度翻訳」(日本語でよい)と記入して検索をかける
(3)検索結果から百度翻訳(下図のアプリ)を探し出す
(4)開くをタップしてインストールする。
※本アプリは、無料アプリです。(広告の配信などはあります)
対話の使い方
アプリは下記の手順で使用します。
(1)インストールされたアプリ「百度翻訳」のアイコンをタップして起動する。
(2)起動すると、画面上段に各種ツールが表示される。
(3)表示されたツールの中の「对话」アイコンをタップする。
(4)画面のような表示がされ、操作可能な状態になる。
(5)日本語を中国語に翻訳する場合は、右下の「日本語を話す」をタップし、話しが終了したら再びタップする。
中国語を日本語に翻訳する場合は左下の「说中文」を用いる。
(6)話した内容が音声認識処理されて、認識された結果が表示される。
しばらく待つと、翻訳された言葉が表示される。
(7)必要に応じて、スピーカマークをタップすれば、音声が再生される。
(8)上記の(5)~(7)を繰り返し使う。
その後、
(9)表示画面をクリアしたい場合は、画面右上のマークをタップする。
アプリを終了したい場合は、iPHONEやiPADにおける通常の操作と同様です。
なお、翻訳対象を変えたい場合(例えば、日英)は、上部の中日对话をタップして、言語選択すれば変更できます。
その他のツールの使い方
上記の、その他の機能で紹介した、各種機能(ツール)については、上記(2)後に表示された画面の各アイコンをタップすることで起動できます。
表示されていない機能については、更多アイコンをタップすることで表示されるようになります。
一部を除く、各機能の初期画面において、左下に? (クエスチョンマーク)が表示されますので、このマークをクリックすることで、使い方のヘルプを見ることができます。
但し、ヘルプの説明は図解付きなので理解しやすいですが、日本語ではありませんので、少し難しいかも知れません。
初心者が使いやすいツール(機能) としては、やはりここで紹介した对话です。
まずは、一度試してみると良いでしょう。その便利さに驚くかも知れませんよ。