中国語では、「中国語」のことを、汉语(漢語)、中文(中文)、中国话(中国話)などと、色々な言い方をします。
しまし、いざ「これらの違いは何?」と聞かれても、細かい違いはなかなかよく分からないものです。
また、これらの他にも、普通话、国语、华语という言葉もあり、いずれも中国語を意味することには変わりないのですが、やはり違いは不明です。
ここでは、これら中国語で「中国語」は何ていうのかについて細かく解説します。
汉语(hànyǔ・漢語)
汉语の汉は、日本の漢字では”漢”で、漢民族の漢を意味します。
従って、汉语(漢語)の本来の意味は漢民族が用いる言葉を意味します。
多民族国家である中国では、漢民族が多くを占めていて、他は少数民族と言えますが、漢民族が用いる言葉が多く用いられていることから、広い意味で中国語の意味として用いられています。
実際に、中国の標準語(公用語)は漢民族が用いる言葉をもとに定められていますので、狭い意味で標準語を指すこともあります。
また、漢語は学術用語でもあり、学術面で一般的に用いられる名称でもあります。
ちなみに、日本語で漢語と表現した場合、汉语(中国語)の意味の他に、「昔の中国から伝わった漢字が音読みされて日本語として定着した語」という別な意味もありますので注意が必要です。
中文(zhōngwén・中文)
中文の中は中国の中、中文の文は文字の文ですから、言葉が直接意味するところは「中国の文字」になります。
従って、中文は中国語の意味を持っていますが、中国文の意味もあり、新聞や雑誌などの記事や文学小説など、文章として書かれた中国語を指すことが多いです。
同じ中国語の意味としても、特に漢民族の文字や言葉を指します。
また、外国の言語に対する中国語を述べる場合や、中国国内で使われる(少数民族などの)あらゆる言語の中の1つとして述べる場合に使われる傾向にあります。
中国话( zhōngguóhuà・中国話)
中華人民共和国の公用語を意味する一般的な言い方です。
中国語ではなく中国話(語ではなく話)ですから、言語を意味しながらも話し言葉の趣が強くあります。
従って、通常、話し言葉を指すので口語的な使い方をしますし、通俗的なニュアンスもありますので、中文のくだけた表現にも当たります。
普通话(pǔtōnghuà・普通話)
現代の中華人民共和国における、標準語、共通語、公用語を指して普通话(普通話)といいます。
この標準語は、北方の方言の語彙を基礎として、発音は北京語を標準音としています。漢語の標準語の意味もあります。
台湾では、標準語については国語と呼んでいます。また、かつての中華人民共和国でも、国語という呼び方をしていました。
国语(guóyǔ・国語)
中国語で国語といえば、台湾における標準語の呼び名、中華人民共和国における標準語の昔の呼び名を意味します。
また、かつては、小中学校などにおける学課として国語と呼んでいましたが、現代では语文(yǔwén・語文) という呼び名に変わっています。
华语(huáyǔ・華語)
华语の华は、日本の華の漢字に相当し、中華、中国の意味を持ちますから、単に华语の言葉の意義からすれば中国語を意味することになります。
従って、広い意味では、たしかに中国語の意味を持っています。
しかし実際は、国外にいる華僑や華人が標準語を指していう呼び名のことを言うのが一般的で、台湾の一部でも用いられることがあります。
また、似たような言葉として、华文(huáwén・華文)という言い方もあります。