この記事の読者の多くは
「長野にコストコはいつできるの?」
「須坂市にコストコがオープンするのはいつ?」
などと期待していることでしょう。
しかし残念なことに、須坂市が近年、須坂長野東IC付近に建設を進めてきた大型商業施設の中にはコストコが含まれないことがハッキリしました。
長野在住のコストコ会員である私にとっても、期待していただけに非常に残念なことですが、将来コストコが長野にオープンする可能性があることも判明しましたので、今後に期待したいと思います
須坂市のコストコ出店構想の経緯
そもそも、須坂市にコストコの出店構想がある話題は、信濃毎日新聞が2019年5月25日に報じた記事から始まります。
この記事では、
須坂市の上信越道須坂長野東インターチェンジ北側の開発計画で、米国発の会員制量販店「コストコ」の出店構想があることが24日、関係者への取材で分かった。
と報じていて、長野でのコストコのオープンを願う人々の間で大きな話題にもなりました。
私もコストコの会員の一人で、遠方にある倉庫店まで足を運んでいますので、この構想はとても嬉しく注目していました。
しかし、構想だけで現実に至らないという話はどこにでもあることですし、過去に頓挫した事例もあることから、構想だけで浮かれてはイケないとも感じていました。
そこで、「あくまで構想と認識すべき」として、当時投稿したのが下記の記事でした。
今回、やはり構想だけで現実には至らなかったことが判明しましたが、将来は近郊にオープンすると確信しています。
さてこの開発計画ですが、自治体である須坂市が計画に従ってほぼ順調に進めたことで、既に具体的に施設の工事を進める段階にまで来ています。
須坂市が公表している、この大型商業施設に関する情報を簡単にまとめてみましょう。
2015年
・土地開発コンサルタントから提案があり須坂市として支援を表明
2016年
・既存のプロジェクトと合わせた開発エリアを表明
2017年
・須坂市地域基本計画、長野地域基本計画が国の同意を取得
2018年
・土地利用調整計画(観光集客施設用地、物流関連産業施設用地)が県の同意を取得
2019年
・地域経済牽引事業計画(観光集客施設用地、物流関連産業施設用地)が県の承認を取得
・土地利用調整計画、地域経済牽引事業計画(ものづくり産業施設用地)が県の同意・承認を取得
2020年
・観光集客施設用地、ものづくり産業施設用地の開発行為許可、農地転用許可を取得
2021年
・物流関連産業施設用地の開発行為許可、農地転用許可を取得
この間、様々な調査が行われ、幾つもの説明会が開催され、ようやく事業として具体化するようになりました。
開発計画では、2024年には全ての計画が完了予定でしたが、その後、計画が遅れて2025年のオープン予定となっています。
大型商業施設の現状
さて、この開発計画。
気になるのは、現状どうなっているかでしょう。
では、まず写真を見てみましょう。
これは先日、撮影したものですが、既に工事が始まっていることが分かります。
コストコが長野に店舗を出す話題は、あくまで構想と認識すべきの記事を見れば分かりますが、2年前は殆どが田んぼでしたから、様変わりしたことが分かると思います。
大きな重機も入り込んでいて、本格的に作業が進められていることが分かります。
この敷地の広さは、写真の通り結構広いことが分かると思います。
上記の2つの写真は、県道58号側(南側)から撮影したものですが、北側から撮影した写真も掲載してみましょう。
遠くに先ほどの重機が見えますから、かなり広い敷地であることが視覚的にも分かると思います。
せっかくですので、パノラマ写真も掲載しておきましょう。
上記の写真を見れば、土地の広さを、より実感して貰えると思います。
でも、この工事がどういう位置づけのものであるか、気になりますよね。
写真のように、農地転用許可済の表示とありますが、本年(2021年)3月29日に許可が下りていますので、現在は農地転用に伴う初期工事の段階と言えます。
上記の写真には、観光集客施設用地 開発工事とあります。
つまり、”用地”の開発段階であることが分かりますが、これが来年(2022年)の5月31日までを予定しているんですね。
これは、須坂市のHPの造成工事に該当するのでしょう。具体的な建築工事はその後になりますから、やはり2025年頃になりそうです。
コストコの出店は今回はない
さて、肝心のコストコの出店についてですが、今回は構想のみで終わってしまいました。
実はこのことは、公式にはまだ発表されていませんが、今回の工事開始を機に、私が直接関係先に問い合わせたことで判明しました。
実際に問い合わせ先は、
(1)出店対象であるコストコ
(2)開発地域の自治体である須坂市
(3)開発事業者である(株)長工
です。
その結果、(1)のコストコは、関連する情報については一切明かしてくれませんでした。
また、(2)の須坂市のまちづくり推進部まちづくり課からは、下記のような回答を頂きました。
お問い合わせの件ですが、現在造成工事を行っております開発に関しまして、コストコが立地するとの情報はお聞きしておりません。
この情報から、出店構想が具体化しなかったことがうかがえます。
そして、(3)の長工からは更に明確な回答を頂くことができました。
その回答には、
今回の須坂市開発への出店依頼も含めた商談も2年前から進めていました、しかし国内への出店順位からして長野県内への出店は今回は見送ることになっております。
とありました。
つまり、コストコ出店構想は兼ねてからあったものの、今回の須坂市の開発事業に於いては見送ることになったのです。
そして、その理由について、国内の出店順位を挙げていますが、確かに理由としてなるほどとの思いを抱きます。
コストコの出店基準の1つに、「半径10キロの人口が50万人」とあります。
須坂市が約5万人、長野市が約37万人、小布施町が約1万人ですから、合計しても約43万人で上記の基準を満たしません。
しかも、半径10キロには長野市全域が含まれませんから、出店基準が仮に原則であったとしても厳しいことは事実です。
一方、コストコが近年オープンした倉庫店を見てみましょう。
最近オープンしたコストコ熊本御船倉庫店の場合、熊本市だけで人口が約74万人で、周辺にも他の市町村がありますから、充分に上記の出店基準を満たしています。
また、その1つ前にオープンしたコストコ札幌倉庫店の場合、札幌市だけで人口が約198万人ですから、これも充分に上記の基準を満たしていることが分かります。
コストコから見れば須坂市周辺と比べると上記の2店の方がはるかに集客を見込めることが分かります。
「国内の出店順位からして」との理由をよく理解できます。
非常に残念ではありますが、長野へのコストコ誘致は簡単ではないのですね。
コストコの計画に期待
さて、今回のコストコ出店は無くなりましたが、悲観する必要はありません。
なぜかと言えば、未だに構想そのものは存在するからです。
実は、上記の問い合わせの回答には、下記の言葉もありました。
しかしながら当社と致しましては引き続き長野県北信地域への出店についてはコストコとの情報共有は進めております。
つまり、将来に可能性がまだ残っているということです。
ちなみに、今回の問い合わせの具体的な回答は以下の通りです。
考えてもみて下さい。
もし、もとから出店の価値がない地域であれば、そもそも構想にすら至っていないはずです。
つまり、優先順位を考えて先に見送られただけと考えられるのです。
コストコも利益を追求する企業の1つ。
であれば、集客さえ見込めれば可能性は充分あると見るべきでしょう。
上記の「半径10キロの人口が50万人」の基準を長野県に当てはめると、正直言って、該当する地域はありません。
松本市の人口は約24万人、上田市の人口は約15万人。いずれも周辺地域を含んでも50万人の基準は厳しいのですね。
しかし、長野県には特有の傾向があるのです。
それは、県内の多くが山々で占められていて、そもそも半径10キロに渡って人口が密集できる地域が殆どないのです。
この傾向は見方を変えれば、たとえ距離が離れた場所でも、必要であれば移動することが多いということ。
つまり、コストコが近辺からの来店が大いに期待できると判断すれば、充分に出店の可能性があるのです。
実際、私が長野に引っ越して来る前まではさいたま市に住んでいて、コストコと言えば、新三郷か入間のいずれかの倉庫店をよく利用していましたが、両店とも20~30キロメートルは離れた場所に位置しています。
ちょっと離れた場所なら足を運ぶのがコストコ。
しかも、長野県内には未だに1つも倉庫店がないことを考えれば、そう遠くない未来に出店が叶いそうな気がしてなりません。
早く長野にコストコを。改めて強い思いが湧いて来ました。