長野市にも大型ショッピングモールがあって欲しい。
そのように願う人はとても多くいます。
実際、私の周辺では切望する人が多く、大型ショッピングセンターの類がないことを嘆く声や、早く大型ショッピングモールが出来て欲しいと願う声を頻繁に耳にします。
大型商業施設は時代の必然なのに、長野市に大型商業施設は誘致されていません。
これが、あまりにも不可解なことだと痛感し、切望する市民の声を大きくする目的でこの記事を書くことにしました。(長文です)
長野市への大型商業施設の建設は緊急事項です!!
賛同してくれる方々には、ぜひコメントをたくさん入れて欲しいと思います。
いいね!やシェア、フォローも大歓迎です!!
長野市民の方々。皆で、建設の機運を盛り上げて行きましょう。
長野市には大型商業施設がない
さて、私が長野市に引っ越してきたのはもう何年も前の話になります。
当時、引っ越しに当たって調べたことの一つが、大型ショッピングモール類の所在地でした。
ところが、いくら探しても大型ショッピングセンターなる大型商業施設などは一切なく、昭和時代にタイムスリップしたのかと思えるほどでした。
「長野県の県庁所在地でありながら、大型商業施設がないとは…」
あり得ない。
そんな衝撃にも似た感覚を味わったものでした。
そして、長野の暮らしに慣れてきた私は、長野が発展しない理由を下記の記事にまとめました。
「だから長野は発展しないんだ!」と感じた、いくつかの出来事。
この記事の中で、発展しない理由の一つとして挙げたのが、大型商業施設がないことだったのですね。
長野市で暮らす中、色々な人と接する中で大型商業施設の話題になると、
「長野市は大型ショッピングセンターが全然ないんだよ~」
と嘆く声や、
「長野市はどうして大型ショッピングモールを誘致しないんだ」
と呆れる姿などに多く接することがあり、大型商業施設を誘致しようとしない市政に疑問を抱くばかりでした。
そのような中で聞いた話です。
「長野市そのものが大型商業施設に反対の姿勢を貫いているため、長野市には大型ショッピングセンターができないのだ」
まさに、耳を疑うような話でした。
「なぜ長野市の発展を拒もうとするのか」
「じわじわと過疎化が進む長野市をいったいどうするつもりなのか」
「多くの長野市民が切望するにも関わらず、時代に逆行するのはなぜなのか」
こんな思いを抱く中、共感する読者の声もあり、長野市を発展させるために小さな声から挙げて行こうと思ったのです。
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長野市の商業施設の現状
では、長野市内にある商業施設の現状を見てみましょう。
まず、主な商業施設を列挙します。
商業施設名 | 売場面積 |
(1)ながの東急百貨店 | 16,875㎡ |
(2)青木島ショッピングパーク | 15,944㎡ |
(3)MEGAドンキ長野店 | 13,712㎡ |
(4)MIDORI長野 | 11,500㎡ |
(5)イオンタウン長野三輪 | 10,500㎡ |
上記は、売場面積の大きい順に並べています。
「(1)ながの東急百貨店」は、商業施設の1つですが従来型の百貨店、いわゆるデパートです。
従って、この記事で論じている大型ショッピングセンターの類とは異なりますね。
バブル時代からある旧式の商業施設でもあり、長野市民が期待する近代的なショッピングモールなどとは全然ちがいます。
「(2)青木島ショッピングパーク」は、呼称としてショッピングパークなのでショッピングセンターに分類できると思います。
しかし、売場面積はわずか15,944㎡です。
1Fの多くはツルヤが占め、2FはEDIONが殆どを占め、全店舗数も二十余ですから、あくまで小規模なショッピングセンターです。
「(3)MEGAドンキ長野店」は、三十余店舗が入る施設です。
しかし、実態は単なるMEGAドンキであり、売場面積も13,712㎡程度ですから大型ショッピングセンターなどとは呼べません。
「(4)MIDORI長野」は、売場面積が11,500㎡にも拘わらず店舗数は100を超えていますから、その意味では中規模の商業施設とは言えそうです。
しかし、MIDORI長野はあくまで新幹線の主要駅である長野駅の利便性を向上させるための駅ビルで、ショッピングモールとは趣向が異なります。
実際、MIDORI長野の利用者の多くは駅の利用者や駅周辺から足を伸ばす人たちで、週末に家族連れでショッピングを楽しむような姿は限られています。
「(5)イオンタウン長野三輪」は、事業主がイオンではありますが、商業施設としては小規模で従来からあるイオンと大差はありません。
お世辞にも、大型ショッピングモールと呼べる施設ではありません。
このように、長野市内には、近代的な大型ショッピングモールと呼べるような商業施設は一つもありません。
県庁所在地でもあり、大きな地方都市でもある長野市に大型商業施設が一つもないとは…。
大きな驚きにも値する異常事態とも言えるのでないでしょうか。
これも、長野市が大型商業施設の誘致には断固反対の姿勢を貫いてきたことに起因すると思えてなりません。
思考停止した市政の愚策が招いた弊害とでも言うべきでしょう。
かつて長野市の中心地にあったイトーヨーカ堂長野店(売場面積:10,946㎡)は、既に店舗を閉じました。
商業施設は、市場の動きをつかみながら柔軟に対応して行かなければ経営が行き詰まるのは、自由競争が行われている世界では当たり前のこと。
同じイトーヨーカ堂でも、アリオ(SEVEN & I HOLDINGS系列の大型ショッピングセンター)内に店舗を構えるところは活気に溢れています。
これに対して、従来からある旧型式のままのイトーヨーカ堂などは活気を失い長野店のようになる。
考えてみれば、イトーヨーカ堂が店を閉じてしまったのは必然とも言えます。
本当は近代型の商業施設に生まれ変わりたかったイトーヨーカ堂長野店。
「長野市が都市開発路線を間違えたことによって息の根を止められた」
そのように思えてならないのは、私だけでしょうか。
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他市には既に多くの大型商業施設あり
ここまで読めば、長野市内に大型ショッピングセンターなる商業施設が一切ないことを分かって頂けたと思います。
では、大型ショッピングセンターは現在、どのように普及しているのでしょうか。
他の都市の出店状況を見てみましょう。
松本市や上田市にはある
長野市とよく比較される市といえば松本市。
長野県の2大都市と言えば、長野市と松本市ですから当然です。
長野市は県内で最も人口が多く37.1万人で、松本市は長野市に次いで人口が多く24.3万人。
松本市は、比較対象として最も適した市と言えます。
その松本市にある最大のショッピングセンターは、イオンモール松本(売場面積:49,000㎡)です。
店舗数は150を超えると言いますから、まさに大型商業施設そのもの。
現時点では、長野県において最大規模です。
そして、長野県で三番目に人口が多い都市が上田市(15.7万人)ですが、その上田市にある最大のショッピングセンターは、アリオ上田(売場面積:23,100㎡)です。
店舗数こそ70程ですが、敷地面積62,700㎡はイオンモール松本とほぼ同じ(同 62,500㎡)で、規模的にも大型ショッピングセンターと呼べるレベルです。
このように、長野県において長野市と比較される都市・松本市や、長野市と松本市に次いで人口が多い上田市においては大型ショッピングセンターがきちんとあるのです。
長野市に無いのが不自然だと、よ~く分かります。
長野県のほかの市にもある
これだけだと、
「たまたま松本市と上田市に誘致されただけじゃない」
と思う人もいるかも知れません。
なのでもっと、補足しましょう。
人口規模で長野県第4位は飯田市(人口:10.2万人)、第5位は佐久市(人口:9.9万人)と続きます。
いずれも、長野市の人口と比べると3分の1以下です。
だから、大型商業施設なんて無くても無理はないともいえる都市です。
それでも、飯田市にはアピタ飯田店(売場面積:11,276㎡)やイオン飯田アップルロード店(同:13,382㎡)、イオン飯田店(同:12,851㎡)などがあります
規模こそ小さめですが、割と近代的なショッピング施設で、人口比で考えれば規模としてはむしろ自然と言えます。
人口数が飯田市の3倍以上あり、県庁所在地でもある長野市が、飯田市にあるショッピングセンターと同規模の商業施設しかないと考えれば、長野市の異常さが分かると思います。
もう一方の佐久市にはイオンモール佐久平(売場面積:31,718㎡)という立派なショッピングモールがあります。
人口10万人ほどの都市であれば、この規模の商業施設は普通にあるってことですね。
そして、特筆すべきは人口規模で13位に過ぎない岡谷市(人口:5.0万人)ですら、レイクウォーク岡谷(売場面積:27,000㎡)という大型ショッピングセンターがあることです。
岡谷市は長野市の人口の七分の一に満たない、わりと小さな都市です。
それにも関わらずこれだけ大規模の商業施設があるのです。
これと同等規模の商業施設すら一つもない長野市が、いかに異常であるかが分かると思います。
遂に須坂にも大型商業施設が誕生
このように、長野県にある長野市より小さな市ですら大型商業施設がいくつもあることが分かって頂けたと思います。
でも、これだけではありません。
須坂市では、2024年にフルオープンする大型商業施設の建設が既に進められています。
この施設は、敷地面積(売場面積ではない)が158,000㎡という桁外れの規模です。
イオンモール松本の敷地面積が62,500㎡ですから約2.5倍。
いかに大規模であるかが分かると思います。
須坂市は人口規模では長野県で11番目(人口:5.1万人)に過ぎません。
にも拘わらず、これだけ大規模な商業施設を建設するのですから、「長野市は、いったい何をやっているのか」と言いたくなりますね。
この大型商業施設は、長野市からもアクセスが容易な場所にありますから、長野市内から多くの客が流れて行きます。
私には、須坂市に先を越されたって感覚があります。
長野市の発展・発達の機会損失とでも言うべきでしょう。
他市に流れる長野市民
以上、長野県内における大型商業施設の現状を述べて来ましたが、ここで強く認識すべきことがあります。
それは、長野市から周辺市町村へ買い物客が流れている現状についてです。
先にも述べましたが、長野市民の中には大型商業施設誘致を切望する人が多くいます。
だからこそ、長野市民の多くは周辺市町村にある大型商業施設へ自然と足を運ぶんです。
市民に需要があるのに、市内に供給がなければ、供給のある市外へ人が流れるのは極めて自然な流れ。
需要と供給という小学生でも知っているような基本的なことを、長野市は理解していないのでしょうか。不思議です。
我が家も、週末ともなれば上田市のアリオ上田によく行きます。
時には、松本市のイオンモール松本へ行くこともあります。
そして、軽井沢町のプリンスショッピングセンターへ行くこともしばしば。
軽井沢町の場合、首都圏からの需要も想定していますし、ここはアウトレット店なので趣向は異なります。
しかし、有意義なショッピングを求めるなら遠方でも足を運ぶのは特別なことではありません。
要するに、長野市民が普通にショッピングを楽しもうと思うのなら、上田市や松本市、軽井沢町まで足を伸ばすのです。
このことは我が家だけではなく、多くの長野市民の動向でもあるのです。
と言うのも、上田市のアリオ上田では、必ずと言っていいほど、地元・長野市の人と会うんです。
近所の人、職場の人、子供の同級生などなど。
誰とも会わないことの方が少ないくらいです。
そしてイオンモール松本も同じ。
頻度は上田アリオほどではありませんが、イオンモール松本で長野市の人と会うことは何度もありました。
実際、イオンモール松本へ足を運ぶと分かりますが、専用駐車場に停まっている車両の多くは松本ナンバーです。
しかし、長野ナンバーもそれに交じってけっこう多く停車しているのです。
要は、週末ともなれば、長野市から松本市へショッピング目的で訪れる人がかなりいるってことですね。
また、、軽井沢のプリンスショッピングセンターは首都圏のナンバーが多くを占めていますが、長野ナンバーも目立ちます。
軽井沢でも、長野市の人と何度も会っていますよ。
長野市内には、まともに買い物ができる場所がないから、多くの長野市民が自然と市外へ流れて行くんです。
税収アップで長野市の財政が潤うべきところ、他市町村に譲っているみたいな感じすらします。
長野市は、市を発展させたくないのでしょうか。本当に疑問です。
「長野市には大型ショッピングセンターがない」
とは非常によく耳にする言葉ですが、その本意は、
「長野市には、ショッピングをする場所が全然ない」
です。
長野市は、市民の深刻なる思いを受け止めるべきでしょう。
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同規模の県庁所在地ではどうか
ここまで書いても、中には
「長野市は歴史もあり、自然も恵まれているから商業施設以外で十分勝負できる」
「長野は面積が広くて人口密度が低いため、大型商業施設は適さない」
「他市町村が誘致していても真似する必要などない」
などと言って、大型商業施設を全く考えない人がいるかも知れません。
そんな人は、脳みそが江戸時代の中にあると言えましょう。
思考停止している人には何を言っても無駄。そう感じます。
寒冷地だから脳が凍結しているのでしょうか。
温暖化の影響で、脳が溶けてしまったのでしょうか。
本当に思考停止。まるで江戸時代です。
井の中の蛙大海を知らず
そんな諺が脳裏に浮かびます。
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人口規模が同程度の県庁所在地
という訳で、視点を長野県外に移してみます。
長野市はれっきとした県庁所在地。
市の人口は37.1万人ですから、ごく平均的な県庁所在地と言えるでしょう。
なので、長野市と同程度の、ごく平均的な県庁所在地の実情を見てみるのが一番参考になると考えました。
人口規模で長野市に近い県庁所在地を10個挙げると以下の通りです。
県庁所在地(都道府県) | 人口 |
(1)高松市(香川県) | 42.4万人 |
(2)富山市(富山県) | 41.2万人 |
(3)長崎市(長崎県) | 40.5万人 |
(4)岐阜市(岐阜県) | 40.6万人 |
(5)宮崎市(宮崎県) | 40.0万人 |
(6)和歌山市(和歌山県) | 35.3万人 |
(7)奈良市(奈良県) | 35.3万人 |
(8)大津市(滋賀県) | 34.4万人 |
(9)前橋市(群馬県) | 33.3万人 |
(10)高知市(高知県) | 32.5万人 |
長野市(長野県)の人口は37.1万人ですから、(1)~(5)が長野市より人口が少し多い県庁所在地、(6)~(10)が長野市より人口がちょっと少ない県庁所在地ですね。
では、(1)~(10)の県庁所在地における大型商業施設を見てみます。
大型商業施設は
10個あげた県庁所在地において、その地で最大の商業施設は下記の通りです。
売場面積も併記しました。
調査の都合上、一部は売場面積の代わりに店舗面積を記載していますが、規模を表す指標としては同等と考えて、そのまま列挙しました。
施設名(県庁所在地) | 売場面積 |
(1) イオンモール高松(高松市) | 47,000㎡ |
(2) フューチャーシティ・ファボーレ(富山市) | 55,631㎡ |
(3) みらい長崎ココウォーク(長崎市) | 27,446㎡ |
(4) マーサ21(岐阜市) | 48,000㎡ |
(5) イオンモール宮崎(宮崎市) | 60,000㎡ |
(6) イオンモール和歌山(和歌山市) | 48,500㎡ |
(7) ならファミリー(奈良市) | 86,000㎡ |
(8) フォレオ大津一里山(大津市) | 41,463㎡ |
(9) けやきウォーク前橋(前橋市) | 55,634㎡ |
(10)イオンモール高知(高知市) | 57,000㎡ |
いかがでしょうか。
長野市と人口が同規模の他府県の県庁所在地には、全て大型ショッピングセンターと呼べる商業施設があるのです。
しかも、その殆どが、長野県内最大の松本イオンモールと同等かそれ以上の規模です。
また、上記は各地の最も大きな商業施設を1つ列挙しただけです。
従って、各県庁所在地には、他にも大型ショッピングセンターと呼べるような施設が複数あるところも珍しくありません。
上記で、長崎市のみらい長崎ココウォークはそれほど大規模ではないと錯覚を起こすかも知れません。
しかし、規模としては長野県上田市にあるアリオ上田よりも大きく、大型ショッピングセンターと呼べる大きさです。
そもそも長崎市は、半島の先端に位置している上、長崎県の地形が複雑な形状であることや、長崎県の人口そのものは決して多いとは言えないことを考慮すれば、長崎市内に売場面積が27,000㎡を超える商業施設は、規模としてはとても大きいと言えます。
まして、長崎市には上記のみらい長崎ココウォーク以外にも、アミュプラザ長崎(売場面積:23,300㎡)や、ゆめタウン夢彩都(売場面積:26,000㎡)もありますから、むしろ大型商業施設は充実していると言えます。
このように、長野市と同規模の県庁所在地においては、いずれも大型ショッピングモール或いは大型ショッピングセンターと呼べる施設があり、市によっては複数の大型商業施設もあるのです。
いかに長野市が異常か
上記に挙げた現状を見ると、長野市の異常さが浮き彫りになったかと思います。
長野市民の中には、
「これが現実なのか・・・。あり得ない。まるで悪夢のようだ!」
このように感じる人さえいることでしょう。
上記に挙げた10個の県庁所在地は、その地域ならではの課題があり、色んな事情もあることでしょう。
しかし、どんな課題や事情があったにせよ、地域の発展の一助と考えて大型商業施設の誘致を進めたのだと思います。
それに比べて長野市はどうでしょうか。
大型商業施設が1つもないんです。
長野市の発展を考えれば、誘致していた方が自然。
それを誘致しなかった長野市の異常さをつくづく感じます。
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かつての誘致構想頓挫は大失敗
ここまで読んで、長野市にずっと住んでいた人であれば、且つて長野市にも大型商業施設の構想があったことを思い出したのではないでしょうか。
その構想も、結局のところ頓挫して実現しなかったのですが、今振り返った時、それは大失敗であったと痛感します。
長野市の失策と言っても過言ではない。
つまり、誘致反対は愚策だったと言えるのではないでしょうか。
大型商業施設に対する長野市の姿勢
では、ここで長野市の大型商業施設に対する姿勢を見てみましょう。
長野市の公式サイトには、大型商業施設に取り組む姿勢や考え方が読み取れる記事(https://www.city.nagano.nagano.jp/site/midorinoteble/65578.html)がありました。(現在、削除されています)
この記事は、平成24年(2012年)9月9日、市民を交えた会議の内容を公開したもので、市民団体からは下記の質問がありました。
長野市には大型スーパーが少ない。イオンは、松本市、上田市、佐久市にショッピングセンターを設け、軽井沢町にも大型の商業施設があり、季節を問わず買い物客が訪れている。長野市にもイオンのような大型商業施設が必要ではないか。
(筆者注:上記は、いずれも現在のイオンモールとは異なります。当時は単なるイオンしかありませんでした。)
これに対して、担当者の回答は、
国は、将来の人口減少を見据えて、これまでの都市の拡大を前提としたまちづくりの方向性を大きく転換し、都市機能が集約されたコンパクトなまちづくりの実現を図るため、まちづくりに関する三つの法律(大規模小売店舗立地法、中心市街地活性化法、都市計画法)を平成19年に改正した。長野市でもこれに伴い、郊外への自由な出店が規制され、市街化調整区域での大規模開発は認められなくなり、従来のように、郊外に大型商業施設を建設するのではなく、市街化区域の中に大型商業施設の建設を誘導するようになった。
一般的に店舗の出店については、土地利用の規制や道路事情、商圏などの市場調査を基に、採算面を考慮した上で、事業者が最終的な出店の可否を決定するものであるが、市としては、出店が認められている市街化区域内への出店を誘導し、生活支援機能がコンパクトに集約されたまちづくりを目指しているところである。
と言う内容でした。
この記事は、ある自治区が主体となって行われた会議の内容をまとめたものです。
しかし、これには当時の市長・鷲澤正一氏も出席していて、長野市の公式サイトにも掲載されていますから、長野市の意向が反映された文書と解釈できます。
さて、上記の担当者の回答を一読しただけだと、まるで「大型商業施設は禁止されている」かのような解釈をしてしまう読者もいるかも知れません。
それは、誤解を招くような回答になっているからです。
そもそも、市民団体からの質問は
「大型商業施設が必要ではないか。」
ですから、まともに回答しようとすれば、
「必要である。」
又は
「必要でない。」
のいずれかであるべきです。
普通に日本語を考えれば、ごくごく当たり前のことです。
もし、上記の回答ができないのであれば、せいぜい
「必要であるか、必要でないかを判断し兼ねている。」
などの回答になるハズです。
ところが必要性については語らず、明言を避けたお茶お濁すような説明になっているんです。
(質問に答えずにはぐらかす、某元総理大臣の答弁みたい…)
ここでは、平成19年(2007年)に改正した三つの法律を挙げて大型商業施設の建設が困難であるとし、「郊外に大型商業施設を建設するのではなく…」のような遠まわしの表現をしています。
こんな表現では、その場に居合わせた参加者や、公式サイトでこの記事を見た人は、「法律があるから大型商業施設は無理なんだ」と短絡的に思ってしまいます。
要するに、長野市は大型商業施設に対して腰が引けていたからこのような表現になっているのですね。
でも、実際の長野市の意向は、決して頭ごなしに否定している訳ではありません。
この記事の後には、この市民の質問に対する鷲澤正一元市長の説明も記載されています。
その内容は下記の通りです。
大型スーパー(イオンなど)の建設問題は、私が市長になってからである。商店会の皆さまからこのような大型店を造られたら全て倒産してしまうと言われた。確かにこのままの計画では、町がつぶれてしまうと考え、人口も減少していくことが明らかな中、無理と判断し、コンパクトシティーを提唱した。あの時の大型店の申請件数の面積合計は、その時点の長野市の商店の合計面積とほぼ同じくらい多かった。これでは、まちが死んでしまうということで、計画をストップさせていただいた。この判断が正しかったかどうかは分からないが、この時点では、ストップする他に方法がなかったことをご理解いただきたい。現在、農地をつぶして大型店をつくることは非常に難しくなったが、今後、この状況が続くのかどうかは分からない。今一番の問題は、長野市に大型スーパーをつくろうとする民間事業者がいないということである。長野市は、大型店全ての出店を否定しているわけではなく、市街化区域に出店を誘導している。今、可能性があるのは、SBC通りの旧ジャスコ長野店の跡地くらいである。JR長野駅の東口再開発事業の所に、ある程度の土地があり、現在の計画ではバスの待機所となっているが、本当は1階部分をバスの待機所として、その上は大型スーパーが入れば良いと思っている。しかし、民間事業者で手を挙げるところがないというのが現状であるので、このような現状を考えていただき、長い目で見ていただきたい。
ちなみに、鷲澤正一氏が市長を務めたのは、平成13年(2001年)11月11日~平成25年(2013年)11月10日のことです。
その間に、商業施設をめぐって色々なことがあったことがうかがえます。
この市長の説明の中で特筆すべきは、
「他に方法がなかったことをご理解いただきたい」
「この判断が正しかったかどうかは分からない」
「大型店全ての出店を否定しているわけではなく」
などですね。
「他に方法がなかったことをご理解いただきたい」は、大型商業施設を願う市民が多くいることを知っているからこそ出た、弁明の言葉のように感じます。
「この判断が正しかったかどうかは分からない」は、当時の大型商業施設建設計画をストップしたことの正否は判断しかねる、つまり、計画を進めていた方が、結果的によかったかもしれないという可能性を示唆していると考えられます。
「大型店全ての出店を否定しているわけではなく」は、今後、大型商業施設を建設する可能性が十分にあることを示していると言えましょう。
しかし、私のように大型商業施設を切望する立場からすれば、
「なに、言い訳しているんだ。市民のニーズを考えて、大型商業施設を建設すべきだろ!商店街の意向をくんだのは、単に長野商工会議所副会頭を務めている立場にあり、選挙で支持を失うことを恐れたためだろう。」
などの激しい意見も言いたくなります。
とは言え、当時の状況や市長の立場を考えると、理解できなくはありません。
一般市民には分からない、市政の難しもあることですしね。
ただ、ひとこと言わせて貰えば、
「かつての誘致構想頓挫は大失敗です。」
上記で、当時の市長は「長い目で見ていただきたい」とも語っていますが、長い目で見た結果どうでしょう。
前述の通り、長野市と同規模の県庁所在地では、全て大型商業施設を誘致しています。
完全に時代に遅れた。大失敗だった。
そう思うのは私だけでしょうか。
時代のニーズを無視した政策は、歪しか生みません。
そこを考えるべきでしょう。
ちなみに、先に挙げた三つの法律(大規模小売店舗立地法、中心市街地活性化法、都市計画法)ですが、あくまで
- 小売業の健全な発達を図り、もって国民経済及び地域社会の健全な発展並びに国民生活の向上に寄与すること
- 地域の振興及び秩序ある整備を図り、国民生活の向上及び国民経済の健全な発展に寄与すること
- 都市の健全な発展と秩序ある整備を図り、もつて国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与すること
を目的として定めた法律です。
つまり、無暗(むやみ)で無計画な都市開発を防止することが主旨です。
大型商業施設そのものを禁止している訳ではありませんのでご注意下さい。
実際、上記で挙げた上田市や松本市、或いは県庁所在地にある大型商業施設の殆どは、三つの法律が改定された平成19年(2007年)以降に建設されています。
大型商業施設そのものを禁止している訳では無いことが、建設されて来た事実からもよく分かります。
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且つての大型商業施設誘致構想を振り返ると
ではここで、且つての大型商業施設誘致構想を振り返ってみましょう。
これについては、上記の元市長の
「商店会の皆さまからこのような大型店を造られたら全て倒産してしまうと言われた。」
との言葉にあるように、商店街からの大きな力が働いていました。
具体的には、長野商工会議所のウェブサイトにあった「超大型店出店に関して長野商工会議所の考え方」(既に削除されました)と題する資料に分かりやすく書いてありました。
この文書は、長野商工会議所として大型店の出店に反対する意見表明をした意見書ですが、特に当時、具体的な構想としてあがっていた「イオン篠ノ井ショッピングセンター(仮称)」に対して強く反対しています。
この意見書は平成17年(2005年)に出されたもので、その主旨は既存の店舗を保護することが目的でした。
しかし、この意見書に目を通して強く感じることは、反対意見の正当性を強く主張しようとするあまり、内容には非常に無理があることです。
この意見書では、冒頭に反対である意見表明をした上で、問題点として下記の項目を挙げてそれぞれの視点から主に短所を挙げて、反対の根拠にしています。
(1)地権者の視点から
(2)地元商業者の視点から
(3)地元建設業者の視点から
(4)テナント業者の視点から
(5)雇用者の視点から
(6)地元消費者の視点から
(7)地域の伝統と文化の視点から
(8)地域の環境と観光の視点から
しかし、反対する視点でしか論ぜず、あたかも「これが正論」と言わんばかりにまとめられているのです。
要するに、偏った論述になっているのですね。
長くなりますが、具体的に1つ1つこの意見書の内容を見てみましょう。
以下、(1)~(8)は、上記の意見書の内容について触れていますので、意見書を読まないと分かりにくいかも知れません。
あまり興味の無い方は、(1)~(8)は読み飛ばして下さい。
(1)地権者の視点から
ここでは、ある土地所有者が300坪を有して賃貸契約する場合を想定し、年間不動産収入は180万円と試算しています。
続いて、農地からの転用に伴い、固定資産税が184倍の32万円にもなると論じ、不動産収入180万円から得た所得に他の所得を合算した額に課税されるため、負担が大きいことを示しています。
その上、10年後に(イオンが)撤退した場合には、不動産収入がなくても高額となった固定資産だけは支払う必要になり、更に、相続することになれば農地を転用したことで大きな課税額になると書いています。
この試算は確かに税法や一般例から導き出しているので、一見すると最もらしいのですが、そもそもが想定から試算しているに過ぎません。
また、10年で撤退との話も仮定の話ですし、仮にそうなっても新たな賃貸契約が成立すれば問題は起きません。
更に、相続問題はその家庭の状況にもよりますので、一概に悪とは言えません。
実際は、どのように賃貸契約を結ぶかによる訳で、地権者が色々なことを想定して、できる限り不利にならないような契約をすれば想定とは異なるハズです。
また、地権者にとって年間180万円の不労収入はそれだけでも価値があります。
短所にばかり論点を絞り、長所は論じようとしていません。
そもそも、契約者は地権者であって商工会議所ではありません。
地権者が契約内容に価値があると判断・納得すればいいだけのことです。余計なお世話ですね。
つまり、この項では、地権者が被るであろう悪い点ばかりが強調して書かれていると言えます。
(2)地元商業者の視点から
ここでは、地元卸売業者の取引の可能性はあるが、物流は参入の余地はないと論じています。
また、備品等は大型店の子会社を通すので、地元に子会社等がある場合のみ取引の可能性があると述べています。
更に、清掃業者なども、孫請けならば受注の可能性もあると言っています。
要するに、地元の業者にとって参入できる可能性は低く、地元の利益には殆どつながらないと言う見解を示しているのです。
長野市に誘致するのであれば、誘致先の業者が関係しないハズはありません。
「余地はない」とか「可能性」のみを示唆するような消極的な表現をすることで、マイナス面を強調しようとする意図が見え隠れします。
(3)地元建設業者の視点から
ここでは、地元建設業者が受ける恩恵について、2つの商業施設を例にシミュレーションしています。
結論として、2つの商業施設とも、地元への波及効果が20億円前後あったとしていますが、単にこれらの数値を並べただけで、その波及効果にメリットがあるという言い回しはしていません。
波及効果は発生する数値として出ても、メリットとして論じてしまうと、反対するには不都合。
そのように考えて書かれた文章のように感じます。
また、わざわざ内装工事の工事高は不明と書いているのも、暗にメリットがあるのは疑わしいことを示したい意図があるように思えます。
(4)テナント業者の視点から
この項では、まず、ある商業施設における地元企業の入店が8%に過ぎないことを示しています。
次いで、諸費用を含めた実質上の家賃は、20坪の物販販売店で月79万にもなるとし、高熱費を含めると売り上げの多くを経費が占めることになると論じています。
そして、地元企業には入居条件が厳しいと結論付け、赤字すらなることに触れてメリットの低さを強調しています。
でも、その論調はとても不適切になっています。
意見書の一部を下記に引用します。
全国展開する大型ショッピングセンターのテナント入居条件は、地元企業に対しては入居条件が厳しく、集客力のある全国展開テナントに対しては入居条件のハードルが低いと言われている
これを読むと、読み手は誤解します。
そのまま読めば、「入居条件は地元企業に対して厳しく、全国展開テナントには厳しくない」と解釈できます。
でもこれは間違いでしょう。
地元企業がどうのこうのではありません。
正確に述べれば、「集客力のある企業は入居しやすく、集客力のない企業は入居しにくい。」です。
長野市内の従来店舗に集客力がないことが問題の本質です。
あたかも、地元に不利になるような印象を与えるこのような表現が不適切なのです。
(5)雇用者の視点から
この項では、地元の雇用を発生させる議論があるものの、メリットは殆どないと結論付けています。
2つの商業施設の雇用形態の例を挙げ、正規社員はごく少なく、圧倒的に非正規が占めるため雇用発生は期待できないとしています。
また、非正規社員(パート、アルバイトなど)も、他店舗からの移動してくるので新規の雇用には結びつかないと説明しています。
更に、長野市内の地元商店街で失われる雇用が多くなることにも触れて、デメリットが強調されています。
しかし、これには誤魔化しがあるように感じてなりません。
そもそも、正社員が少ないとは言え、雇用が増加することに変わりありませんし、非正規社員でも雇用の増加と言えます。
近年、雇用の正規・非正規間にある賃金や待遇の格差が問題視されていますが、大型商業施設とは直接関係ありません。
結び付けて印象を悪くさせようとする意図を感じます。
また、新規オープンに伴って他店舗から多くの人が移動してくるのは事実ですが、それは新店舗を立ち上げるためにはベテランスタッフが必要だからです。
業務に慣れていな人が、いきなり店舗の営業をこなせるわけありませんから当たり前です。
しかし、”新規オープンスタッフ募集”などのアルバイト募集や就職採用広告を見たことがある人も多いはず。
世の中、こんな募集はどこにでもあるのですよ。
必ずしも全てのスタッフが他店舗から移動してくる訳ではなく、多少なりとも雇用は生まれます。
しかも、長期的に見れば新たな採用やスタッフの人事異動などがあるため、地元から採用する機会は増加します。
マイナス面に論点を当てて、もっともらしいことを述べているだけのように思えてなりません。
「何とか誘致を阻止せねば」との強い意志によって、このような無理のある説明文が作られたのだろうと強く感じます。
(6)地元消費者の視点から
ここでは、大型商業施設が大きなシェアを持つため、消費者物価の制御が可能になることに触れています。
そして、消費者物価が安くなることは証明できないと論じています。
要するに、たとえ大型商業施設ができても価格競争による物価の低下は期待できないから消費者のメリットは無いと言いたいようです。
しかし、ここは論点がズレていますね。
一般に市場で競争が行われれば、購入価格が低下することは期待できると思いますが、それに対して、実際は期待できないと言っているのですね。
でも、そもそも長野市で大型商業施設建設を願う人は、価格低下を期待しているでしょうか。それほど期待していません。
と言うよりも、価格が低下しないことは、ある意味では当たり前だとも思っているはずです。
大型商業施設には、専門店が多く入りますが、その中には有名なブランドも多くあります。
一般にブランド商品は値下げなどしない傾向が強いものですよ。
この意見書のズレは、地元消費者は価格に期待して大型商業施設を切望している訳ではないことを考えていないことです。
その点を全く理解していないんですね。
まさに思考停止。停止ならまだマシ、思考逆走って感じです。
確かに、同じ商品であれば安いに越したことはありません。安く購入できて嬉しく思わない人はいません。
でも、大型ショッピングセンターに期待していることは他にたくさんあるのです。その一つが品質、良質な商品です。
他にも、
気軽に足を運べる
休日にのんびり過ごせる
一か所で色々な商品を見ることができる
家族全員が楽しめる
などなど沢山あります。
安さだけ求めるならディスカウントショップの類に行けばいいだけです。ドン・キホーテや綿半なら結構やすいですよ。
今やネットショップも充実していますしね。
論点がズレすぎてます。
そして、この項では、道路の渋滞にも触れていますが、活気のある街ほど渋滞が発生するものですよ。
「過疎地で渋滞が深刻化している」なんて聞いたことありません。
「衰退している市町村で、年々渋滞が激しくなっている」なんてこともあり得ません。
渋滞って迷惑なことの表れではありますが、それは活気がある証拠でもあります。
渋滞→迷惑→悪
短絡的すぎますね。
(7)地域の伝統と文化の視点から
この項では、「イオン篠ノ井ショッピングセンター(仮称)」の出店予定地では、現在ブランド力の高い果樹が栽培されていて、その農地が転用されるとその果樹が失われる可能性が高いことに触れ、その損失がもの凄く大きいと述べています。
その損失を強調するために、わざわざ収穫量や良質な品種、更には高い栽培技術が求められることにまで言及して、とても回りくどい文章になっています。
よくよく見れば、「地域の伝統と文化の視点から」とのタイトルになっていながら、単に農地が転用されることによって農産物が減ることだけを述べているに過ぎません。
誇張した表現を重ねて、損失の大きさが不自然に強調されているだけのように感じます。
換言すれば、大型商業施設が影響を与える「地域の伝統と文化」は、この果樹以外には無いことになります。
力づくでも建設させない、との強い思いだけが文章からニジミ出てきていますね。
(8)地域の環境と観光の視点から
ここでは、大型商業施設の集客範囲は狭いので、既存商店街を直撃すると述べた上で、伝統と文化を維持している在来の商店街が衰退すれば、金銭などでは表しようのないほど失われるものが多いと述べています。
続けて、伝統文化を失うとゴーストタウン化し、治安が悪化し、青少年の教育問題や高齢者の生活問題が生じて社会的なコスト上昇が予測されると結び付けています。
更に、訪れる観光客に失望を与え、商業施設を往来する自動車増加に伴って二酸化炭素の排出量は増え、施設から出る光の放散が周辺の植物や環境に影響し、優良農地が失われて食料自給率の問題にもつながるなどと述べています。
読んでいて呆れてしまいますが、ハッキリ言ってこじつけが多すぎます。また、表現が大袈裟すぎます。
そもそも集客範囲は狭くはありません。
往来の商店街と伝統・文化とは、本来分けて考えるべきです。
ゴーストタウン化や治安悪化も伝統文化とは直接無関係です。
訪れた観光客の中には、大型商業施設があることを喜ぶ人も多くいます。
失望なんかしません。
下記の写真を見て下さい。
これは、県外から訪れた松本市周辺への観光客が、長野県のマスコット「アルクマ」と記念撮影ができるように、松本イオンモール内に設置された撮影スポットです。
観光客が大型商業施設に喜んで足を延ばす姿が浮かんできます。
観光客に失望を与えるなどと言う人は、思考が石器時代なのではないでしょうか。
そして、商業施設を往来する自動車増加に伴って二酸化炭素の排出量が増えると論じていますが、果たして本当にそうでしょうか。
長野市から大型商業施設を求めて、多くの人が頻繁に上田市や松本市に移動している現状こそ、不要な二酸化炭素の排出を招いていると感じます。
行く場所がないから週末になると郊外に出かけていた長野市民が、週末に地元の商業施設を利用するようになれば、むしろ二酸化炭素の排出量は減る可能性もあります。
お出かけ先が変わるだけならガソリン消費量も二酸化炭素の排出量も不変です。
たとえ結果として増加するとしても、表現が大袈裟すぎますよ。
現代社会で問題視されていることを大型商業施設建設の影響と無理やり結び付けているだけです。
客観的に見てもおかしいです。笑ってしまうくらいです。
そして、食料自給率の問題にまで触れていますが、本質を論じていませんね。
農地の減少が食料自給率を下げているとの見方は、あくまで表面上の因果関係です。
農家が農地を売却や転用しようとするからこそ食料自給率が下がっているのです。
農地の減少は、商業施設そのものが原因となるのはなく、むしろ別な原因による結果なんですよ。
発展途上国などの安い労働力を背景に収穫された農産物が海外から入ってきたら、高い労働力である日本は勝負できません。
米国のように効率化が徹底された大規模栽培が可能な国から安い農作物が入ってきたら、国土の大部分を山間部が占める日本ではまともな勝負はできません。
これこそが、食料自給率低下の本質です。
だからこそ、日本は独自ブランド品や、高品位な品種を開発するなどの差別化で対抗しているのです。
それが出来ないような農家は、収益性が落ちて行くだけですから、「農業を辞めようか…」となるんです。もちろん、後継者の問題もあります。
とにかく、農地の減少そのものが食料自給率を下げているのではありません。
農地を売却・転用しようと考えるのは、日本の農業の競争力が弱いからです。
その本質を見ないで食料自給率の問題まで持ち出すのですから、呆れてしまいます。
こんな無理な論法までするとは…。
在来商店街の焦りがにじみ出ていると痛感します。
また、大型商業施設を誘致した上記の市において、誘致を機にゴーストタウン化や治安の悪化が進んでいるでしょうか。
そんな社会問題は聞いたことがありません。
むしろ、伝統・文化と共存しながら、市に活気を呼んでいるように見えます。
この意見書の概要
さて、この意見書で述べられている「問題点の指摘」について論じてきましたが、読者の中で「実に筋の通っている意見書だ」と感じた人はどれくらいいるでしょうか。
少なくても私には、反対を押し通すために、強引で無理な論理展開をした文書にしか見えません。(狂った政治屋の答弁みたい…)
総じて言えば、上記で挙げられている問題点は、大型商業施設を誘致するに当たって一般に解決すべき課題に過ぎません。
つまり、「問題があるから建設はダメ」なのではなく、「課題があるから克服しながら建設を進める」べきなのです。
上記に挙げた各県庁所在地における施設誘致でも、後者であったはずです。
ちなみに、この意見書では、「問題点の指摘」の後に、委員、議員の意見(業種別・アンケートによる回答)が記載されています。
意見としては各業種から多様な見解が出ているようにまとめられています。
しかし、大型商業施設を切望する多くの住民の声は殆ど反映されていない感じがしてなりません。
既存の商店街が、脅威を感じて必死になっている姿が強く表れているとも言えます。
長野市は直ぐにでも誘致すべき
以上、長々と述べて来ましたが、私が主張したいことは、長野市は直ぐにでも大型商業施設を誘致すべきだということです。
多くの市民の切望していること。
長野市と同規模の各県庁所在地はみな誘致していること。
時代のニーズであること。
これだけでも理由は十分でしょう。
誘致するのが時代の必然。
誘致しない言い訳など無用とさえ感じます。
こう言えば、既存の商業施設を経営している人の多くは反対するでしょう。
だからこそ声を大きくして言いたいのです。
「長野市がやってきたことは、決して既存の商業施設のためにならなかった!」
と。
では、そのことを示すため、改めて過去を振り返ってみましょう。
当時の市政の結果
結果が全て。そんな言葉もあります。
従来からある商店街等が、大型商業施設建設計画が中止になってからどのように変化したでしょうか。
且つてよりも栄えて行ったでしょうか。
結果は真逆ですよね。
長野の市街地で有名な権堂周辺は、且つての賑わいを潜め、衰退してしまいました。
中心市街地全体をみても活気が失われていると言えます。まるで、老害による衰退モデルのよう。
長野市は、市街化区域に出店を誘導しつつ、中心市街地にある既存店舗が多くある商店街を保護する政策を執ってきた訳ですが、全く功を奏していないと言えます。
先に述べたイトーヨーカ堂の撤退もその影響ですね。
当時の政策を端的に言えば、「大型商業施設が脅威であるため、既存店舗を保護するために、その誘致を阻止した」ものでした。
これには、元市長の鷲澤正一氏が、長野商工会議所の副会頭であったことが大きく影響したという話は既に述べました。
そして、後任の市長であった加藤久雄氏(平成25年11月11日~令和3年11月10日が任期で、既に退任)が長野商工会議所の会頭であったことが、その後も大型商業施設の阻止する政策が受け継がれたことに影響があったと言えましょう。
悪く言えば、2代の市長が支持を得る立場を守るために執った政策。
良く言えば、既存商店街を保護するためには仕方がなかった政策。
いずれかを論じて当事者を責めても意味がありませんからから、いたずらな言動をするつもりはありません。
ただ、このブログの読者の一人から
「商工会議所と二人の市長によって大型ショッピングモールは阻止されつづけ発展を阻害されたという印象を持っています。」
との意見を頂いたことがあり、「中(あた)らずと雖も遠からず」と感じます。
実際、これと同様の印象を持たれた方も多いのではないでしょうか。
どんなきれいごとを並べたところで、中心市街地の商店街が衰退したことは事実で、この事実を直視してしっかり向き合うべきだと思います。
それこそが、既存店舗を保護することです。
あわせて読みたい視点を変えて見た長野の良いところ。
市政の誤りはどこにあったか
このように結果が全てを示していますが、それだけでは解決しません。
なので、このような結果を招いてしまった市政のどこに誤りがあったのかを示しましょう。
市政の誤りを端的に言えば、
「我が子を過保護に育てた結果、社会の荒波を乗り越えることが出来ない弱い子供に育ってしまった」
との例えで表現すれば、分かりやすいと思います。
つまり、既存商店を保護する手段として、脅威となりうる大型店舗を排除した結果、既存商店が市場で勝ち抜くための競争力を付ける機会を減らしてしまったのです。
親が子供にお菓子をたくさん与えれば、その子はとても喜びます。
でも、お菓子ばかり与える親はいるでしょうか。
身体の健全な発育を考えれば、親は決してお菓子をあげ過ぎたりしません。
長野市が既存商店を護るために、脅威となり得る大型商業施設を排除すれば、商店街は喜びます。
そして、商店街の人々は長野市や長野市長を支持することでしょう。
でも、大型商業施設を排除することが物事の本質でしょうか。
大型商業施設が、既存商店に直接影響を及ぼして脅威となることは事実です。
しかし、大型商業施設は、自由競争が行われている市場に現れた形態の一つに過ぎません。
たとえ、大型商業施設が無くても、時代のニーズにあった商業施設は例え小規模でも自然と広がります。
市場では自由競争が行われて淘汰されていきます。
大型商業施設を建設しなくても、中心市街地の商店街の多くは衰退しました。
これは決して否定できない事実です。当事者こそ実感するところでしょう。
衰退した理由は簡単です。
大型商業施設が無くても、市場では自由競争が行われているため、競争力のない商店は衰退して行った。
ただ、それだけです。
市民の中には、長野市内の既存の商店街より、上田市や松本市の大型ショッピングモールに魅力を感じて足を運ぶ人が多くいます。
これもその表れの一つです。
市民は、単に既存の商店街に行かないのではありません。
魅力を感じない店には行かないだけです。
言い方を換えれば、市民はニーズに合う店に行くだけです。
大型商業施設など無く、たとえ小さな店であったとしても、そこに魅力を感じ、価値を見いだせれば市民はその店に訪れます。
長野市がとった政策は、子供を過保護に育てただけの、単なる延命措置のようなものです。
既存商店が市場で勝ち抜くための競争力増加を支援することこそ、当時とるべき政策だったのです。
関税を例にあげましょう。
国内産業を護るために高い関税を掛けても国内産業が成長するわけではありません。
関税だけで誤魔化そうとすれば、貿易摩擦も生みますし、国内産業は衰退の一途をたどります。
本質は競争に打ち勝つことで、決して逃げることではないのです。
今、長野市に隣接する須坂市で大型商業施設の建設が進められ、その影響が及ぶことを強く懸念して、長野市は大慌てでいます。
単なる延命措置しかしてこなかったから、付けが回ってきた姿です。
既存店舗は、本質を見るよう視点を変えるべき
商店街の人がこれを読むと、
「何を言ってんだ。商店の経営については素人ではないか」
「現場のことなど何も知らないではないか」
「大型店に小型店が勝てる訳ないだろ、競争力にも限界がある」
などの感情的な怒りを覚える人もいるかも知れません。
でも、私は敢えて言います、「それって甘えでしょ」と。
商店に限らず、どんな業界でも競争があります。
製造業でもサービス業でも、どんな分野でも同じです。
それぞれの分野でみな企業努力を積み重ね、日々、必死に競争に打ち勝って行こうとしています。
そして、競争に勝てなければ、撤退、衰退、廃業或いは吸収、合併、身売りなどの道を歩むしかありません。
事実、大手と言われていたとしても、昭和、平成、令和の時代の流れの中で、姿を消して行った企業は少なくありません。
都内でも、従来からある「町の商店街」の類は姿を消していったところも少なくありません。
大手の進出によって競争に勝てなくなった結果ですが、そのような中にも工夫と努力で発展していった商店もあります。
全ては時代によって変化します。
その変化に応じて行かなければ生き残れません。
自動車業界でも同じです。ハイブリッド車や電気自動車の開発を進めず、ガソリン車だけで勝負していれば遠からず倒産します。
そしてこのことは、脅威の対象である大型商業施設の事業主とて例外ではありません。
イオンモールの類は私も頻繁に足を運びますが、集客のために常日頃から改善を繰り返していることを痛感します。
例えば、施設の間取りが変更になることがしばしばあるのですが、目にすると「ユーザを考えて利用しやすくしたのだな」などの印象を受けることなど珍しくありません。
また、新たな設備の導入や便利なサービスを始める姿も目に付きます。
常に時代の先を見つめて競争力を保とうとするんです。
大手だからと胡坐(あぐら)などかいていないのです。
それに対して、長野市の既存の商店街の人々は、ライバル店を意識しながら日々、どこまで努力を積み重ねているでしょうか。
正直、疑問を抱きます。
私は、大型商業施設を反対する立場にある人ほど、その本質を見て欲しいと強く思っています。
長野市に引っ越してから、少しずつ長野が好きになってきました。
母親の出身地でもあるから長野には愛着があります。
長野は自然が多く魅力的な所がたくさんあります。
貴重な伝統や文化も数多くあります。
そして、これから先も住み続ける長野市だからこそ、発展して欲しい。
純粋にそう思うからこそ、大型ショッピングモールなどを願うのです。
既存の商店には、そこにしかない価値があります。
だからこそ、大型店では展開できないような、強みを活かして行って欲しい。
既存商店しかできないオリジナリティの強さを発揮して大型店と堂々と渡り合って欲しい。
大型店は強くて脅威なのは事実ですが、地元の利や独自性を活かし切って乗り越えて欲しい。
そして長野市には、ぜひ大型商業施設の誘致を早急に進めて欲しいと強く切望します。
遅くて遅すぎることはありませんから。
同時に、市には既存の商店街の発展を考えた、都市開発を進めて欲しいですね。
これらは、いずれも古くからの商店街ですが、他にはない独特の個性があふれているため、いつも多くの人が訪れ活気にあふれています。
長野市も、例えば”長野市信州街”みたいな呼称で全国的に有名となるような街を目指して欲しいですよ。
オリジナリティが強く独特の魅力ある街を作り上げれば、夢ではないですよ。
要は、ヤル気と本気度だと思います。
大型商業施設と既存の商店街の反映。両立できるハズです。
ただし、伝統や文化を守ることと、古い考えに固執することは同じではなく、むしろ全く別なものですから、そこは注意して欲しいと思います。
この記事が大型商業施設の建設に寄与し、それが長野の発展に結びつくことを強く願って止みません。
賛同者の多くのコメントを期待しています。
長野市を盛り上げて行きましょう。
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