ゴールデンウィーク中に実家のある東京へ家族で泊まりに行った際、息子が私に向かって
「東京って夜明るいね」
と語りかけてきました。
とっさに
「東京ってそういうところなんだよ」
と答えた私でしたが、その言葉は私の胸に強く突き刺さり、日にちが経過した今でも、その言葉が頭の中でグルグルと回っている感じです。
私の胸に突き刺さったその言葉は、実家に滞在した初日の夜、長男が窓から外の夜空を眺めた際に発したもの。
これは特別な言葉ではなく、息子にとってみれば、普段見上げる長野の空と比べた場合、その違いがハッキリ分かるくらい明るかったことから、そのまま素直に言葉となって出ただけでした。
そんなありのままを表現しただけの言葉が、私の胸に突き刺さったのは、長野に引っ越して来てからの葛藤が呼び起されたことが原因でした。
それは、私の中では
「耳にしたくない、どこかで封印してしまいたい言葉」
のひとつでもありました。
私の中では、むしろ
「長野って夜暗いね!」
って言うのが正解なのですが・・・
もちろん、東京の夜が明るくて、私が住んでいる長野の夜が暗いのは、当然のこととして認識していましたし、そんなことは誰でも知っていることです。
長野では天の川が見られない?!という記事にも書きましたが、都会では天の川が見えにくくなっているわけです。
また、風が吹いても桶屋は儲からないが、農地が広がれば携帯ライトが売れる?!という記事にも書きましたが、長野などでは外灯などにも制限があるのです。
都会に住む人にはイメージが伝わり難いと思いますので、ここで少々説明を加えます。
長野は外灯そのものが少ないんです。
設置していない通りも多いですし、設置間隔も比較的長い距離なのです。
また、設置場所によっては、ある遅い時間に到ると消灯してしまう外灯すらもあります。
繁華街と言っても長野市駅周辺はまぁまぁですが、ちょっと離れたところだと、日が沈んだ途端に寝静まった感じになるんです。
これは、まさにブラックホールです。新宿や渋谷などを知っている人から見ると、恐怖を感じるような場所かも知れませんね。
で、
「なんで東京生まれで、東京育ちの私がこんなところに住んでいるんだ~」
という思いが込み上げて、胸に突き刺さって来たんわけなんですよ。
好きで長野に来たわけではなく、仕事の都合で転勤になったからですが、これってひと言でいえば「島流し」ですよね。
島流しを辞書で調べると
罪人を島や辺鄙(へんぴ)な土地へ送った刑罰
(デジタル大辞泉)とありました。それと同時に
遠い所や不便な場所へ転勤させること
(同)とも書いてありました。
ようするに、私って罪人ってことになるわけですね。
・・・というような思いが頭の中を駆け巡ったのです。
せっかく長野の暮らしに慣れてきて、その良さも味わいつつあったのに、都会の良さを思い出させてくれた息子のこのひと言は「グサッ!」と突き刺さりました。
長野は水道代が高いことも、ガス代が高いことも、電気代は大差はありませんが、ガソリン代が高いことも、せっかく頭の隅の中に追いやって封印していたのに封印が解かれてしまった感じでした。
そして、インフルエンザの予防接種費用なんかが高いことも、加工食品の物価が全般的に高くその差が大きいことも、すべて封印が解かれて思い出してしまったんです。
更に、室内が自然と凍ってしまうくらい寒く、長野市は寒冷地に相当するんですが、私の会社では寒冷地手当が出ないんです。
長野市より気温の高い東北にある営業所には寒冷地手当は出ているにも関わらず。こんな理不尽なこと、常識ではあり得ないですよね。
私の会社では、長野の人は罪人扱いしているってことです。
それとも「長野より気温の高い地域に寒冷地手当を支給しても、長野には支給しない」ことを問題と思えないほど、会社経営者の知能が不足しているのかも知れません。
また、長野では他府県では考えられない(?)ような、あり得ないことがあるんです。
横断歩道を歩いていたり自転車を走らせていたりすると、ちょくちょく自動車が突っ込んでくるんです。
経験しないと分かりませんが、長野のドライバーは、歩行者や自転車を見ていないいんです。本当です。怖いですよ。
そのくせ信号待ちの横断歩道では、横断する人がいると、きちんと停車してくれるんです。理解に苦しみます。
更に、あり得ないことが、子供を遊ばせるような公園に「熊出没注意!」という看板が堂々と設置してあることです。安心して子供を遊ばせられませんよー。
あり得ないことがあり得ているんです。長野では。以前、長野駅に熊が出没したことがありましたが、新幹線が停車する駅にクマが出没したのは日本全国、ここだけでしょう。
熊以外のイノシシやシカならちょくちょく出てきます。
本当にあり得ないです。意中の人からコクられる方が確率が高いくらいです。
このように物価が何かと高く、寒いだけでなく、自動車が突っ込んでくる。そしてクマがいつ現れても不思議でない長野。
都会に住みなれた人が好き好んで住む場所ではないですよね。過疎化が進むのも理解できます(実は長野市は過疎化していません。高齢化が進んでいるだけです)
「あー都会へ戻りたい~」。
息子がその言葉を発した直後から、そんな思いが溢れ出て来て抑えきれなくなってしまいそうな自分自身に対して、長野の良い所を言い聞かせてようとしていました。
「あれ?長野って良い所あったっけ?」
と考えをめぐらしていると、実家に住みついていたゴキブリを発見したのでした。それはちょうど息子の言葉を耳にしてから30分ほど経過した時のことでした。
数年ぶりに見る、見たくもないゴキブリでしたが、あまりに久しぶりに見るので、どこか懐かしいような感じもしました。(懐かしくねえよ!気持ち悪いだけだ!!)
そうそう、実は長野にはゴキブリが生息していないのです。
これについては視点を変えて見た長野の良いところという記事にも書きましたが、寒くて住めないのです。長野の大きな(?)魅力のひとつです。
どこかで耳にした話ですが、
「ゴキブリが嫌いだから長野に引っ越して来た」
という人も多いとか。
あの気持ち悪い物体が視界に入らないのですから、楽園のように感じる人もいるのですね。
もし万一にも遭遇してしまったらゴキブリ退治の後始末は気持ち悪いですね。必殺の退治方法で解決!に従って退治しましょう。
あれっ?何の話でしたっけ?そうそう、長野の良い所です。そうです、ありました。
野菜や果物が安くて美味しいのです。これについては、都市部には負けません。
都内なら奇跡に近い破格値の桃。農村地域だからこそ可能だと驚く、や、巨峰が激安で驚愕。長野はまさにフルーツ天国、にもある通り、安くて鮮度が抜群でとてもおいしいです。
これなら日本の首都、東京が相手でも絶対に勝てます。長野は良い所です!!!
そして、まだまだありました。長野の良いところ。
自然に恵まれていること、温泉が豊富にあること、ウィンタースポーツの環境に恵まれていること。空気は本当においしいです。
温泉なんて、うるおい館、川中島温泉、まめじま「湯ったり苑」など、市街地にすら多くの温泉があります。
また、スキーやスノーボード、スケートなんかをやるにはとても恵まれています。凄っ!これらなら全て東京に勝てる!!
更に長野は日本における数少ないオリンピック開催地ですよ。この点では、他の五輪開催地である東京、北海道(札幌)以外の他府県には負けません。
開催地だからこそのメリットも多いんですよ!(長野市水泳大会に参加して五輪開催地の利点を感じた)
おおー。何か長野って凄く素晴らしいところに思えてきました。
という訳で、記事を書いているうちに、長野への移住による葛藤が薄くなってきました。
最後まで読んでくれてありがとうございました。これからも頑張りますー。龍サッサでした。